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  • 2021.12.28

日本郵政 presents 『Real story behind 3×3』 vol.9 池辺恭平(日本郵政株式会社)

これは3人制バスケットボール、3x3(スリーエックススリー)に携わってきた人たちのストーリーである。このバスケは、2021年夏の東京オリンピックで世界的に注目を集めたが、その歴史は浅く、五輪の正式種目決定はわずか4年前の2017年だった。本連載では、日本で3x3を黎明期から支えた9人のこれまでと、これからの歩みや競技シーンに向けた思いを綴っていく。最終回のvol.9は、日本郵政株式会社広報部グループリーダーの池辺恭平氏にフォーカスした。

創業150年の企業が応援
 身長186cm――選手のように大柄だが「秘密兵器で終わりました(笑)」と中学校時代に所属したバスケ部でのエピソードを話すのは、2019年から3x3を支える日本郵政株式会社の担当者、池辺恭平氏だ。同社広報部グループリーダーとして、3x3日本代表の協賛および『3x3日本選手権大会』や『3x3 JAPAN TOUR』へ大会協賛を実施。時には表彰式で選手へチャンピオンボードを渡すプレゼンターを務め、大会をクロージングする役目も担った。

 また、競技のすそ野を広げるサポートも行った。例えば『YOSK CHALLENGE』(ヨースケチャレンジ)や『WORMAiD』(ワームエイド)といった若い世代に向けて現役選手たちが行う取り組みへの支援も、そのひとつ。さらには『POST to the FUTURE』という3x3日本代表応援プロジェクトを立ち上げ、魅力の発信も行った。特設ホームページを立ち上げて、3x3のルール解説や、音楽プロデューサーでm-floの☆Taku Takahashiとラッパー・JP THE WAVYとコラボしたオリジナルテーマソング『Dunk』を制作。東京オリンピック3x3日本代表の落合知也ら選手を起用したムービーまで幅広く手掛けた。
 2021年で創業150年に及ぶ歴史ある企業と、バスケ好きの担当者はトップカテゴリーからグラスルーツまで競技のすべてを全力で応援しようと力を注いだのだ。

きっかけは「オリンピック」だったけど
 日本郵政が3x3の支援をはじめたきっかけは「東京オリンピック・パラリンピック」に向けてオリンピック新種目となった競技の可能性を感じたから。ただ、これはあくまでも“きっかけ”に過ぎなかった。池辺氏は協賛を決めたのち、競技関係者や選手と会う機会を通して、サポートへの思いを強くした。

「JAPAN TOURなどの大会へおうかがいしたり、打ち合わせだったりで、競技に携わる皆さんからお話を聞くにつれて“3x3を日本で普及させるんだ”という熱い思いを持っている方が本当にたくさんいると感じました。弊社は他の競技もサポートしているのですが、その熱量が3x3はより大きく、それも全国各地で活動されているチームがあるので、国内で24,000の郵便局がある我々が力になれると改めて思いました」

 また、同社にはもともと「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」という日本近代郵便の父・前島密の信条が根付いていた。こういった企業精神からしても、発展を目指す3x3に携わる人たちを下支えしていきたい気持ちは、より増していったのだ。

競技が広がるタイミングに支援できて
 池辺氏は自身の経験から競技の魅力を2つあげる。ひとつは、現場の思いを知ったからこそ感じる、試合時間10分(または21点ノックアウト勝ち)一本勝負に詰まったドラマだ。「選手の皆さんは競技を背負っている方がいますし、仕事をしながらも人生をかけてやっている方もいます。そういったドラマが10分間に集約されている試合には、熱いものがあります」と言う。
 もうひとつは、秘密兵器で終わった中学校時代を思い出しながら、個とチームが融合することで生まれる3x3の良さを感じていた。

「5人制だと出番の無い選手もいますよね。それは中学校時代の私なんですけど(笑)。でも、この競技であれば4人で試合をする間に交代をしないことはまずあり得ないでしょう。誰にでも出番があって個人の力ではなく、チームで戦うことが大事です。個人とチームスポーツの良いところ取りをして、試合に挑んでいく素晴らしい競技だと思います」

 そして池辺氏は3x3日本代表の活躍によって競技に注目が集まった東京オリンピック・パラリンピックについて「3x3が広がっていくタイミングにサポートができて、本当に嬉しかったです」と振り返る。結果については担当者というよりも、一人のファンとして思わず一喜一憂してしまっただけに、いまもその記憶は鮮明だ。男子代表が劇的勝利で決勝トーナメント進出を決めたドラマチックな展開や、女子代表がアメリカ代表に勝った日本バスケットボール史に残る試合を見て「こんなに素晴らしい競技を僕たちは応援していたんだぞ!」と誇らしい気持ちにもなった。代表選手たちが競技の魅力を体現した姿に、改めて3x3の可能性を感じた。

今だからこそ思う……「普及」の思い
 ただ、オリンピックで3x3に日の目が当たった一方で、池辺氏はその未来を考えて「普及」をしないといけないとも考えている。齊藤洋介(UTSUNOMIYA BREX.EXE)が取り組む高校生の3x3挑戦プロジェクト『YOSK CHALLENGE』や、落合知也の若手育成プロジェクト『WORMAiD』への支援も、その思いがあってのことだ。
 もちろん、普及については「日本郵政はスポーツ関連企業ではないので、直接的な利益は発生しないんですけどね」と協賛社としての立場を勘案した上で言及している。ただそれでも、2019年から競技シーンと歩んだからこそ感じる隆盛と、「縁の下の力持ちになることを厭うな」という挑戦する人たちを支える企業精神を踏まえれば、そう考えずにはいられなかった。

「オリンピック新種目になり、競技に携わる皆さんが頑張ったことで、3x3が盛り上がってきました。これを未来へつなげるにためには、次に3x3を支える人たちが出てきて欲しいですし、やりたいという人たちを応援していきたいです。また、直接的なメリットはなくても、私たちの事業は地域に支えられています。その町で若い方が頑張る姿は、地域の活性化にもつながるでしょう。結果的には、本業や世の中の発展につながるのではないかと思っています」

 こういった思いがあるからこそ、2021年12月18日、19日の『U18 3x3日本選手権大会』の結果に池辺氏も胸が熱くなった。男子は群馬県みなかみ町のMINAKAMI TOWNの選手たちによる指導を受けたOWEN(オーウェン)が大逆転の末に初優勝を飾り、女子は5人制の強豪校である岐阜女子高校が初出場で初優勝。「5人制にとっても、3人制にとっても良い大会になって、3x3の未来を見ている感覚になりました」と、興奮を隠しきれない様子だった。

より3x3が盛り上がる未来を願って
 日本郵政が3x3をサポートして今年で3年目。コロナ禍のため、普及イベントを全国で行う当初の計画から変更を余儀なくされた中、池辺氏は競技をサポートする取り組みを様々に行ってきた。ときには自身の手から離れて、渋谷区内にある郵便局とTOKYO DIMEがタッグを組み、フレーム切手の販売や店頭に設置するのぼり制作など、地域を盛り上げるプロジェクトを裏方として携わることもあった。3x3を包み込むような数々の支援があってこそ、いまの競技シーンがあるのだ。
 現在、郵便局は全国に24,000局。社員は約40万人に及ぶ。その家族や局を訪れる利用者も考えれば多くの方が、3x3という言葉に触れたことになる。3年間の取り組みによって「3x3に携わる皆さんには、全国にサポーターがいる気持ちで活動をしていただきたいですね」と、池辺氏は一定の手応えも実感して、エールを送る。

 そして最後に、今後の3x3シーンへ次のように期待を込めた。オリンピックで盛り上がった競技が、次世代によって、より盛り上がる光景を願って。

「我々が3x3に携わる皆さんと一緒になって競技シーンへ種をまけた取り組みがあると思います。ゆくゆくは、それが育って次世代を担っていただくようになると、応援させていただいた身としては、こんなに嬉しいことはありませんね。『Post to the Future』という企画名も未来を一緒に作りましょうという意味を込めました。この3年間の活動が、これからの3x3を創っていく力になって欲しいです」

日本郵政 presents 『Real story behind 3x3』 vol.9 池辺恭平(日本郵政株式会社)

TEXT by Hiroyuki Ohashi



YOSK CHALLENGE



WORMAiD


https://www.japanpost.jp/3x3/

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