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  • 2022.01.11

『3×3 Super Circuit 2022』の序盤戦……1位通過はTOKYO DIMEとYUWA MONSTERS

2022シーズンへ向けた戦いが幕明け――3x3の世界大会へつながる国内ツアー大会『3x3 Super Circuit 2022』が、昨年12月4日に東京で、26日に大分でそれぞれ開催された。ここでは、3月に控えるFINAL行きの出場権を勝ち取ったTOKYO DIMEと、YUWA MONSTERSの戦いぶりやと、新シーズンにかける意気込みをお届けしたい。

日本から世界へ続く道
 『3x3 Super Circuit 2022』は、2022シーズンに開催予定の世界大会『FIBA 3x3 Challenger』の出場権(※)が獲得できる国内ツアー大会だ。全国で7度の予選Roundを行い、各1位のチームと、敗者復活戦となるワイドカード(1枠)を制したチームの計8チームが、3月13日のFINALへ進出。優勝チームには世界への道が開かれ、Challengerを勝ち抜けば、Mastersと呼ばれるクラブチームNo.1を決める上位大会も視界に入る。

 今ツアー大会は昨年12月に幕を明け、早くも2チームが予選を突破した。一番乗りは、12月4日のRound.1 TOKYOで圧倒的な強さを見せた強豪・TOKYO DIME。不動のメンバーに、ニューフェイスを入れながらも全試合KO勝ちを決めた。続いて同26日のRound.2 OITAでは、九州の3x3シーンでおなじみの阿刀秀嗣を中心としたYUWA MONSTERSが1位通過を決めた。

ベテランチームに“機動力”
 TOKYO DIMEの“機動力”――この3文字を見て、ちょっと驚いたファンがいれば、3x3通かもしれない。ここ2年のベストメンバーは、鈴木慶太、小松昌弘、岩下達郎という不動の3人に、Bリーガーの落合知也(越谷アルファーズ)を加えた布陣。豊富な競技経験に基づく試合運びと抜群の対応力を見せる、アラサー・アラフォーのチームだった。
 しかし、今大会はモデルチェンジ。鈴木(#7)と小松(#70)はそのままに、26歳の西畝優(#99)と22歳の東野恒紀(#98)が躍動した。西畝は昨夏、兄弟チームのOSAKA DIMEの一員だったが、昨秋のJAPAN TOURからTOKYO DIMEでプレーし、この日も持ち味のジャンプ力をいかしてドライブや2ポイントを連発。東野はBリーグ2020-21シーズンに越谷アルファーズの特別指定選手(当時大学3年生)として活動した新鋭で、大学4年生の現在はBリーグ挑戦(今月6日にベルテックス静岡と特別指定選手契約)とともにDIMEで3x3の練習もはじめた。この日が初の公式戦だったが、キレのあるドライブで相手をかき回して、1位通過に大きく貢献。チームとしても、予選は2試合ともに22点ずつを奪って快勝し、準決勝のTOKYO LEDONIARS戦を21-6、決勝のDominate戦も21-11で危なげなし。20代の2人を、鈴木と小松がリードし、ときにはプレーを任せる姿は、新たなTOKYO DIMEを見ているようで新鮮でもあった。

 試合後、小松は「今までにない……足を使えているバスケができていますね」とコメント。もちろん、おなじみの4人による良さもあったが、機動力は「弱み」だっただけに「今日の試合は1対1で抜かれたケースがほとんど無かった」と手応えを感じた様子だった。

 また、鈴木も新たなメンバーとの試合に「いつもと違う仲間の頼もしいプレーを見ると嬉しい」と話す。特に2人の強みはドライブとあって、これまでにない感覚もあるようだ。

「今までだったら、ボールを味方に渡して『(1対1を)どうぞ、どうぞ!』というシーンが無かったじゃないですか(笑)。もう1回、僕がボールをもらいに行かないといけない感じでしたけど、(西畝)優や、(東野)恒紀であれば、状況によってはそれができるので、楽しかったです」

1年目のチームに九州名物あり
 一方で、新しさとおなじみな印象をRound.2 OITAのYUWA MONSTERSからも感じた。結成は2021年。福岡を拠点に始動したばかりのチームを引っ張るのは、2014年から3x3をプレーする34歳の阿刀秀嗣(#6)だ。今大会は金子陸(#16)、萩原脩斗(#12)、小川真弘(#24)の仲間と臨み、4戦全勝。予選の2試合をKO勝ちすると、準決勝でDevils Oitaを21-15で下し、決勝ではS.ONEを21-14で破った。

 チームの強みは「ハッスル」できること。これは長年見せる阿刀のプレースタイルとも重なる。「僕たちの良さはルーズボールを頑張る、リバウンドを頑張るなど泥臭く球際で体を張って、それも全員が同じ強度でやれるところ」だと言う。この日も「Devils Oitaとの試合から自分たちの強みが出ました。シュートは波があって、決勝も入らない時間帯がありました。でも、球際で負けないように頑張るところをタフなゲームでやり続けることができました」と勝因を振り返った。

 また、阿刀と言えば2014年にSUNS.EXEで3x3デビューし、以降は九州の競技シーンを盛り上げる言わば“名物的”な選手の一人である。過去には世界大会にも出場したほどだ。2021年を締めくくった試合後、東京オリンピックによって競技シーンへスポットライトが当たったことによる変化をこう感じていた。

「やっぱり、僕らの試合を配信で『見たよ!』と声をかけていただく頻度が増えました。思いがけない方から感想をいただくこともありましたよ。コロナ禍で難しいのですが、もちろん現場に皆さんが来て欲しい気持ちもあります。ただ、とっかかりとして3x3の配信を見る方が増えた要因に、東京オリンピックや、(MastersやChallengerという)世界大会がずっと配信されてきた効果が出ていると感じています。本当にありがい気持ちですし、嬉しい一年でしたね」

2022シーズンに懸ける思い
 このように、ツアー序盤戦は新旧戦力の融合したチームが主役を張った。1位突破を決めたチームへ今後の意気込みを聞けば、やはり意欲的なコメントが返ってくる。
 TOKYO DIMEは、鈴木が「もう一度、世界で戦いたい」と、今シーズンに懸ける思いを公言すれば、小松も「海外で戦えるようにChallengerやMastersを狙って活動をしていきます。出場権を取れる機会があればどんどん参戦していく方針に変わりはないです」ときっぱり。コロナ禍の感染状況は予断を許さないものの、2年ぶりの世界へ募る気持ちは大きい。

 また、YUWA MONSTERSの阿刀も「3x3は自分たちのアンテナと行動力さえあれば、どんな高いレベルでも戦うチャンスがつかめる」と話した上で、意気込みをこう語った。

「ハイレベルな試合経験を積んでいきたいですし、戦いの向こう側にYUWA MONSTERSというチームを皆さんに知っていただきたいです。今よりも良いチームに仕上げて、FINALを戦います」

今後も、2022シーズンのスタートダッシュを切りたい前のめりなチームの登場を期待したい。

<今後の大会スケジュール(予定)>
Round.4 2022年1月16日(日)千葉
Round.5 2022年2月11日(金・祝)茨城
Round.6 2022年2月19日(土)京都
Round.7 2022年3月6日(日) 徳島
ワイルドカード 2022年3月12日(土) 東京都
FINAL 2022年3月13日 (日) 東京

※国際バスケットボール連盟(FIBA)の判断により『3x3 Super Circuit202』の主催者が確保予定の『FIBA 3x3 Challenger』が中止になった場合は、出場権も無くなる見込み。

『3×3 Super Circuit 2022』の序盤戦……1位通過はTOKYO DIMEとYUWA MONSTERS

TEXT by Hiroyuki Ohashi



大分予選写真提供 : @yucamera_bb



大会予定・エントリー詳細

https://handoff-all.jp/2021/11/25/3x3sc22/

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