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  • 2022.09.27

「Red Bull Half Court 2022 Japan Final」で初優勝したBEEFMANとG-Flow……チームの強さと、3×3世界戦の意気込み

今秋、レッドブルが主催する3×3の世界的トーナメントは、エジプトはギザのピラミッド前にセットされる。8月28日には、その大舞台へ送り出す日本の代表チーム決戦戦が横浜赤レンガ倉庫で開催。初優勝を飾り、出場権を獲得した男子・BEEFMAN、女子・G-Flowの選手たちへ話を聞いた。

横浜のシンボリックなロケーションで熱戦
 8月28日、横浜赤レンガ倉庫で「Red Bull Half Court 2022 Japan Final」が開催された。これは、エナジードリンクメーカー・レッドブルが主催する3x3の世界的トーナメント「Red Bull Half Court World Final」に送り出す、日本の代表チーム決定戦。2度目の今年は男子8チーム、女子4チームが頂点を争った。

 今大会は当初、予選を行い、勝ち上がったチームによるノックアウトトーナメントを実施する予定だった。しかし、朝から雨に見舞われ、主催者によって開催方式を変更。全チーム参加のノックアウトトーナメントに絞って、優勝チームを決める方式となった。そのため、会場では急きょ、組み合わせ抽選会を行い、チームの代表者がくじを引くことに。男子は、初代王者のHIU ZEROCKETSと、今シーズン国内外を転戦中のBEEFMANによるオープンニングゲームが決まる一幕もあった。

 そして天候が回復した午後2時ごろより大会がスタート。横浜のシンボリックなロケーションで、のべ約2,500人の観客が熱戦を見守った中、男子はBEEFMAN、女子はG-Flowが初優勝を飾った。両チームはともに、運営会社が横浜市内に本社を置くチーム。縁の深い町で、チャンピオンボードを掲げた。

今季好調、G-Flowが初代女王に
 大会を振り返ると、女子ではG-Flowが、今シーズンの強さを改めて印象づけた。矢上若菜、李人竹、角畑莉子、井齋沙耶の4人で臨み、1回戦でTOKYO BBを16-13で撃破。序盤から競り合ったが、残り5分を切って角田の2ポイントや、矢上と李による連携プレーで抜け出した。そして、決勝では前日の敗者復活戦を経て、1回戦でXDを破ったOWLSとの対戦。立ち上がりから6-1のスタートダッシュに成功して主導権を握ると、最後は井齋のシュートで試合を締めくくり、21-10で初代女王に輝いた。大会後、キャプテンの矢上は初優勝について開口一番「めちゃくちゃ嬉しいです!」と話し、女子の「初代チャンピオンになれたこともめっちゃ嬉しいです」と、笑顔を見せた。

 最も、彼女たちは今シーズンから始動したばかりのチーム。そんな中でも、日本バスケットボール協会が主催するJAPAN TOURの最高峰カテゴリー・EXTREMEを前半戦1位で折り返し、プロリーグの3×3.EXE PREMIER JAPANでもレギュラーシーズンの1位を走っていた。今大会の初Vにもつながる好調の要因について、矢上は「めっちゃ話します。何かあったときは(チームメイトと)ぶつかるときもあるし、全員が全員で思っていることを発信するようにしてます」と明かした。

 現在、チーム練習は週2日程度。遠方に住む選手を含めた練習機会は限られるそうだが、1回の練習密度を濃くできるよう、コミュニケーションを取り続ける意識を常に持つ。昨シーズンまでBEEFMANへ所属し、3×3日本選手権で優勝するなど経験豊富な矢上が中心となり、一体感のあるチーム作りが、結果に現れている。

地元・BEEFMANが「嬉しい」優勝
 一方で、男子カテゴリーではBEEFMANが今シーズンのベストラインナップである野呂竜比人、湊谷安玲久司朱、Lazar Popovic、ホール百音アレックスの4人で、激戦のトーナメントを勝ち切った。

 1回戦でHIU ZEROCKETSを18-12で下すと、準決勝では延長戦の末に、MINAKAMI TOWNを15-13で撃破。ターンオーバーが目立ったものの、最後はLazarと湊谷の得点で勝利をもぎ取った。迎えたトライフープ岡山との決勝では序盤から先行し、優位に立つ。特に、今秋からBリーグ・青森ワッツでもプレーする百音(モネ)が得意のドライブのみならず、味方のキックアウトパスから2ポイントを決めてチームを後押し。ファイナルスコアを21-13とし、地元Vをチーム全員で引き寄せた。

 彼らにとって横浜はホーム。練習コートは市内にあり、赤レンガ倉庫と目と鼻の先にある横浜ランドマークタワーには、運営会社の本社がある。そんな特別な町での優勝に、キャプテン・野呂は「社員の皆さんも、ブースターの皆さんもいっぱい来てくださって、そんな方たちの前で勝てたことが嬉しい」と、喜びをかみしめた。苦しい試合が続いたが、春先から積み上げてきたチーム力を武器に、負ける気はしなかったようだ。野呂はこう明かした。

 「この4人なら、どんなにきつい状況でも乗り越えられる。そんな気持ちで今までやってきています。百音がBリーグの活動で離れても繋がっている感じです。2週間ぶりに(百音が)チームに入っても、ずっと一緒にいたじゃんみたいな。僕たち4人だと絶対に崩れないです」

 ちなみに、この4人での試合は久々であったが、その間にも電話をつないでチーム内でコミュニケーションは重ねていたそうだ。チーム練習の様子から、たわいもない話まで、色々と話していたと言う。良い関係性が築けているため、百音も良いプレーができたようだ。「2ポイントシュートは前の試合からの課題でしたが、野呂さんやアレクさん(湊谷)の先輩たちから、次の試合で打てと言われていたので、今日はしっかりと自信を持ってできました」と明かした。

「楽しみな」エジプトの世界戦へ
 両チームは今大会の結果により、9月30日、10月1日にエジプト・カイロで開催の「Red Bull Half Court World Final」へ出場する。試合会場はなんとギザのピラミッドの前。ギリシャ、トルコ、インド、オーストラリア、ナイジェリアなど、世界20カ国以上の代表チームとしのぎを削り、世界一を目指す。

 昨年のWorld Finalでは男子・セルビア、女子・ロシアが優勝。そのセルビアらに、日本から出場したHIU ZEROCKETSが挑んだが、1勝3敗の予選敗退だった。BEEFMANには今年、World Finalで初の予選突破、さらにはその先の活躍を期待したい。野呂は楽しみな一戦に向けて「チーム4人で、今日のようにチームワーク良く、一丸となって戦えば結果はついてくると思います。相手どうこう関係なく、自分たちの3×3をして、結果を残してきます」と、意気込んだ。

 また、女子にとって今大会は数少ない3×3の世界大会。G-Flowには日本勢として初の舞台でインパクトを残して欲しい。矢上は初の世界戦へ「めっちゃ楽しみです」とワクワクした表情をうかべ、「印象に残るようなチームになれるよう、足跡を残したい」と、意欲は十分だ。

 さらに、国内シーンで圧倒的なパフォーマンスを見せる李も、エジプトが待ちきれない。彼女は「最近、ゴール下で絶賛無双中と言われることがありましたが(笑)、世界を相手にどのぐらい自分ができるか楽しみですし、できないところがあれば帰ってきたら、練習に励みたい。一生懸命、持ってる力を出していきたい」と、強い思いを語ってくれた。

3×3で世界挑戦するBEEFMANとG-Flowに、エジプトからの吉報を期待しよう。

●大会結果―Red Bull Half Court Japan Final
【女子】
1回戦
・OWLS 13-10 XD
・G-Flow 16-13 TOKYO BB

決勝
・OWLS 10-21 G Flow

【男子】
1回戦
・HIU ZEROCKETS 12-18 BEEFMAN
・MINAKAMI TOWN 21-10 ZERO
・トライフープ岡山 18-14 BRUTE
・BEEFMAN NEXT 21-16 SAKURA

準決勝
・BEEFMAN 15-13 MINAKAMI TOWN
・トライフープ岡山 21-16 BEEFMAN NEXT

決勝
・BEEFMAN 21-13 トライフープ岡山

「Red Bull Half Court 2022 Japan Final」で初優勝したBEEFMANとG-Flow……チームの強さと、3x3世界戦の意気込み

TEXT by Hiroyuki Ohashi

大会情報―Red Bull Half Court World Final(リンクは外部サイト/英語)

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