「ひとつふたつでは無い」アップグレード
過去、彼らは来日してこのような場を設けてくれるが、やはり今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、ZOOMによるオンライン会見へ移行。それでもエグゼクティブ･プロデューサーのエリック・ベニッシュは、「今作で良くなった部分は、ひとつふたつでは無いことです。とても広範囲に、いろいろなことがアップグレードされています」と、注目を集めるタイトルの出来栄えについて語った。

デイミアン・リラードのリクエストも実現
まず今作は最高の没入感をゲームで体験できるよう、これまで以上にリアルなグラフィックを実現。ゲームプレイは進化したプロコントロールによって、史上最高の操作性を誇るという。マイチームでは年間を通して楽しめるよう常に進化。PlayStationとXbox においては現世代機から次世代機へゲームデータの移行もできるようになっている。

そしてマイキャリアでは『2K21』のカバー（通常版）であるデイミアン・リラード選手のリクエストを受けて、203㎝までの大型PGを生み出すことも可能になった。また新たに、公認を受けた10の大学がインテグレード。2作連続で日本のオフィシャルアンバサダーを務める八村塁選手の母校･ゴンザガ大学やテキサス工科大学、ミシガン州立大学などを選択することができる。マイGMやマイリーグを含めて、ゲーム上のカレンダーも、来季のNBA開幕見込み時期となる12月にアップデートされるなど、リアリティを高める工夫がされている。

さらにネイバーフッドには新たに「2Kビーチ」が登場。開発メンバーの地元カリフォルニア州南部にある実際のビーチがモデルにされており、「開発者として、ここにありったけの思いをこめました（製品開発ディレクター、チャン・ユー）」と、渾身のクリエイティブになっている。

コロナ禍の影響を受けたことで
一方で、NBAがコロナ禍で2019-2020シーズンの中断という影響を受けたように、彼らもそれと無縁ではなかった。会議などのコミュニケーションは対面からオンラインになって、開発環境は「普段よりも苦難があった状況」とベニッシュは明かす。しかし変化を迫られながらも、「非常に開発チームとしてコロナ禍に適応して、とても良いものができたと思います。全体の指揮を執るなかで、私も結果的に適応して、こんな素晴らしいものができたということを、誇らしく思っています」と、仕上がりに胸を張った。

また『2K21』はコロナ禍による変則フォーマットによって、プレーオフ期間中にローンチを迎える。例年であれば、オフシーズンの9月ごろの発売であったことを思い返せば、これも影響のひとつ。「通常であれば、私たちのゲーム開発時期は６月以降です。リリースがオフシーズンになりますけれども、今年は本当に誰も経験したことがないような、年になっています。そういう状況でプレーオフ期間中であることで、NBAに対するファンの皆さんの意識が高い状態を維持している中でリリースを迎えることは、我々へプラスに働いたと思います（ベニッシュ）」と、禍が思わぬメリットを開発チームへもたらした。。

バスケットボールにかける情熱のレガシーとして
お披露目まで残すところ1週間を切った。注目を集める今作であるが、通常版に加えて“マンバ フォーエバー”エディションがラインナップされていることも、その大きな理由だろう。1月に不運の事故で41歳という若さで亡くなったコービー・ブライアント氏がカバーとなっている。私たちにとって彼の存在が大きかったように、開発メンバーもそれは同じ。「コービー・ブライアントをカバー、あるいはフィーチャーするにしても、別の形であったらと心から思います。その気持ちは否めません。今回、“マンバ フォーエバー”エディションは、大変な反響をいただいております。開発者の私たちにとっても、ファンの皆さんにとっても、彼が生きた、バスケットボールにかける情熱をレガシーとして残されるかたちになります。この取り組みができたことに関して、私たちも誇らしく、ありがたく思っています」と、ベニッシは語った。

コロナ禍を経て、開発チームが情熱を注いで制作した『NBA 2Ｋ21』を、早く私たちも楽しみ尽くしたい。

まもなく発売開始、『NBA 2K21』の開発チーム会見レポート

『NBA 2K21』 9月4日(金)発売
公式サイト
TEXT by Hiroyuki Ohashi