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  • 2020.09.28

『F1 Tournament』の第2戦で3×3日本選手権の決勝カードが再び、優勝チームが目指す姿とは?

3×3の新大会『F1 Tournament』は第2戦で国内最強チームの一角、TOKYO DIMEが初登場。優勝大本命と目されたが、チャンピオンにはSolviento Kamakuraが輝いた。良いところ無く終わった第1戦から、彼らは見事に息を吹き返す。苦労しながらようやく新たな一歩を踏み出した。

DIMEやSIMON、勉族が初登場
9月20日に東京・八王子エスフォルタアリーナで『F1 Tournament』の第2戦となるTOKYO ROUNDが開催された。今大会にはTOKYO DIMEを筆頭に、かつてBREX.EXE(現UTSUNOMIYA BREX.EXE)に所属、昨季はB3リーグのアイシンAWでプレーしたMarkhuri Sanders-Frison(#15)を加えたSIMONや、勉族らが初登場。第1戦のKANAGAWA ROUNDからの挽回を目指すSolviento Kamakuraや、メンツを一部入れ替えながらも前日のJAPAN TOURから転戦したSHINAGAWA CCが姿を見せた。


大会フォーマットは8チームが4チームずつの予選POOLに割り振られ、リーグ戦を経て各POOLの1位だけが決勝へ。取りこぼしが許されず、勝利数が並べば総得点勝負となるだけに、22点のKOを狙いに行くチームがあるなど、初戦からアグレッシブな場面が数多く見られた。

日本選手権の決勝カードが再び
そんな中、POOL AではTOKYO DIMEが3連勝をマーク。途中、益子輝楓(#98)が怪我で戦線離脱をするアクシデントもあったが決勝へ駒を進めた。一方でPOOL BではSolviento Kamakuraが初戦でSIMONを21-19で破って好スタートを切る。さらに前回大会で破れたMINAKAMI TOWNにリベンジも成功するなど、無敗で予選を突破した。

そしてRound FINALは奇しくも今年2月の3×3日本選手権の決勝と同じ対戦カードになった。Solviento Kamakuraは菊池亨(#35)を起点としたオフェンスを組み立て、対する手負いのTOKYO DIMEは岩下達郎(#20)にボールを集めてインサイド勝負。一進一退の攻防となるが、4人のローテーションで運動量の落ちないSolviento Kamakuraがゲームをやや優勢に進める。16-15とわずかにリードを奪って終盤に突入してからは、菊池、梅林聡貴(#11)、3人制のデビュー2戦目となった藤沢宏隆(#3)による3本の2ポイントシュートが成功。22-17と突き離して優勝をつかみ取った。試合後、選手兼ゼネラルマネージャーを務める清水隆亮(#24)は「コロナ禍の影響以上にシーズンの出だしが悪い状況でスタートしましたが、今日はひとつ結果が出てホっとしています。立場的にも安心しました」と、胸をなでおろした。

苦労したKamakuraが目指す姿
もっともSolviento Kamakuraは今年2月の3×3日本選手権を初制覇したTeam Tsukubaを引き継いで本拠地移転をしたチームである。『F1 Tournament』をサポートするBODY MAINTE(ボディメンテ)を展開する大塚製薬が、Tsukuba時代から活動を全面的にバックアップ。新天地では清水が中心的な役割を担って、スクール活動も計画しているなど、3×3の活動に対して積極的に取り組んでいる。

しかし、いまの正規メンバーは彼と梅林、菊池の3人のみ。大友隆太郎やコナー・クリフォードといった日本選手権優勝メンバーが現在、5人制の活動をしている兼ね合いもあって、シーズンへ入るにあたりチーム編成には苦労したという。そん中でチームは3名の練習生を迎え、その一人が今大会の決勝で終盤にリードを広げる貴重な1本を決めた藤沢宏隆(#3)だった。清水曰く「実業団で頑張っていた選手ですが、それをひと段落させたようで、僕に連絡をくれました」とのこと。「身長も190㎝ぐらいあるし、5人制の様子も見ていますが、堅実なプレーが光ります。チームにいると助かるタイプの選手ですね。3×3に慣れてくれれば、もっと僕たちの力になると思います」と、期待を寄せている。

現在、彼らは日本選手権を制したことで、2020シーズンのFIBA 3×3 World Tourの出場権を保有している。主催者より正式な案内はまだ届いていないというが、対象大会はドーハ マスターズ。メンバーは当時から大きく変わっているが、日本を代表するチームとして世界の強豪を相手にベストな形で臨んでもらいたいところだ。イレギュラーなシーズンインとなったが、来夏にはオリンピックを控えている大事なシーズンだけに、彼らがWorld Tourで活躍すれば周囲に大きな刺激を与えるだろう。もちろん清水本人もそれは認識しており、「僕たちはTsukubaを引き継いでいます。TOKYO DIMEとUTSUNOMIYA BREX.EXEに続くような世界と戦うチームとしての役割を担いたい」と意気込みは十分。「2強だけではつまらないと思います。フルメンバーのDIMEとBREXに食らいつき、勝てるようになれれば、国内もさらに盛り上がるでしょう。メンバーがどうなっていくか分からない部分もありますが、僕にとってはチャンスでもあります。チームとしても、個人としても常に優勝を目指してやっていきたい」と、国内の双璧を割っていく決意を新たにした。

まだ見ぬボーラーを待っている
全8戦のツアー大会は次戦、CHIBA ROUNDが開催される。各Roundの優勝チームは、それ以降のRouondに出場できない規定となっているため、常にNEWチャンピオンを輩出する。負けたチームには再チャレンジの機会が与えられ、まだエントリーしたことが無いチームには常に挑戦の機会が開かれている。関東開催は来る第3戦を除いて、新木場のラスト1回(10/10)。残るはすべて京都(10/3)、徳島(10/4)、大分(10/17)の地方3都市で実施予定だ。まだ見ぬボーラーたちの登場をF1 Tournamentは待っている。

追伸
今大会ではTOKYO DIMEの益子輝楓が試合中に足首を負傷した際、対戦相手のSHINAGAWA CCに帯同しているトレーナーが彼へ応急処置を行った光景があった。現状、選手をサポートするトレーナーやメディカルスタッフの用意をチームがするのか、大会主催者がするのか、明確な規定はない。ただSHINAGAWA CCの迅速な対応は印象的だった。発展途上の競技ゆえに、このような場面に出くわしたときの対応を改めて考える機会になったことだろう。また真剣勝負になれば怪我が起こる可能性をゼロにすることは難しい。敵味方関係なく、サポートできる場面では手助けをしながら、より良い競技環境はどうあって欲しいかを考え、引き続き皆で3×3シーンを作っていきたい。

『F1 Tournament』で3x3日本選手権の決勝カードが再び、優勝チームが目指す姿とは?

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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