3×3と宇都宮の歴史を紐とくと、2017年7月29日30日に開催された「FIBA 3×3 World Tour Utsunomiya Masters」は、アジアの3×3シーンにおける新たな夜明けを印象づけた。同年秋に「FIBA 3×3 Asiap Cup」で初優勝したモンゴルの選手たちが、初めてMastersに出場。インパクトを残した選手たちは成長を遂げて、5月3日(金・祝)から5月5日(日)のパリ五輪予選にやってくる（所属、名称等は当時のまま）。

Ulaanbaatarが初出場で4強入り
　当時、モンゴルは母国開催の「FIBA 3×3 Asiap Cup 2017」を控えていた。その代表選手によるUlaanbaatar（ウランバートル）はUtsunomiya Mastersの予選で、日本のOkayamaに敗れたが、スロベニアの強豪・Ljubljana（リュブリャナ）を撃破。2日目の準々決勝ではセルビアの強豪・Zemun（ゼムン）を下す金星を挙げる。準決勝で、世界No.1チームのNovi Sad Al Wahda（ノビサド アルワダ）に敗れたが、堂々の世界デビューだった。その中心選手だったDulguun Enkhbat（ダルグン・エンクバット）は同年のAsiap CupでMVPに選ばれ、Delgernyam Davaasambuu（デルガーニャム・ダヴァーサンブー）も2023年のAsia Cupで同国2度目の優勝に貢献してMVPに。2人は、パリ五輪予選「FIBA 3×3 Universality Olympic Qualifying Tournament 2」（UOQT2）にも出場する予定だ。

　一方で、日本勢は3×3 PREMIER.EXEの前半戦で総合1位となったTRYHOOP OKAYAMA.EXEが、Okayamaとして昨年に続き出場。比留木謙司、長谷川聖、デボーン・ワシントン、ゲイリー・ハミルトンというベストメンバーで挑み、予選を無傷の2連勝で突破。2016シーズンのチャンピオンチームであるLjubljanaを破り、Ulaanbaatarも退けて、初のMastersベスト4入りの期待が大きく膨らんだ。
　しかし、準々決勝でセルビアのLiman（リマン）に完敗。8強の壁に再び屈した。試合後、比留木は「2年連続ベスト8は決して最高の結果ではなかったですけど、何かひとつ岡山として頑張っているんだよと示せたのではないかと思います」とコメント。ただ、順位も昨年より一つ上の6位になったが、悔しさは残ったままだった。

至高の頂上決定を制したのはNovi Sad
　そんな中、空模様も気にしながら訪れた決勝は大接戦になった。その顔合わせは2年連続同じ、3×3の母国セルビア生まれで世界最強と名高いNovi Sad Al Wahdaと、スロベニアの強豪・Piran（ピラン）の対決に。昨年はNovi Sad Al Wahdaの完勝劇で終わったが、この年は10分間で決着がつかずに15-15で延長戦へ。2点先取で試合が決まる中、両者1点ずつを積み上げて、クライマックスを迎える。

　そして軍配が上がったのは、Novi Sad Al Wahdaだった。Dusan Bulut（ドゥサン・ブルト）がルーズボールを奪い、Marko Savić(マルコ・サヴィッチ)が決勝点をねじ込んで17-16の幕切れに。Savićがシャウトし、歓喜の輪が生れた光景は、大会の名場面になった。MVPには、現世界王者のUb（ウーブ）で活躍するDejan Majstorovic（デヤン･マイストロヴィッチ）が選出。さらにチーム4人目に、いまSIMONを引っ張る若き日のNikola Pavlovic（ニコラ・パブロビッチ）がいたのも、見逃せなかった。

2018年の模様は<<こちら>>

【最終順位】2017 Utsunomiya Masters（リンクは外部リンク/FIBA 3×3）

【UOQT2開催概要】
FIBA 3×3 Universality Olympic Qualifying Tournament 2（UOQT2）
　・日時：2024年5月3日(金・祝)～5月5日(日)
　・場所：ライトキューブ宇都宮(大ホール)、宮みらいライトヒル
　・詳細：（リンクは外部リンク/FIBA 3×3）
　・チケット、イベント情報等はこちら
　 ＞＞ （リンクは外部リンク/大会公式）
　・主な放送予定
　　BS松竹東急（BS260ch・全国無料放送/当日の大会ハイライト）
　　5/3(金)、４（土）23:30～24:30、5/5(日)23:00～24:00

『宇都宮 3x3戦記』2017年に訪れたモンゴルの夜明け

TEXT by Hiroyuki Ohashi