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  • 2019.11.01

13年ぶりのワールドカップ日本代表の言葉から見る戦いの全記録 vol.1

2006年の自国開催以来、13年ぶりに出場したワールドカップ。アジア予選を突破しての出場は実に21年ぶりとなる世界へのチャレンジだった。現実的な目標としてフリオ・ラマスHCは、まだ日本が成し遂げたことがない「ヨーロッパ勢から1勝をあげること」を掲げていたが、大会前に選手たちは「グループラウンド突破」「世界を驚かせたい」と意気揚々に語っていた。アジア予選で4連敗後に破竹の8連勝を遂げたこと、大会前の強化試合で強豪ドイツを倒したことからも、チームの成長を感じていたのだ。確かに成長はしている。しかし日本は40分を通してタフな戦いをするまでには至らず、目標から遠く及ばずに5戦ともに完敗。ワールドカップを通して「日本のバスケとは何か」「ディフェンスから確立しなければ」「弱い日本のほうが受け身だった」と気づくことになる。日本は何ができて、何ができなかったのか。久しく遠ざかっていた舞台だからこそ、たくさんの気づきがあり、今後の糧へとしていかなければならない。9月1日のトルコ戦から順位決定戦の9月9日のモンテネグロ戦までの9日間。日本代表が感じたこと、学んだこと、得たこと、そして反省。中国の地で選手たちが発した言葉を記録として残しておきたい。必ずや次につなげるために――。

Photo/Yoshio Kato

9月1日 グループラウンド 日本 67-86 トルコ

#7 篠山竜青
ボールのないところでやられ、スクリーンが壊された

敗因はいろんな要因がありますが、まずワールドカップの初戦ということもあり、入り方がうまくいきませんでした。その辺はおのおのの気持ちの準備だったり、持って行き方なので、しっかりと修正していきます。

簡単な1対1をやられないようにと意識をしましたが、ボールのないところでの相手の合わせの動きだったりとか、序盤の3ポイントの当たりだったりとか、ディフェンスでは相手のディフェンスの強度が強くてスクリーンが壊されてしまい、ボールがもらえませんでした。そういうところで自分たちのプレーを出し続けることができず、流れをぶつ切りにされてしまいました。

細かいことでいえば、向こうのスイッチディフェンスに対して、どこでミスマッチをつくのかが、少しあやふやになってしまった。ぺリメーター陣がドライブをするのか、インサイド陣が面を取ってそこにボールを入れていくのか、意思統一ができていなかった。だからボールのスペーシングがよくなくて、ミスマッチができても今度はボールが入らなかった。本当に細かいことなんですけど、そういうことができないと戦えないとわかりました。

#6 比江島慎
こんな大舞台で出足からあんなミスをしていては論外

(敗戦にしばし考え込んで)ディフェンスに対してはプラン通りと言いますか、ある程度はできたけれど、試合の出だしから攻めていかないといけなかったです。こんな大舞台で出足からあんなにミスをしていたら論外ですし、相手に主導権を握られ、自分たちが追いかける展開になっては難しくなるのは当然です。相手の方が強いと分かっているうえで、このような試合展開をしてしまったことが反省だし、これを次につなげればならないですし、課題として修正します。

#13 安藤周人
はじめての世界大会。普段は打てる感覚なのに打てなかった

はじめて世界と戦いましたが楽しかったです。でも自分のプレーは散々でした。10分にも満たない出場時間でしたが、本当に世界を肌で感じられる機会を得られたからこそ、次につなげたいです。普段は打てるシチュエーションなのに、2メートル超えの選手がいると打ちにくく、そこはやっぱり世界だなと感じました。普段は打てる感覚なのに打てなかったことで、迷いながらプレーしてしまいました。この経験を次のチェコ戦につなげていきたいです。


9月2日 初戦から一日経ち、冷静にトルコ戦を分析

#15 竹内譲次
「経験がない」ですませていけない場。経験がないなら出そうとしなければ

昨日の試合は「経験がない」という言葉が出ていたけれど、ここは「経験がない」ですませていい場所ではない。経験がないならば出そうとしなければだめだし、こういう大きい舞台でのパフォーマンスの出し方はこういう場でしか学べない。そういう点では、雄太とか塁のほうが(アメリカで戦っている分)経験豊富だと思うので、もっと個人個人がもっと学ばないといけない。

昨日のゲームを落としたことは痛いけれど、でも僕たちにとってはどんなゲームでも経験になるし、経験にしなければならないので、オリンピックまで続く中で、日本のバスケを表現していくことが大切。結果を求めないといけないけれど、自分たちのバスケをどう見せられるかをチャレンジしていかなければならない。

#24 田中大貴
塁のところのマークは予想以上に厳しかった

昨日のトルコ戦はどこかフワッと試合に入ってしまった。こういう世界大会だと後手に回ってしまうとそう簡単に盛り返せるような相手ではないですし、自分たちが逆に先手先手で仕掛けるくらいじゃないとうまく試合を運べないと思うので、明日はどれだけ自分たちが昨日の試合から学び、入り方を改善できるかが大事。

敗因は小さなことのつみ重ねだと思います。スクリーンをしっかりかけなかったり、ズレができないことで苦しいショットになってしまったり。それに対して相手は40分間しっかりスクリーンで強く当たってきます。そのコンタクトがボディブローのように効いてきて、40分間トータルするとダメージになる。コンタクトの部分で戦えている部分はあるけれど、トータルすると戦えていない。そこがいちばんの自分たちの足りないところです。

塁のところのマークは予想以上に厳しかった。チームとしても、塁のところにマークが集中するのはわかっていました。でも、予想以上に彼のところにしっかりディフェンスしてきたと試合中に感じました。相手は3~4人で塁をつぶしに来ていましたから。逆に言えば、自分たちは塁にマークがきたとしても、それを破るだけのものが彼にはあると思っていたのかもしれない。でもトルコは3~4人で塁をつぶしにきたので、もっと周りの意志の疎通が必要でした。その部分は今日の練習で確認したので、明日はトルコ戦より良くしていかなくてはならない。もっともっと塁にいいボールを預けないといけない。勝つためには塁の得点が必要なので。

#8 八村塁
僕へのスカウティングは厳しい。もっと頭を使ってやりたい

昨日のトルコ戦は明らかに僕の得意なショットを打たせないように相手が守ってきて、その通りに追い込まれてしまった。かといって僕はミドルレンジだけしか打てないわけではないので、明日のチェコもトルコみたいなディフェンスをしてくると思うけど、そこはもっとスマートに、頭を使ってやりたい。

どの試合も負けられないけれど、明日はセカンドラウンドに行くための大事な試合になる。しっかり気持ちを切り替えて日本のバスケを見せられたら、大きなチャンスがあると思っています。

チェコは大きい選手がいて体を張ってやってくるチーム。今日の練習で特に確認したのはディフェンス。明日は相手のポイントガードが大きいので(トーマス・サトランスキー/201㎝)大きいので、その中心選手に気持ちよくやらせないようなディフェンスを確認しました。僕へのスカウティングは厳しくなっているけど、日本は僕だけが得点を取れるのではなく、他の選手も取れるので、もっとボールを回してチャンスを作り、どれだけ僕らが日本のバスケができるかだと思う。

TEXT by Yoko Konagayashi

FIBA World Cup 2019

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