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  • 2020.10.01

三崎優太氏と兼子勇太氏が語る、渋谷に3×3新チームを立ち上げたワケ


渋谷に3×3の新チームを誕生させた2人がいる。ともに第一印象は「身長が大きいですね(笑)」。若者の未来を明るいものとするべく動いた181cmの実業家・三崎優太氏と、それを一緒になって取り組む189㎝のゼネラルマネージャー・兼子勇太氏。一連の背景と、彼らはどんな青写真を描いているのだろうか。

チーム設立の背景「今後は僕が恩を返す」
三崎優太氏が3人制バスケットボール・3×3(スリーエックススリー)のチームを設立した。名前は「SHIBUYA FUTURES」。唐突な印象も否めなかったが、これには背景があった。三崎氏は今年6月に日本の未来を支える若者たちを支援する『三崎優太 若者のみらい応援基金』を創設。これに1億円を拠出して5つのプロジェクトをスタート。そのひとつが、3人制バスケットボールリーグである3×3.EXE PREMIERの2021シーズン参入を目指してのチーム発足だった。三崎氏は基金を立ち上げた思いを次のように語ってくれた。

「若者に対して応援をしていきたいという気持ちで基金を立ち上げました。そう思った理由は、僕も人生でいろいろなことがありましたが、その過程の中でSNSを通じて若者の皆さんから多くの応援をいただきました。それがあって、いまがあると思っています」
とりわけ、それを強く感じたきっかけは昨年9月のこと。自らの身に起きた出来事の影響があった。
「世間の大逆境の中でたくさんの方から応援のメッセージをいただきました。それですごく勇気づけられたんですよ。そこで贖罪として1臆8,000万円の現金寄付を、Twitterを通じてフォロワーの皆さんへ行いました。お金を手にした方のすべてを追跡できたわけではないのですが、一部の方が起業をして実際に社会に貢献していることを知りました。私の行動で人生が変わる方がいる。着実に若手の未来に対して貢献できているという感触を得ました。だから今後は僕が恩を返す順番だと思って、基金という枠組みを設けて、いまに至ります」

3×3や渋谷と三崎氏の縁
ではなぜ、今回のプロジェクトは“3×3”であり、“渋谷”にフォーカスを当てたのか。世の中には数多くのスポーツがあり、統計によると全国には1700以上の市区町村がある。まず前者について三崎氏は、「東京オリンピックで正式種目になるという話を聞いています。業界そのものが盛り上がっていくのではないかと感じているんですよ。まだまだ伸びしろもあって、一番貢献ができると思っています」と話した。

そして後者については「渋谷と非常に縁があります。会社を経営していたときは、渋谷に本社がありました。本拠地を地方にすることも検討しましたが、若者のためのチームとして渋谷をホームにすることを決めました」
さらに本人からはチーム設立を決めてから、「誰にも話してこなかった」と前置きをされて、こうも打ち明けられた。「渋谷で会社を経営していたとき、TOKYO DIMEのスポンサーをしたことがありました。ですから、競技そのものは以前から知っていたんですよ。当時、DIMEの皆さんから3×3.EXE PREMIERを盛り上げていこうとする情熱をすごく感じましたね」。

元プロがGM就任、どんなチームにするのか?
今回、三崎氏は新チームを統括するゼネラルマネージャー(GM)を一般公募している。多数の応募があった中、選ばれた人材は兼子勇太氏。Bリーグでのプロキャリアを持ち、3×3.EXE PREMIERでプレーした経験もある。彼を選んだ理由について「最終的に2人に絞りました。とても悩んだのですが、経歴のしっかりした方でした。もちろん、それだけで決めたわけではありませんが、着実に結果を出すというところで、いままでの経歴をいかしてくれる方が適任だと判断しました」

一方で兼子氏はGMを目指した経緯について「これまで選手、コーチとしてプロフェショナルにこだわってやってきました。その中でアンテナを張っているとき、SHIBUYA FUTURESのGM職の公募を知って、僕のキャリアであれば、GM職を全うできると思って応募しました」と話す。慣れない選考書類の作成、就任してから新たな役職で受ける取材対応に「経験が少ないので、試合よりもめっちゃ緊張します」と苦笑いを浮かべるが、「仕事はもちろんのこと、三崎さんにバスケの魅力をさらに伝えることも僕の役目です」と、意欲を見せた。

そしてチームのコンセプトは「若者の若者による若者のためのチーム」。渋谷でバスケットボールを通して、次世代が挑戦していく場を作っていく。とは言え、ビジネスで成功を納めてきた三崎氏だけに、結果にこだわらないわけがない。「やるからには“テッペン”を目指したい。まずは日本一です」と目標を掲げる。今後はトライアウトで、選手の獲得を目指すという。その条件については「一番は競技力。5人制と違って3人制でしっかりと頭を使ってプレーできること(兼子氏)」に加えて、「純粋に上手いだけの選手は、いまの時代は不十分です。いろんな要素が大事、個性やキャラクターのある方(三崎氏)」を求めているという。

また全国から選手を募るということもあって、「Remote Playing」をテーマとする。コロナ禍や、物理的な制約があっても、コミュニケーションができるツールはそろい、使いこなすリテラシーも備わっている方が多いだろう。兼子氏はその狙いをこう話した。「全員が集まって頻繫に練習をすることが難しいかもしれません。戦術の共有はもちろん、僕が練習メニューをリモートで与えて、結果を報告してもらう。毎週のミーティングを通して、フィードバックする仕組みを作れば、選手はどこにいてもプレーしやすい環境ができると思います」

SHIBUYA FUTURESが目指す姿
渋谷に生まれた3×3チームは今後、2人の手によって具体的なカタチへ仕上がっていく。三崎氏は「支援者」の立場をとるが、チームや3x3を広めるため、ビジネスで培った宣伝やプロモーションの経験、自身のTwitterやYouTubeといったオンラインツールを駆使して、活動をバックアップするという。そして実現可能かどうかは一旦置くとして、三崎氏と兼子氏は「渋谷のスクランブル交差点」でイベントを開いてみたいと理想のスポットを挙げてくれた。

現在、国内にある3x3チームは40を超える。その中でオリジナルカラーを打ち出すべく、SHIBUYA FUTURESの動向は気になるところだ。最後に両名へ、チームを通して目指す姿について訊いた。思いを持って始動した彼らの前途に期待しよう。

「いまの若者たちに夢を与えたいです。綺麗ごとのように聞こえますが、プロジェクトを通して、心から未来はつかめることを示したいです。参考にならないかもしれませんが、私自身、ビジネスで上手くいったときは“ひらきめき”がありました。ただこれは、自分がこうなりたいと未来を具体的に想像して、それに対して挑戦できたからこそです。多くの方は、どうなるか分からないことは諦めてしまいます。僕も躊躇しますが、もうやるしかないと決めてチャレンジすることで、誰も考えないようなことができると思います(三崎氏)」

「僕たちは新参者です。失敗もあると思いますが、全力で若者たちが頑張るチームにしたいです。またそう感じてもらえるチームにもしたいです。チャレンジできるを環境を与えていきたいですね。またTOKYO DIMEさんは僕がお世話になっている先輩方が数多くいらっしゃいます。オンコートではライバルになりたいです。オフコートでは同じホームタウンにDIMEさんとサンロッカーズ渋谷さんがいらっしゃいますので、一緒にバスケットボールを盛り上げていければと思っています(兼子氏)」

三崎優太氏と兼子勇太氏が語る、渋谷に3x3新チームを立ち上げたワケ

TEXT by Hiroyuki Ohashi

SHIBUYA FUTURES (Twitter)

SHIBUYA FUTURES (Instagram)

三崎優太 (Instagram)

兼子勇太

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