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  • 2023.01.14

「3×3 SuperCircuit 2023」に現役大学生や女子強豪チームらが登場…埼玉、宮崎、東京ラウンドを振り返る

昨年12月から年明けにかけて、「3x3 SuperCircuit 2023」は埼玉、宮崎、東京で予選ラウンドが開催された。現役大学生の3x3挑戦を筆頭に、新加入選手の活躍や地方チームの奮闘、競技シーンを席巻する女子チームの登場など、様々な選手やチームが各地でインパクトを残した。2月のFINALに向けた戦いの模様を振り返る。

ALPHASで大学生が3x3に挑戦中
 まず、昨年12月17日に埼玉県春日部市にあるアルファーズコートで、埼玉ラウンドが開催された。会場名があらわす通り、3x3チームのALPHAS 3x3 BASKETBALLや、5人制の越谷アルファーズを運営する株式会社フープインザフッドが大会を誘致。男子12チームが集結し、ラウンドを制したのは、そのALPHASだった。Marko Milakovic(#16)とTeodor Atanasov(#21)のセルビアンボーラーたちと、望月渚生(#11)、田中晴瑛(#17)の4人でホームを守った。

 3チームによる予選プールで、2戦連続の22点KO勝利を飾ると、準決勝ではTSUKUBA ALBORADAを21-18で撃破。TOKYO DIMEとの決勝では、210センチのAtanasovの高さや、Milakovicの好守も光ってリードを奪うが、シュートの精度を欠き、終盤には同点へ追いつかれる展開に。それでも再び勝ち越すと、最後は大学生の田中が2Pシュートを決めて、13-10で逃げ切った。

 田中は試合後、優勝について「素直に嬉しいです」と笑顔で振り返った。5人制では、駒澤大学バスケットボール部に所属する2年生であるが、「いろんなことに挑戦したいと思っていた」ときにチームの選手募集をSNSで知り、トライアウトへ参加。選考を突破して、U-23特別選手として昨年6月にチームへ加入した背景を持つ。

 競技経験こそ浅いがポイントガードということもあり、視野が広く、ドライブや2Pシュートを打ち切る強さもあった。本人は身長178cmと選手として小柄で、コンタクトの弱さに課題を感じていたそうだが、3x3の経験を通して「何か(5人制に)通ずるものがあると思います。どんどんレベルアップしている」と、手ごたえを感じている。

 もっとも、セルビアンボーラーたちとのコミュニケーションは「英語でちょっとずつ(笑)。でも、頑張ってます」と、苦労もあるようだ。それでもプレーを見る限り、MilakovicやAtanasovとのコンビネーションも良い。会場に訪れた同社の浅井英明社長も「若いながらすごい活躍しているので良かったと思う」と、シーズンを追うごとに成長した様子を感じていた。

危機を乗り越え…大濠OBの競技にかける思い
 そして年明け早々の今月8日には、2つの予選ラウンドが開催された。ひとつは、綾町体育館で開かれた宮崎ラウンドである。猪崎大介氏が代表を務めるB-LAB MIYAZAKIが大会を誘致した。猪崎氏は元3x3の選手で、第6回3x3日本選手権で優勝したXDの猪崎智子の実弟である。

 男女共催の予定だったが、あいにく女子は出場チームの辞退により、不戦勝でXDの優勝が決まった。しかし、8チームがエントリーした男子では熱戦の末に、TEAM FUKUOKAが優勝を飾った。

 試合後、チームをまとめる金子陸(#16)は「予選(プール)からタフな試合が続きましたが、決勝で一番、チームの良いディフェンスとオフェンスができました。練習した成果を出せたことが、一番良かった」と話した。4チームによる予選プールは3戦全勝だったが、愛知のS.ONEに21-18と楽な試合はひとつも無かった。

 それでも、準決勝でEXPLORERS KAGOSHIMAに21-8で圧勝すると、決勝では2度目のマッチアップとなったS.ONEに21-11で快勝した。相手は、準決勝で東京から遠征したSHINAGAWA CCを20-16で破っていたが、金子、稲盛綱城(#3)、萩原脩斗(#12)、瀨﨑慶彦(#14)でリバウンドやルーズボールなど球際で強さを発揮。好守から良い攻撃へ転じて、試合を決めた。

 これで、彼らは2度目のFINALを決めた。昨年はYUWA MONSTERSというチームだったが、昨春オーナー会社が撤退。一時は活動継続の危機に陥ったが、それを乗り越えて新たな支援先が見つかり、TEAM FUKUOKAとして活動している。金子は名門・福岡大学附属大濠高校のOBで、このチームの立ち上げメンバーの一人。SuperCircuitや、西日本に拠点を置くチームで構成されたリーグ戦「3x3WEST」の隆盛によって、競技シーンの「変化」を感じながら、いま3x3に打ち込んでいる。

「大会運営をやっていただくスタッフの方が、かなり増えてきた印象があります。地方でそういった方々が頑張っていらっしゃる結果が、少しずつ西日本で3x3が盛り上がる形になっている印象です。ただ、運営側に頼らず、選手側から(盛り上げる)動きも出てこないと、ここから先の発展は難しいとも考えています。僕たちが率先してやれるように頑張っていきたいと思います」

BEEFMAN NEXTの新戦力は元Bリーガー
 8日にはもうひとつ、渋谷区ひがし健康プラザで東京ラウンドが開かれた。TOKYO DIMEが大会を誘致し、男女共催の試合をはじめ、キッズクリニックや3x3体験会を開催。会場には300人の入場規制がありながらも、チケットの入れ替え制で工夫し、延べ400人が訪れたという。


 ただ、そんなホームの声援を受けてTOKYO DIMEは優勝を目指したが、男子は1勝1敗で予選敗退に終わり、女子は惜しくも決勝で敗れた。チャンピオンボードは、男女ともにいま勢いに乗るチームが掲げた。

 男子のチャンピオンには、千葉ラウンドを制したBEEFMANの兄弟チーム・BEEFMAN NEXTが輝いた。葉山郷(#50)、伊藤大和(#30)、佐野隆司(#34)、戸堀春輝(#14)の4人で予選を2連勝で突破すると、準決勝でSolviento Kamakuraを21-14で下し、決勝ではHACHINOHE DIMEを22-18で撃破。とりわけ、Bリーグキャリアを持つ新戦力・佐野の2Pシュートは、優勝に欠かせなかった。本人も「僕の武器は外のシュートだと思っているので、強気に打ってその結果入ったので、すごい良かった」と振り返る。

 彼の加入は、チームの成績にも結びついており、先月2度出場したS.LEAGUEという大会も含めて、現在、3大会連続で優勝しているそうだ。「運良くというか、負け無しなので、ホっとしてる部分と、次の大会に向けたプレッシャーがあります(笑)」と佐野は明かし、新天地で励む3x3について、こう続けた。

「チームの役割で言えば(過去に所属した)相模原(プロセス)や(東京)ヴェルディでは若手が多かったので、自分が引っ張る立場でした。でも、ここでは少し立場が変わり、年齢で言えば中堅です。今日はチームで最年長(30歳)なので引っ張らなくちゃいけなかったけど、BEEFMANには野呂(竜比人)さん、清水(隆亮,)さんなど、ずっと3x3をやってた方がいます。学べる部分がたくさんあって、すごく充実してます」

競技シーンを席けんするG FLOWの3人目
 一方で、女子はG FLOWが力の差を見せて、チャンピオンになった。昨春の始動以来、競技シーンを席巻する4人組は、3連勝で予選プールを抜け、TOKYO DIMEとの決勝も21-14で快勝した。相手のディフェンスに苦しめられる場面はあったものの、180cmの大黒柱・李人竹(#6)がインサイドを支配し、矢上若菜(#5)がチームをまとめた。八木希沙(#7)と井齋沙耶(#8)も球際で強さを見せ、チームプレーの中から得点に絡むなど、勝利に大きく貢献した。

 その八木は大会後、「決勝がたぶん一番激しかったと思いますが、予選の3試合はみんな、あまり思うようなプレーができなくてフラストレーションを溜めていました」と明かした。それでも「決勝は我慢しながら戦えました。それが最後に試合で出せたので良かったと思います」と、語った。

 我慢強さは、G FLOWが躍進し続ける原動力。主要タイトルである3x3.EXE PREMIERやJAPAN TOUR FINALでの初優勝は、どれも劣勢の展開を乗り越えてつかんだものだった。さらに、好成績の背景には、矢上と李のみならず、3人目を務める八木や井齋の働きぶりも見逃せない。八木は、身長164cmと選手としては大きくないが、攻防両面でチームの余白を埋めるような選手。彼女はどんな意識でチームにアジャストしているのか。その言葉からは、改めてG FLOWの強さが感じられた。

「私は目立たないところで頑張ろうという意識があるので、ディフェンスとリバウンドですね。ただ、(オフェンスでマークが)空いたときにはポンッてパスが来るので、それは決められるように準備しています。(相手に)“やられた!”と思われるシュートを決められるように心がけています」

予選ラウンドはあと3大会のみ
 埼玉、宮崎、東京ラウンドの結果によって、2月5日に開催されるFINALの出場チームは、男子が8チーム中4チーム、女子は4チーム中2チームの出場が決まった。残る予選ラウンドは、あと男子が3ラウンド、女子が1ラウンドのみ。特に、男子はFINALで優勝すると、3x3クラブ世界No.1を決めるツアー大会の一角「FIBA 3x3 Challenger」の出場権も獲得できるだけに、残るFINAL出場権を目指して、より一層熾烈な戦いが増えていきそうだ。

 2023シーズンの前哨戦を引き続き、楽しみにしていきたい。

【大会公式SNS】

・Instagram @3x3_super_circuit



【今後の大会スケジュール】
●予選ラウンド
・1月15日(日) 京都ラウンド@BACKDOOR BASE(京都市)
・1月15日(日) 神奈川ラウンド@高津スポーツセンター(川崎市)
・1月21日(土) 茨城ラウンド@つくばカピオ ★

●ワイルドカード(※)
・2月4日(土) 男子ワイルドカード@つくばカピオ
・2月4日(土) 女子ワイルドカード@検見川総合運動場体育館

●FINAL
・2月5日(日) @TIPSTAR DOME CHIBA(千葉市)

 ★は女子カテゴリーも同時開催
 ※ワイルドカードのエントリー条件は、予選ラウンドのいずれかに出場していること。

TEXT by Hiroyuki Ohashi



PHOTO by Kasim Ericson

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