アンダーアーマーが女子日本代表 本橋菜子選手とサプライ契約を締結
アンダーアーマーがWJBL 東京羽田ヴィッキーズに所属する本橋菜子選手とのサプライ契約を発表。
「女性アスリートの強い意志を体現し、挑戦し続ける」という本橋選手の姿勢に共感し、今後様々な面でサポートを行っていく予定で、本橋選手は9月24日から29日にかけてインドのバンガロールで開催中のアジアカップにおいて、アンダーアーマーのバスケットボールシューズ「UA NIHON3」を着用して試合に臨む。
■どん欲に上を目指す、遅咲きの司令塔
「普段のんびりしているので、みんなからおばあちゃんと呼ばれています」
本橋菜子ほど穏やかな笑顔を見せる、バスケットボール選手はいない。だが、一歩コートに足を踏み入れると、その表情はチームを勝利に導く司令塔の顔へと一変する。試合前、特に決まったルーティーンがあるわけではない。一人になることが多いが、話しかけられれば普通に会話する。意識しなくても、自然とスイッチが入る。そして、闘志あふれたゴールに向かうプレーで、仲間を勇気づける。それが本橋菜子のスタイル。
■チームのために
母と姉の影響で、気がついたらバスケットボールを始めていた。埼玉県出身だが、自分の力を試したいと、高校は東京の明星学園に進んだ。インターハイで3位になったことで、大きな自信を得る。早稲田大学では下級生の頃からスタメンに定着し、3年時にインカレを制覇。念願の日本一を達成する。大学ではもう一つ、大切なことを学んだ。
「試合に出ていない仲間が、チームのためにさまざまな形で貢献をしてくれました。そういう人たちの分まで頑張ろうと思えたし、彼女たちのおかげで今の自分がいるんだなと感じるようになりました」
自分はチームのために何ができるのか。どんな環境でも自分ができることをやろう。この時学んだ姿勢は、今につながっている。
■挫折で知った、バスケへの思い
大学4年目のシーズン、本橋はインカレを連覇して、きっぱりバスケットボールをやめるつもりだった。これまで精一杯やってきたという自負もあった。だが、シーズンを棒に振るほどの大きなけがを負ってしまう。
「初めてバスケットボールができなくなって、自分がどれほどバスケを好きなのか気づきました。このままじゃ終われない」
大学卒業後は羽田ヴィッキーズ(現東京羽田ヴィッキーズ)に入団した。当時、リーグの中で上位チームとの力の差は明らかだったが、本橋にとってはそれがモチベーションになった。
「もっと上手くなりたいし、まだまだ成長できると思うとワクワクします。そういう気持ちで上のチームとも対戦していますし、絶対に届かないところじゃありません」
本橋の言葉通り、チームは着実に階段を登り続けた。昨シーズンはプレーオフで強豪を撃破し、最終順位は歴代最高の6位となった。
■日の丸を背負って
昨年、本橋は初めてW杯の日本代表に選出された。各年代での代表経験がまったくない中、24歳での初選出は異例だった。
「まさか選ばれるとは思っていなかったので、驚きました。自分が積み重ねてきたことが評価されたのかなといううれしさと、せっかく得たチャンス、やるしかないという思いでした」
本橋の積極果敢なドライブは、国際大会ではゴール下の大きな選手に阻まれることもあった。だが、「いろんな経験をして、工夫すればブロックされない自信がつきました。世界と戦う時ほど、自分のスピードを生かせるはず」と、世界の壁を一つずつ乗り越えている。
9月24日に開幕したアジアカップで、日本代表は大会4連覇を目指す。チームの中心選手として、本橋にかかる期待は大きい。アジア王者の地位を不動のものとして、再び世界に挑むために。遅咲きの司令塔は決して満足することなく、どん欲に上だけを目指している。