3×3の次世代を創る取り組みが再び……『YOSK CHALLENGE』SEASON2が始動
高校生の3×3挑戦を、日本トップクラスのプロ選手が完全サポートーーUTSUNOMIYA BREX.EXE所属の齊藤洋介が取り組む『YOSK CHALLENGE』が、今年も始動する。SEASON1となる昨年度の振り返りと、SEASON2となる今年度の取り組みについて本人へ話をうかがった。(取材日:5月5日)
SEASON1は「本当にやって良かった」
いまから約1年前――高校生の3×3挑戦をサポートするプロジェクト『YOSK CHALLENGE』が立ち上がった。発起人はUTSUNOMIYA BREX.EXE所属のYOSKこと齊藤洋介。当時は東京オリンピックに向けた3×3日本代表候補として選考の渦中にいた中、3×3の次世代を創る取り組みを始めた。全国から3×3に興味のあるチームを募り、11チームを採択。個人参戦の希望者にも門戸を開きトライアウトによる2チーム(男女1チームずつ)を加えた13チームを対象に、2021年12月開催の『3×3 U18日本選手権大会』本戦出場を目指して約半年間に渡って、3つの支援を実施した。
競技面で言えばコロナ禍の状況を考慮しながら、YOSK自ら高校生たちのもとに出向いて技術指導を実施。高校生たちが撮影した練習映像を交えてオンラインミーティングを行い、成果や課題のフィードバックも行った。また、金銭面においては都道府県予選へのエントリー費用や交通費などを支給し、物品面では公式球やユニフォーム、練習ウェアを提供した。
YOSKは、前例の無い取り組みに「スポンサーの皆さんと、クラウドファンディングによるご支援が無ければ本当にできませんでした。サポートいただいた皆さんには本当に感謝しています」と改めて謝意を述べる。惜しくも、プロジェクトから本戦出場チームを輩出することは出来なかったが、YOSKは昨年度の取り組みをこう振り返る。
「指導した高校生の中から3×3.EXE PREMIERのプロ選手登録をしてくれた選手がいたり、実際に今チームに所属をしている選手がいます。彼ら彼女らにとって3×3が身近なものになったと思いますし、また楽しいと感じて人生に3×3を組み込んでくれた子も増えてきました。本当にやって良かったです!また、指導者として現場に立つと順序を追ってコーチングをやる必要があるなど色々な経験を得られました。選手としてプラスにもなったプロジェクトでしたね」
反省点を踏まえたSEASON2の取り組み
では、SEASON2となる今年度の『YOSK CHALLENGE』はどういったプロジェクトになるのか。その内容は2本柱で構成される。ひとつは、昨年度と同じく『3×3 U18日本選手権大会』に向けた取り組みだ。全国からチームや選手を募り、トライアウトチーム(男子1チーム)を含めて6チームを採択して技術指導を実施。活動に係る費用を3×3奨学金としてサポート、ウェアなどの物品提供も行う。技術指導にあたってはYOSKに加えて、今年度より現役の3×3選手で、サンロッカーズ渋谷ユースのU12、U15、U18でデベロップメントコーチも務める木村嗣人も参画する。
もうひとつは、新たに高校生向けのツアー大会である『3×3 YOUTH TOUR』を立ち上げる。今年8月から11月にかけて全国で4度の大会を開催予定だ。さらに来年3月には各大会の上位2チームが進出するファイナルラウンドをセット。優勝チームには3×3活動支援金として賞金の授与も予定されている。
採択チームを昨年度の13チームから約半数へ絞り、大会を新設。この背景には、SEASON1の反省点があったからである。YOSKは「指導回数をとても増やすことはできましたが、試合当日に僕が現場に行けませんでした。3×3は指導者がいないので、試合当日は自分たちで状況を把握してやらないといけないことを伝えてはいましたが、高校生たちにとっては初めての経験ばかり。どうしても浮足立ってしまい、試合で力を出し切れないことがありました」と明かす。SEASON1では採択チームを数チーム集めたカップ戦や、他団体の大会へチーム派遣も行ったが、十分ではなかったようだ。「自分たちができることは大会を増やして、指導者のいない状況を体験できる機会を増やすことだと考え、今年はツアー大会の開催に至りました」とYOSKは語った。主催大会を設け、採択チームと密度の濃い取り組みをすることで、今年度はU18日本選手権大会の本戦(例年11~12月開催)の出場のみならず、チャンピオンチームの輩出も目指すという。
3×3に挑戦できる場でもある『3×3 YOUTH TOUR』
一方で、採択チームから漏れたとしても、3×3に興味を持つ高校生たちが、競技に挑戦できる機会を確保している。新設する『3×3 YOUTH TOUR』には、採択チーム以外もエントリーできるようにする予定だ。各大会は男女ともに採択チームを含めて、12チーム程度の規模を計画し、応募要件は18歳以下の高校生で、エントリーは3人でもOK(参加費は無料)。4度の開催場所は都内のみならず、地方開催も視野に入れて調整をしている。
去る5月5日にはプレ大会となるRound.0を、お台場の肉フェス会場に設置された特設コートで開催した。わずかな募集期間にも関わらず12チームが集結。トーナメント戦の結果、横浜ビー・コルセアーズのユースチーム所属選手と、Tokyo Samurai所属選手による“ビーコル侍”が優勝を飾った。この日、MCも務めて大会を盛り上げたYOSKは「この2年間(コロナ禍で)お客さんがいない状況で試合をやってきたので、たくさんの人の前で試合をやることが久々です。高校生にとってはなかなか無い機会だと思うので、是非みんなに楽しんでもらいたいですね」とコメント。初夏の日差しの下、高校生たちが見せる思い切りの良いプレーに立ち止まる観客も多く、コートサイドを何度も沸かせてくれた。そして何よりYOSK本人が会場で誰よりも楽しんでいた姿もまた印象的だった。
また、他のプロ選手やコーチの協力を得られれば、採択チーム以外の高校生に対しても何かしら指導の場を設けたいという。「普及活動を掲げている身として、3×3をやりたいと思っている高校生のみんなに(YOSK CHALLENGEへ)参加して欲しいと思っています。そのためには自分たちだけでは無理なので、周りの選手や皆さんの助けを借りながら今年もやっていきたい」と、YOSKは話した。
「大変」……でもプロジェクトにかけるYOSKの熱意
『YOSK CHALLENGE』SEASON2は今後、採択チームが決まり次第、本格的に技術指導などプロジェクトをスタートさせるという。YOSKにとっては競技生活とコーチ生活を両立する2シーズン目に突入。昨夏の経験や今夏は3×3で海外転戦も見据えるだけに、本人は体が2つ欲しいようだ。思わず「とても大変です。しんどいですね」と苦笑いを浮かべる。それでも、やはり、このプロジェクトには彼の熱意が詰まっている。「自分がやらないといけないと思っていますし、選手として最優先しなければいけない結果も出していきたいです」と、改めてその思いを語ってくれた。
そして『3×3 YOUTH TOUR』開催に向けたクラウドファンディングが本日より実施される。SEASON2の模様も順次、YouTubeでも配信される予定だ。
https://camp-fire.jp/projects/view/581742
YOSKの言葉を結びとし、これから3×3に挑戦する高校生たちのドラマに注目していきたい。
「改めまして皆さんのご支援があって昨年度、無事にプロジェクトを開催することができました。ですが、SEASON2も皆さんのお力が開催には必要です。自分たちにしかできないことだと思っていますし、それを高校生たちが求めていることを実感したSEASON1でした。今年度はより力を入れて取り組んでいきたいと思っていますので、是非ともSEASON2の応援もよろしくお願いします」
- 高校生の3x3大会を新設……『YOSK CHALLENGE』SEASON2の取り組み
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TEXT by Hiroyuki Ohashi