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  • 2022.09.14

馬瓜姉妹が完全燃焼!高校生やプロも感激……「第1回 3×3 Marvelous∞」を振り返る

馬瓜エブリン、馬瓜ステファニー姉妹が、8月に名古屋のど真ん中・栄で初めて3×3の大会を開いた。町のシンボルであるテレビ塔をバックに、バスケットボールで盛り上がった会場の雰囲気は、最高そのもの。彼女たちと、出場した高校生、プロチームから寄せられた声で、マーベラスな1日を振り返りたい。

馬瓜姉妹が“完全燃焼”した1日
 「いやー-最高に楽しい1日だったと思います。というのも、私たちもですが、これだけ名古屋の皆さんがバスケ好きなんだというのが伝わりました。今まで積み上げてきたものが、今回形になってすごい嬉しかったです」(馬瓜エブリン)

 「こんなにも密度の高い1日は無いと思っています。自分たちの思いが入っているからこそ、本当にお客さんが入ることによって、小さかったアイディアがここまでいろんな人を巻き込んで、大きなものになり、形となって出てきたことが、本当に嬉しかったです」(馬瓜ステファニー)

 これは、馬瓜エブリン、馬瓜ステファニー姉妹が、8月15日に名古屋の久屋大通公園内にあるミツコシマエヒロバスで初開催した「第1回 3×3 Marvelous∞」(スリーエックススリー マーベラス エイト)を終えての率直な思いである。「日本でバスケットボールを観る機会を増やしたい」「地元愛知県を盛り上げたい」という願いを実現するため、2人は初めて企画からスポンサー獲得、運営までを主導し、3×3の大会をやりきった。夕方の囲み取材では、エブリンが「バタンキューですね(笑)」と漏らせば、ステファニーも「本当に今日1日でやりきった感がすごい!」と言う。表情からは“完全燃焼”の雰囲気がうかがえた。

 それもそのはず。二人は前日の会場設営にはじまり、この日はまさにノンストップだった。朝早くから現場入りし、9時からメディア対応、9時半頃からのオープニングから、マイクを代わる代わる握って大会MCのバスケットマン桜井と、MCを務めた。大会の午前部と午後部の間には小中学生へクリニックを開催。大会が再びはじまると、エブリンはDJの音響が「小さくないですか?」などと会場の様子も気にかけながら、束の間の休憩時間には、ステファニーとともに色紙やTシャツ、、バスパンへサインをするためペンをひたすら走らせた。大会終盤には2人そろってエキシビションゲームに飛び入り参加。もちろん足元はいつの間にか、スニーカーからバッシュになっていたが。


 ただ、こういった2人の奮闘もあって、会場は盛り上がった。名古屋のど真ん中・栄に設置された特設コートは、そのバックに町のシンボルであるテレビ塔がそびえる最高のロケーション。ここで、夏の日差しが降り注ぐ中、高校生の男女各4チームが熱戦を繰り広げ、そのプレーに会場に詰めかけた観客は沸いた。さらに、総当たり戦の末に1位になった男女の高校生たちは、エキシビションゲームとして3×3のプロチームに挑戦。特に、桜花学園高校の試合にOGである馬瓜姉妹が飛び入り参加した一幕は、人一倍の歓声が上がった印象だ。冒頭のような思いが2人にこみ上げてくるのも深くうなずける1日だったのだ。

高校生の声……「貴重な経験」「感謝したい」
 そして高校生たちも、今大会を目一杯楽しんだ。まず女子優勝の桜花学園高校は、安城学園高校、名古屋経済大学高蔵高校、陽明高校(台湾)に3戦全勝。初の3×3で、暑さも重なったが、菊地実蘭は「みんなでしゃべってやるのが、すごい良い経験になりました」と感想を明かし、菅原ことほも「普段の5対5の環境と違って外で暑かったけど、楽しかった」と、笑顔を見せた。

 また、エキシビションゲームでTOKYO BBに敗れたものの、馬瓜姉妹との共演は思い出にもなったようだ。「一緒にやらせてもらって、すごい貴重な体験ができて本当に良かった」と大久保陽菜が話せば、高木美波も「コートの中で的確な指示をくれたり、自分たちのことを引っ張ってくれて貴重な経験になりました」と、先輩たちとのひと時をかみしめた。
 試合の様子を見守った同校の長門明日香アシスタントコーチからは「(暑さで)しんどい1日でしたが(笑)、参加して良かったです」と感想が寄せられた。途中、暑さで4人の心が折れそうになったように見えたそうだが、「選手たちはそこを頑張り抜けました。良い意味で精神的にも肉体的にも、タフになれた夏になったと思います」と、その奮闘ぶりを称えた。

 続いて男子に目を向けると、茨城から遠征したALBORADA U18が2勝1敗で、見事優勝を飾った。桜丘高校には敗れたが、名古屋市立北高校、愛工大名電高校に“3人”で勝利を納め、勝敗で3チームが並んだ混戦を平均得点で制した。エキシビションゲームではNINJA AIRSに敗れたが、国内3×3シーンで結果を残すクラブチーム・ALBORADAで練習しているとあって、競技のコツを心得た試合運びは、栄でも際立った。

 大会を終えて、菊地玲皇奈は「強豪チームしかいなくて自分たちはあまり知られていないチームですが、やっぱりそういうチームに勝っていくのが無名の人たちに自信を与えられるのかなと思っています。仲間たちに感謝です」とコメント。増崎雄太も「自分たちはいつも練習で3×3をやっています。あまり他の人たちは自分たちがやっていることを知らないと思いますが、今日優勝ができて、やっていることを少しでも証明できたと思います」と、力強く話した。また、中田憲一郎は「馬瓜姉妹と会場を設営してくださった関係者の皆さんに感謝したいです」と、お礼を言った。

 ちなみに、彼ら3人がチームを組んで出場した大会は、Marvelous∞が2度目。優勝を弾み、更なる活躍も期待したい。

プロも感激!「こんな素敵な場所で3×3ができるなんて」
 一方で、プロチームの大人たちもスペシャルな1日を味わい、充実感を感じていた。とりわけ、TOKYO BBの岡田麻央は「すごく楽しかったです!こんな素敵な場所で3×3ができるなんてエブリンとステ(ファニー)には本当に感謝したい」と、感激で胸がいっぱいだった。愛知出身で、高校は名古屋経済大学高蔵高校に通い、Wリーグ時代はトヨタ紡織サンシャインラビッツで活動しただけあって、彼女にとってこの体験は格別だった。

 いま3×3の第一線で活躍し、その魅力を発信する岡田。馬瓜姉妹から送られた大会出場のオファーを「本当にありがたかったです」と明かし、こう続けた。

 「本当に高校生の大会を開いてくれること自体、とても3×3の普及にとって良いことです。あの二人がやってくれることで、広がりも大きく、私たち大人のプロチームも呼んでくれるという意味で、上と下の世代のつながりもできると思います。エブリンとステにしか、できないことだと思います」

 また男子では、NINJA AIRSがエキシビションゲームに登場し、ALBORADA U18との対戦で会場を沸かせた。彼らの3×3に臨む姿勢は常々“行ける大会があれば全部行く”がモットー。そんな中、今回ばかりは「正直、え、僕らでいいんですか!?(笑)」と驚きがあったと柏尾耕資は明かす。

 それでもコートに立てば、NINJAらしさは全開だった。4人が見せる抜群のコンビネーションと、ワイワイした仲の良さを名古屋のど真ん中で披露。大会後には忍者のポーズを真似して写真に映る男子高校生たちが現れたほどだ。
 試合を終えて柏尾はMarvelous∞を「これが3×3の醍醐味と言いますか、やっぱり外でお客さんがいっぱいる中でバスケットができる。これが一番、僕が好きな3×3の空間でした」と絶賛。3×3で全国行脚するチームに、またひとつ加わった思い出を、こうも教えてくれた。

 「コロナ禍で2、3年間、人が集まりにくいというか、そういう空気がありました。もちろん、これで払拭できたわけではありませんが、今後いろんなところでイベントが増えていったらいいなと思っています。今日は会場を見たときに、親御さんや学生さん、出てる選手の友だちが多い印象でした。全然見たことない方々がいらっしゃって、それはまた今までにない感じで、面白かったです」

大会は「もっともっとすごくなりますよ」
 本当に「第1回 3×3 Marvelous∞」は携わった全員が、楽しみ尽くした大会になった。馬瓜エブリン、馬瓜ステファニー姉妹の熱い熱い思いが、高校生や大人たち、会場に詰めかけた観客にもバンバン伝わり、あっという間に時間が過ぎていった。

 そして、第1回と銘打ってあるように、この大会はまだまだ続く。エブリンは「これはもっともっとすごくなりますよ、名古屋!最高に楽しい場所、バスケットボールの聖地になると思います」と、第2回に向けて意欲十分。ステファニーも「まだまだ大きくなる可能性を秘めた大会だと感じたので、これからも色々と頑張っていきたい」と決意を新たにした。

 大会のコンセプトは「日本の、そして世界のMarvelous(素晴らしい)な8チームの戦いを観戦できる大会」。今回は日本と台湾より高校生たちが集結したが、次はどんなマーベラスな顔ぶれがそろうのか。スケールアップした「第2回 3×3 Marvelous∞」を心待ちにしたい。

馬瓜姉妹が完全燃焼!高校生やプロも感激……「第1回 3x3 Marvelous∞」を振り返る

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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