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  • 2020.09.03

ジョエル・エンビードSTORY (前編)

アンダーアーマーがジョエル・エンビード選手初のシグネチャーシューズ「UA EMBIID ONE」を9月19日(土)発売。
この発売に向けて「ジョエル・エンビードSTORY」が順次公開される。

ジョエル・エンビードSTORY(前編)

ある日、人生が変わった


16歳の時、僕は痩せっぽちでぶかぶかの半袖シャツを着ており、ファッションセンスもゼロ。母親から早く帰って宿題をするよう言われていたので、毎日バレーボールの練習からダッシュで帰宅していました。

ある日を境に、僕の人生は大きく変わりました。背が高かったこともあり、あるコーチに声をかけられ、NBAのキャンプに招待されたのです。当時、バスケットボールをちゃんとプレーしたことはありませんでした。母親が買い物に行っている間に家を抜け出して、公園で少し遊ぶ程度。キャンプは次の日から始まると告げられました。まさに一生に一度のチャンス。自分を信じてこのキャンプに参加すれば、必ずNBAに行けると本気で信じていました。これが運命だと。

なんてね、冗談です。自信なんて1ミリもありませんでした。見知らぬコーチがいきなり話しかけてきて、「キャンプに参加すればアメリカに行ける」と訳の分からないことを言うのです。「アメリカ? お言葉ですが、ドリブルすらまともにできないのですが…」と目で訴えながら、コーチの話を聞いているだけでした。キャンプに参加して恥をかくのが怖い。だからキャンプに行かなかったのです。母親は家を留守にしており、父親は仕事。当時は携帯電話なんてなかったので、誰にも見つかることはありませんでした。千載一遇のチャンスだというのに、家で弟のアーサーと一日中ゲームをしていました。

アーサーは母親のお気に入りで、何をしても許されましたが、逆に僕には厳しかった。そこで、母親の留守をいいことに、宿題を放ったらかして普段できないゲームを思う存分プレーしました。NBAへの夢が幻となっていく中、急に父親が帰宅しました。私がキャンプに現れなかったので、コーチが父親に連絡をしたのです。父親は軍人です。しかも、ただの軍人ではなく、絵に描いたような典型的な将校です。声を荒げなくても、目を見れば背筋が凍るほどの威厳にあふれていました。

父親に知られた以上、僕には次の日にキャンプに行って恥をかくという選択肢しかありませんでした。それでも、コーチ陣は僕が来ないのではないかと思い、家まで迎えに来てキャンプへ連行していきました。僕はひたすら「悲惨な結果が目に見えているのに、なぜみんなはこんなに自分を気にかけるのだろう」と道中で考えていました。

キャンプでは初日にダンクを決めました。マイケル・ジョーダンみたいに華麗に宙を舞ったわけではないけれど、相手を飛び越えて、ほとんど跳ばずに決めました。そしたらみんなが「やばっ!」みたいな雰囲気になって。まさか、この日で人生が変わるなんて思っていませんでした。心のどこかでは、まだ家に閉じこもってゲームをしていたかったのです。キャンプで注目を浴びたおかげで、南アフリカで開催されるバスケットボールの大会に招待されました。ここでもスカウトの目に留まり、アメリカの高校に進学してプレーすることになったのです。一瞬の出来事でした。数カ月ですべてが進み、カメルーンを出発してフィラデルフィア・セブンティシクサーズにたどり着くまでの期間は3年。両親やコーチたちが僕を信じていなければ、きっと未だに家で弟とゲームをしていたでしょう。一人では決してこの夢を叶えることはできませんでした。カメルーンを離れて3年。一度も戻ってくることができないほど、あっという間に時は過ぎました。

後編へ続く

UAエンビード1

サイズ: 25.0cm-30.0/31.0cm
価格: ¥12,500 (税抜)
カラー: Black / Steel / Black (001)

https://www.underarmour.co.jp

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