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  • 2021.05.26

五輪予選へ挑む3×3女子日本代表へ。日本からエールを送る。

いよいよ本日5月26日より3×3女子日本代表が東京オリンピックの出場権を懸けてオーストリアで開かれる予選会『FIBA 3×3 Olympic Qualifying Tournament 2021』(以下OQT)に出場する。大一番に挑む4名の出場選手も発表され、あとは決戦を待つのみ。日本からエールを送りたい。

タフな戦いが予想されるOQT
まずOQTを迎えるにあたり、現状を整理しておきたい。東京オリンピックの出場国は男女で各8か国。2019年11月にその内4か国が決まっており、男子日本代表も開催国枠として出場権を獲得している。その上でOQTでは残る4か国のうち、3か国を決める。出場国は男女各20チームを数え、5チームずつに分かれた総当たりの予選(以下Pool)を戦い、各上位2チームが計8チームによる決勝トーナメントへ進出。準決勝の勝者及び3位決定戦を制したチームにTOKYOへの切符が与えられる。なおOQTで女子日本代表が出場権を獲得できなかった場合は、6月4日からハンガリーで行われる最終予選『FIBA 3×3 Universal Olympic Qualifying Tournament』で最後の1枠を争う。

OQTで女子日本代表は予選Pool Bに入り、まずイラン、ウクライナ、タイ、オーストラリアに挑む。どれも負けられない戦いであるが最初のヤマは大会初戦のオーストラリア戦だろう。過去の対戦成績では全敗。2019年の『FIBA 3×3 World Cup』(以下W杯)では延長戦で敗れた苦い過去を持つ。さらに予選を勝ち上がると決勝トーナメントで2018年のW杯を制したイタリアや、女子代表による国別対抗戦『FIBA 3×3 Women’s Series』(以下3WS)の今シーズン初戦で優勝したスペインとのマッチアップも見込まれる。次に進めば、世界ランキング1位のフランスや、OQT直前の国際大会で好成績を収めたアメリカなどさらにタフな戦いも予想される。

実力と経験を積んだ4人の日本代表
しかし、日本は激戦のOQTを突破する力を十分に備えている。本日、日本バスケットボール協会(JBA)が発表した出場メンバー4名のうち、西岡里紗(186cm/三菱電機コアラーズ)、馬瓜ステファニー(182cm/トヨタ自動車アンテロープス)、山本麻衣(165cm/トヨタ自動車アンテロープス)の3名は23歳以下の3人制世界No.1を決める『FIBA 3×3 U23 World Cup 2019』でチャンピオンになった実力と経験を持つ。さらに篠崎澪(167cm/富士通レッドウェーブ)も2019年に『FIBA 3×3 Asia Cup』で3位入賞に貢献し、同年の3WSで世界を転戦した。加えて永田萌絵(174cm/トヨタ自動車アンテロープス)と、田中真美子 (180cm/富士通レッドウェーブ)も予備登録選手として、同地で4人とともに戦う。

彼女たちはOQTへ向け、今年3月のWリーグのシーズン終了後から本格的に強化へ臨んだ。東京と秋田で2度のトレーニングキャンプを張り、男子選手を招いて実戦形式の練習を行い、秋田では本番環境を想定してFIBAの国際大会で使用されるコートやリングも用意された。

加えて山本(#23)と馬瓜(#33)は5月8日にJBAが主催する国内ツアー大会『JAPAN TOUR 2021 EXTREME Round.3』に参戦。TOYOTA ANTELOPESとして永田(#32)や3×3代表候補の平下愛佳 (#14/177cm)と、実戦の場を求めた。女子代表がそろってJAPAN TOURへ臨んだことは、これが初めて。国内女子3×3シーンを作ってきたチームたちと対戦し、決勝でBEEFMANを21-13で下すなど3戦全勝で優勝を飾った。試合を終え、馬瓜は「私たちの戦い方は切り替えの速さが鍵になりますので、今日も試合で意識しました」と代表合宿で取り組んできたポイントを明かし、今大会で「かなりできました」と手ごたえを感じていた。ただ「もともと(3×3を)経験していらっしゃる選手たちは隙を突く上手さがありました。普段は同じメンバーでひたすらやっている私たちにとっては経験できないことです」と、出場したからこその学びもあった。


さらに彼女たちは限られた時間で5人制から3人制にアジャストできるよう努めていた姿も見えてきた。山本らは代表合宿が無い時期にBEEFMANや男子の3×3チームへ出向き、競技に取り組んでいたと言う。また過去に練習相手として女子代表の合宿に参加した男子日本代表候補の齊藤洋介(UTSUNOMIYA BREX)は「彼女たちは見えないところで努力をされています。合宿で練習が始まる2時間前から体育館に来て自主練し、午前と午後の練習の間も体育館に残ってずっとトレーニングをしていました」と、そのハードワークぶりを明かしている。

現場から寄せられた多数のエール
そんな女子日本代表に3×3の現場から多数のエールが寄せられている。ここで4人の声を紹介したい。まずJAPAN TOURの決勝で対戦したBEEFMANの桂葵(#25)と前田有香(#11)は次のように声援を送ってくれた。

「国内の試合に出てきてくれて(同じ3×3の)ファミリーという気持ちです。気負うことなく、楽しんで来て欲しいです。また(希望を言えばJAPAN TOUR)に戻ってきて世界のレベルを私たちに教えてくれたら嬉しいですね」(桂葵)

「本当に(女子日本代表は)成長されていると思います。私たちも応援していますし、手伝えることがあればもっとしたい気持ちです。日本が世界で勝てる戦術はあると思いますので、突き詰めて、OQTでは自信を持って戦えば絶対に勝てると信じています」(前田有香)

続いて男子からは先日16日の東京オリンピックへ向けたテストイベントである『READY STEADY TOKYO−3×3 バスケットボール』に出場した齊藤と保岡龍⽃(秋田ノーザンハピネッツ/ BEEFMAN)に聞いた。齊藤は前述のように練習相手として彼女たちの努力を知り、保岡は2019年のW杯でOQTに出場する馬瓜らと代表活動を共にしている。

「彼女たちは世界で注目されているチームですし、オリンピックの舞台に立つべきチームです。プレッシャーはあるかもしれませんが、普段の実力さえ出せれば、全く問題ないと思います。OQTでの活躍を楽しみにしています」(齊藤洋介)

「(2019年の)W杯で1ヶ月前からチェコへ代表合宿へ行き、お互い厳しい練習もやってきましたし、男子代表が試合をしている時、とても応援をしてくれました。やっぱり男女そろってオリンピックで試合をすることが、私たちとしても嬉しいことです。本当にOQTでは頑張って欲しいです」(保岡龍⽃)

TOKYOへ大一番「できることは全てやってきた」
もちろんこの4選手以外も多くの選手、ファン、関係者が3×3女子日本代表の活躍を願っている。最後に馬瓜ステファニーが語った意気込みをお届けしたい。彼女たちの初戦は難敵・オーストラリアであることに加えて、世界が注目するOQTのオープニングゲームでもある。プレッシャーも予想されるが、頼もしい返事が返ってきた。

「正直、準備できることは全てやってきた自信はあります。あとはそれをどれだけ(OQTで)発揮できるかです。緊張しても仕方がないですし、オーストラリアさえ勝てれば勢いに乗れるので、気持ちとしてはプレッシャーより、もう向かっていく気持ちのほうが強いですね」

大会初戦は本日5月26日18時(日本時間)。FIBA 3×3のYouTubeチャンネルでLIVE配信予定だ。大一番に挑む彼女たちに日本からエールを送りたい。

五輪予選へ挑む3x3女子日本代表へ。日本からエールを送る。

TEXT by Hiroyuki Ohashi

FIBA 3x3 Olympic Qualifying Tournament 2021 大会公式ページ(英語)

FIBA 3x3 YouTubeチャンネル(英語)日本戦を含む試合をLIVE配信予定

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