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  • 2019.11.18

13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.4

オ・ラマスHCは、まだ日本が成し遂げたことがない「ヨーロッパ勢から1勝をあげること」を掲げていたが、大会前に選手たちは「グループラウンド突破」「世界を驚かせたい」と意気揚々に語っていた。アジア予選で4連敗後に破竹の8連勝を遂げたこと、大会前の強化試合で強豪ドイツを倒したことからも、チームの成長を感じていたのだ。確かに成長はしている。しかし日本は40分を通してタフな戦いをするまでには至らず、目標から遠く及ばずに5戦ともに完敗。ワールドカップを通して「日本のバスケとは何か」「ディフェンスから確立しなければ」「弱い日本のほうが受け身だった」と気づくことになる。日本は何ができて、何ができなかったのか。久しく遠ざかっていた舞台だからこそ、たくさんの気づきがあり、今後の糧へとしていかなければならない。9月1日のトルコ戦から順位決定戦の9月9日のモンテネグロ戦までの9日間。日本代表が感じたこと、学んだこと、得たこと、そして反省。中国の地で選手たちが発した言葉を記録として残しておきたい。必ずや次につなげるために――。

Photo/Yoshio Kato

9月7日 順位決定戦 日本 81-111 ニュージーランド

#12 渡邊雄太
恥ずかしい試合をした。このままでは日本に帰れない

僕自身、もっといろんな役割をしなければいけないと思いながら試合に入りましたが、チームとしても全然機能せず、それ以前の問題でした。現状はこれが日本の実力だと思います。1Qの最初の5分で22点も取られ、ベンチから出てきた(安藤)誓哉さんや(安藤)周人がすごく頑張ってくれて、1Qの残り5分を5点ほどで抑えることができました。1Qが終わった段階では、自分たちのペースに持ち込めつつあると感じていたんですが、途中から全然対応ができなかったし、最後は相手も遊んでプレーしていました。恥ずかしい試合をしたな、というだけです。

こんな試合になるほどニュージーランドとの差はないと思っていましたが、向こうのほうが勝ちに対してハングリーでした。正直、このままでは日本には帰れない。応援してくださっている方もいる中で、代表合宿をやって落ちたメンバーもいる中で、こういう試合をしていては選ばれた12人としてふさわしくない。絶対にやってはいけない試合。いつも言っていることに対して説得力がないですが、次の試合は切り替えてやります。

#24 田中大貴
開き直ってもっとどんどんチャレンジしないと

ディフェンスを頑張っていないとは言わないけれど、どこかで穴を見つけられてやられてしまっています。ポイントガードとしてもっと声をかけられればいいですけど、自分もポイントガードとしてやるのがこのワールドカップが初めてなので、そこまでの余裕がないのが今の自分の力です。

決してみんな頑張っていないわけではないのですが、結果が出ないのはキツイものがあります。けれど、みんな選ばれてここでプレーしているわけなので、下を向かずに最後の一戦を何としてでも取って日本に戻りたい。

せっかくワールドカップに出て、高いレベルのチームと試合ができるのだから、もう上には進めないけれど、開き直ってどんどんチャレンジすればいいと思いますし、どんどん自分の力をアピールすればいいと思います。もう失うものは何もないと思うので、自分が今持っているものをぶつけていきたい。

#22 ニック・ファジーカス
塁がいない中で自分がやるしかないと思った

ニュージーランドに負けてしまったのは残念でならない。塁が順位決定戦からいなくなってしまい、オフェンスでの軸がなくなって得点が取れなくなることは分かっていたので、自分がやるしかないと思った。国際試合で30点近く取れることを証明したかったし、それができた。次のモンテネグロ戦もチーム全員でアグレッシブに戦っていきたい。

9月8日 最終戦を前にしての練習後

#15 竹内譲次
最終戦は塁がいない中でBリーグ勢がやれることを示す機会

ニュージーランドは強化試合で戦っている相手なので、あの点差になってはいけなかった。「やられすぎた」とか「相手のシュートが当たっただけ」では終われない内容でした。相手が打つ一発目の3ポイントはある程度抑えられたと思います。ただ、そのあとの部分でズレを作られてしまった。ニュージーランドは組織的にしっかりやってくるので、1つ目を止めても、2つ目と3つ目の攻撃を止めることができませんでした。

明日は塁という核となる選手が離脱した中でやる最後の試合。今まで彼ありきで強化試合からやってきた中で、明日はWindow(ワールドカップ予選)を勝ち上がったBリーグのメンバーが、僕たちがやってきたバスケをやるいい機会。

僕らが13年前に出た2006年のワールドカップではグループリーグに(優勝した)スペインがいて、彼らは日本相手でも本気で手を抜かず、そういう姿勢が素晴らしいと思いました。今回アメリカと当たって、アメリカも似たような匂いがありました。相手がどういうチームであれ、手を抜かないのが世界のトップチーム。そこに対して自分たちは引いてしまい、プレッシャーに押し負けて自分たちのやりたいプレーをやらせてもらえなかったというのがありました。

2006年の日本は自国開催だから出場できたので、ワールドカップではひとつ上のランクの相手と戦うという感じがあったけれど、今回は一矢報いるつもりでいました。結果は残念でしたけれど、あと明日一試合、2006年より成長できたというのを結果で示せるチャンスがあるので、その機会を大切にしたい。


#10 竹内公輔
最終戦は今までやってきたことをコートに置いてくる戦いを

ニュージーランド戦はチームとして勝てないどころか、いいゲームすらできなかった。明日のモンテネグロ戦は、残った選手で2人(八村塁、篠山竜青)の穴を埋めて、「絶対に勝つ」というメンタルではなく、「この2ヶ月間やってきたことをコートに置いてくる」というメンタルで戦いたい。そうしたらいい結果が出ると思うので。

自分自身は強化試合からあまり出るチャンスがなくて、ワールドカップでも最初の2試合は出場機会がなくて、悔しい思いもしました。けれどアメリカ戦に出ることができて、あんな大敗していて言うのも何ですけど、世界一位と対戦できて楽しかったし、上海にたくさんの人々が応援しに来てくれてうれしかったです。明日は塁がいないのでチャンスがあると思うし、自分の成長のためにも戦いたい。

昨日の試合後にロッカールームでも言い合いましたが、僕らはもっとバスケットを楽しまないといけない。暗い顔をしてバスケットをしても面白くないとみんなで言い合いました。もちろん代表チームなので勝利がいちばん大切ですけど、昨日はまったく内容がよくなくて、みんな下を向いていました。見ている人にもあんなゲームをして失礼だったと思うし、まずは顔を上げて、今まで2ヶ月間でやってきたことを思い出してコートに置いてきたいと思います。

これまで日本はヨーロッパのチームに勝ったことがないと聞いています。明日のモンテネグロ戦はヨーロッパのチームと対戦できるので、そこをなんとか倒すことができたら、来年のオリンピックや2023年のワールドカップに向けても自信になると思うので勝ちたいです。

#6 比江島慎
グループラウンドの負けを引きずって切り替えられず
アジア予選の時のように自分が得点しなくては

正直、ニュージーランド戦はまったく気持ちを切り替えることができず、大敗してしまいました。グループラウンドの負けを引きずっていたし、個人としても、今までの自分というか……アジア予選のように自分が引っ張っていくようなプレーができないことに対して、気持ちを切り替えられていませんでした。

昨日、大敗してからずっと自分の役割を考えていたのですが、明らかにこのチームだと僕は点を取らないといけない。今の日本には(渡邊)雄太や(馬場)雄大とか、素晴らしい活躍をしている選手がいるけれど、このチームであれば自分が攻めるというか、アジア予選のように攻めなきゃいけないと、やっとその考えに行きつきました。

日本はチーム力で対抗しなきゃいけないのにディフェンスにしても、オフェンスにしてもバラバラじゃないですけど、チームで戦う意識が薄れていると思います。ディフェンスはチームでやることができていないし、オフェンスに関してはもっとパスを回して、いいチャンスを作らないといけない。世界で1勝することが、日本がもう一段階、成長することにつながると思っているので、明日は日本のために点を取って勝利に導きたいです。

TEXT by Yoko Konagayashi

[ 13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.1 ]
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FIBA World Cup 2019

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