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  • 2019.11.15

13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.3

2006年の自国開催以来、13年ぶりに出場したワールドカップ。アジア予選を突破しての出場は実に21年ぶりとなる世界へのチャレンジだった。現実的な目標としてフリオ・ラマスHCは、まだ日本が成し遂げたことがない「ヨーロッパ勢から1勝をあげること」を掲げていたが、大会前に選手たちは「グループラウンド突破」「世界を驚かせたい」と意気揚々に語っていた。アジア予選で4連敗後に破竹の8連勝を遂げたこと、大会前の強化試合で強豪ドイツを倒したことからも、チームの成長を感じていたのだ。確かに成長はしている。しかし日本は40分を通してタフな戦いをするまでには至らず、目標から遠く及ばずに5戦ともに完敗。ワールドカップを通して「日本のバスケとは何か」「ディフェンスから確立しなければ」「弱い日本のほうが受け身だった」と気づくことになる。日本は何ができて、何ができなかったのか。久しく遠ざかっていた舞台だからこそ、たくさんの気づきがあり、今後の糧へとしていかなければならない。9月1日のトルコ戦から順位決定戦の9月9日のモンテネグロ戦までの9日間。日本代表が感じたこと、学んだこと、得たこと、そして反省。中国の地で選手たちが発した言葉を記録として残しておきたい。必ずや次につなげるために――。

Photo/Yoshio Kato

9月5日 グループリーグ 日本 45-98 アメリカ

#18 馬場雄大
夢だったアメリカとの戦い。個人としてはアグレッシブに攻めることができた

このすごい雰囲気に飲まれてしまい、最初から個々の勝負になったことが大敗になってしまった原因です。チームとしてプレッシャーに負けて、自分たちが目指すバスケットボールスタイルができなかった。

個人としては、アグレッシブに攻めることはできました。この2試合は弱気になってしまった部分があったので、ずっと戦いたかったアメリカ戦で自分のプレーが披露できたことは良かったです。アグレッシブに攻めて、40分間を大切に戦った結果です。チームとして戦わなければいけないのは分かっていますが、このような舞台ではパスを考えて後手に回ることをしてはいけないと思ったので、自分一人でも攻めに行きました。先陣を切って走り回ったし、自分が打ちたいようにプレーしました。

正直、アメリカと戦うことは夢見ていたことなので、この選手たちを相手にどこまで通用するかを本当に楽しみにしていました。そこを意識してプレーした結果が18得点だと思います。

#8 八村塁
できる限りのことはやったが、ディフェンスとリバウンドをもっとやらないと

こういう結果(グループラウンド3連敗)になってしまったんですけど、僕らとしてもできる限りのことをやって、できたことはあったし、できないこともありました。反省点としてはディフェンスもオフェンスも両方ですが、とくにディフェンスとリバウンドをもっとやらなければならない。改めてディフェンスとリバウンドが大事だと感じました。

今回の結果を見ても分かるように、アジアはどの国も上のラウンドに行けずに落ちてしまったので、そういうのを見ると、アジアの今のバスケは世界に通用せず、世界と比べても弱い地域になっています。僕らもこれからは日本を含めて、アジアのバスケを盛り上げていければと思います。来年にはオリンピックもあり、アメリカのような強いチームと対戦した経験はこれからにつながっていくと思う。こういう結果になったけれど、世界1位のチームがどれだけのものかを感じることができたのは良かったと思います。

#3 安藤誓哉
アメリカ戦で得た感覚をずーっと忘れずにキャリアを送ると覚悟を決めた

初めてのワールドカップで、初めて出た試合がアメリカ戦。それはいいことでもあるし、逆にプレッシャーがかかった部分もあるけど、初めての日本代表でアメリカと最初に対戦できたことは今後の自信にもなると思う。今の自分は一言で言うと、早くA代表に慣れなきゃいけない立場。慣れるには試合に出ることが大事で、それには日本代表に入り続けることが国際大会に出られる権利でなので、常に日本代表の12人に入り続けないといけないことを改めて痛感しています。

アメリカ戦ではシュートは入らなかったけれど、個人的には攻め続けることはできました。前半はブロックされたけど、後半は目の前が空いたのでシュートを打ちました。シュートは入りませんでしたが、そんなに悪い出来ではなかったと思います。あとは、自分のシュートをしっかり打てるかのメンタリティが大事。あと2試合、それをしっかりやりたい。

今日、アメリカと試合をしたこの感覚を絶対に忘れないでいたい。いつも日本代表として試合することをイメージしていたけれど、この場に立たなければわからなかったことはたくさんあります。アメリカと戦って体で感じたものを、今後の自分のバスケキャリアでずーっと思い続けながらバスケット人生を送っていこうと覚悟を決めました。今、そういう気持ちです。

9月6日 移動日 グループリーグを最後に八村塁と篠山竜青が離脱

#12 渡邊雄太
塁と竜青さんの離脱はしかたないこと。自分がもっとやらないといけない

(八村)塁の不在にしても、(篠山)竜青さんのケガにしても、自分たちのコントロールできないことでしょうがないこと。嘆いても2人は戻ってこない状況なので、自分たちがコントロールできることを全力でやるだけです。最後まで12人でやりたかったという気持ちは当然あるんですけれど、それは言ってもしょうがないので、今いるメンバーでしっかり戦いたい。

アメリカに大敗したのも、予選リーグを突破できなかったのも自分たちの現状なので、そこに関して言い訳はないですし、現時点で自分たちがトルコ、チェコ、アメリカに対して力が足りなかったということ。自分も3年前にOQT(リオ五輪最終予選)を経験し、そこから日本は強くなったことを見せたかったのですが、まだまだ自分たちは世界に比べると力が足りていなかった。

順位決定戦になってもモチベーションは変わらないです。予選を突破できなかったのは残念なんですけど、まだまだ試合ができることはありがたいことですし、自分たちが成長できる機会です。明日戦うニュージーランドはかなり大変なグループで、ギリシャに対してもブラジルに対しても食らいついていたので、当然力はあるチーム。3ポイントを確率良く決めてくるので、そこを抑えたい。日本にとって塁の得点力と竜青さんのリーダーシップは欠かせないものだったので、そういう意味では自分がもっとやらないといけない。自分の役割を増やしていかないといけない。

#18 馬場雄大
ヨーロッパに勝つという目標はまだ残っている

2次ラウンドには行けなかったけれど、僕たちは全力でやるだけなので、それを最後までまっとうしたい。まだヨーロッパに勝つという目標は残っているし、いないメンバーがいるからこそ、さらに日本一丸にならないといけない。

自分の役割としては、リングにアタックすること。ディフェンス、オフェンスともに、どの試合でももっとコンスタントにやること。僕は周りの選手のパフォーマンスを待っているのではなく、先頭を切ってアメリカ戦のようなパフォーマンスをしなければならない。僕は僕なりのやり方で、チームを盛り上げていきたい。

TEXT by Yoko Konagayashi

[ 13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.1 ]
[ 13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.2 ]

FIBA World Cup 2019

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