• COLUMN
  • 2020.02.10

TOKYO STREETBALL CLASSIC 2020 レポート

今年で5回目の開催を迎えた、TOKYO STREETBALL CLASSIC(以下TSC)。今年のTSCは、Peatixの無料観戦チケットに僅か3分で500枚分の申し込みが殺到し、1500枚分のチケットが即日完売するなど、イベント開始前からオーディエンスの期待値の高さをうかがわせた。

TOKYO STREETBALL CLASSICとは?

TSCを一言で説明するなら、ストリートボーラー選抜・TEAM STREETと、大学バスケ選抜・TEAM COLLEGEによる、一夜限りの5on5スペシャルマッチである。年に1度の特別な舞台に集められたのは、ストリートとカレッジ、それぞれのカテゴリーを代表する計21名のボーラーたち。

過去にはTEAM COLLEGEの一員として、日本代表の馬場雄大(アルバルク東京/B1→テキサスレジェンズ/ NBA Gリーグ)や、”モリザネセクシー”こと盛實海翔(サンロッカーズ渋谷/B1)、岡本飛龍(広島ドラゴンフライズ/B2)なども出場を果たしており、ストリートボールヘッズはもちろん、大学バスケフリークも見逃せないイベントとして、日本中のバスケットボールファンから大きな関心を集めている。

オフィシャルサプライヤーを務めるのは、ストリートボールブランド・ballaholic。今年はアシックス社とコラボレーションした限定ゲームウェアだけでなく、同ブランド初となるバスケットボールシューズ『GLIDE NOVA FF』が提供されるなど、5年目を迎えて、一段とアップグレードしたギアが用意された。

東海大学SEAGULLS、TSCに初見参。

TSC2020の注目ポイントの1つが、これまで実現しなかった、東海大学バスケットボール部SEAGULLSの参戦である。数多くの日本代表やBリーガーを輩出した大学屈指の名門校から、関係者最注目の#60 坂本 聖芽(東海大学2年)と、【俺たちの佐土原】の愛称で親しまれる#23 佐土原 遼(東海大学2年)が満をじしてエントリー。関東一部リーグを代表する現役大学生の1プレー1プレーに、場内の視線が注がれた。

もし、この日のMIPは誰ですか?と問われたら、真っ先に坂本 聖芽の名前を挙げるだろう。それほどまでに、彼のパフォーマンスは出色だった。ストリートボーラーを凌ぐハンドリング、一瞬で抜けるアジリティ、そして卓越したフィニッシュ。圧倒的なスキルに度肝を抜かれたのは、きっと僕だけじゃないはずだ。第1クォーターのラストプレーで魅せたダブルクラッチは、何度でも巻き戻し再生したい、大会屈指のハイライトシーン。

会場全体の雰囲気やお客さんの反応が最高で、普段のバスケより自分自身を解放して、気持ち良くプレーすることができました。本当に楽しかったです!」と屈託のない笑顔で、初めての非日常的な空間を振り返っていた。

もう1人の東海大・佐土原も、192cmの体躯とフィジカルを武器にインサイドを蹂躙。第4クォーターでは3ptシュートを連続でメイクして雄叫びを上げるなど、持ち味のオールラウンドなプレーを見せつけた。「(ストリートは)ドライブの抜き方や身体の当て方が大学バスケと違うし、シュートも勝負強かった。機会があれば来年も出場したい」と、普段とは異なる環境下でのプレーに、収穫を感じていた様子。

「面白いゲーム」を見せることが、ストリートの使命。

念のため勝敗に触れておくと、TSC 2020は、TEAM STREETが108-94で勝利を収めた。今年のTEAM STREETは、日本全国のPLAYGROUNDを回る『TEAM ballaholic』のメンバーを中心に選出。代名詞の1on1を起点としたリスクを省みないDRIVE CRAZYなプレーで、満員御礼の会場を大いに沸かせていた。

特に印象的だったのが、球際の強さ。誰がコートに立ってもインテンシティが落ちることはなく、チーム全員でルーズボールやリバウンドに飛び込み、サイズに勝る大学生から幾度となくセカンドチャンスをモノにしていた。

その中でも、運動量を活かしたプレーで異彩を放っていたのが、TAKA(S.H.U.SENDAI/SOMECITY SENDAI)だ。「コートに立ったら、1秒も止まることなく全力で走り続けて、リバウンドに絡んで、ボールを持ったらリングに向かうと決めていました。ストリートの名前を背負ってGAMEに出る以上、コート上の誰よりも視線を集めないと、呼ばれた意味はないと思っています。コートをグチャグチャにかき混ぜて、大学生には真似できない、自分だけの方法で会場を沸かせたい、と思ってゲームに臨みました」というコメントの通り、”Xファクター”としての役割を全う。第4クォーターにファールアウトする際には、オーディエンスから惜しみない拍手と歓声が送られていた。

オフェンス面でも、司令塔を務めた#44 KOSUKE(BLACKTOP/SOMECITY TOKYO)を中心に、即席チームとは思えない見事な連携を披露していたTEAM STREET。強度もさることながら、1本欲しい場面でシュートを決めきる勝負強さには思わず舌を巻いた。第2クォーター終了間際には#34 KK(44STREET/SOMECITY TOKYO)が、#0 関屋 心(白鵬大学1年)との1on1で会場を沸かせる。ムーヴからのドライブインで得点すると、アンサーディフェンスではスティールに成功。会場を煽って再び関谷に1on1を要求し、得意の3ptシュートをメイク。ここまで見せ場らしい見せ場はなかったが、目の肥えたオーディエンスを僅か3PLAYで昇天させてしまった。

GAMEを決めたのは、KKと並ぶもう1人のスコアラー・#2 OTO(BLACKTOP/SOMECITY TOKYO)。87-87の同点で迎えた第4クォーターのクラッチタイムでは、”オートシステム”と呼ばれるチートが発動する。「ゲームを通じて自分のオフェンスが通用していたし、あの場面は俺でしょ!と思った」と、独特のテンポで切り刻む1on1を仕掛けてAND1を獲得。続くオフェンスでは、割れんばかりの歓声を背に受けて、アイソレーションから3ptシュートをメイクする。会場の期待に応えるエンターテイナーとして、チームを勝利に導く姿は、まさしく千両役者。年々上がり続けるTSCの期待値を上回る、面白いゲームを見せてくれた。

TEAM COLLEGEが得た”刺激”。

とある関係者は、TSCの趣旨を次のように語る。

TSCを通じて、大学生に刺激を与えたい、という狙いがあります。ストリートはハンドリングなどスキル面が注目されがちですが、刺激を感じてほしいのはスキルではなく、マインドの部分。関東一部のリーグ戦でも、勝負所で味方を探してしまったり、ボールを託してしまったりする光景は決して珍しくありません。僕の知る限りストリートボーラーは、試合を左右する場面でも、外したらどうしよう…ではなく、俺がゲームを決めてやる!という強い意志を持ってプレーしています。また、ストリートボーラーは、体育館など固定の練習場所を持たない、大学生よりハングリーな環境でプレーしているメンバーがほとんど。平日は仕事をしながら、空いた時間でワークアウトをするなど、限られた時間でスキルを磨いています。そのマインドや情熱を刺激にしてほしいですね。

そんな想いを汲み取ったボーラーの1人が、土家 大輝(早稲田大学1年)だ。名門・福岡大大濠出身のPGは、ティップオフ直後に 1on1を仕掛けるなど存在感は残したものの、彼のキャリアや能力を考えると不完全燃焼だった感は否めない。終了後には、「ストリートの人たちと対戦して、大学バスケにはない1on1スキルや盛り上げ方、ボールへの執念を感じました。めちゃくちゃ楽しかったけど、負けてしまってめちゃめちゃ悔しい。トーナメントやリーグ戦で結果を残して、来年は絶対にリベンジしたいと思います」と、力強いコメントを残してくれた。1年後の”TSC 2021”に向けた、新たなストーリーが幕を開けた。



TEXT by Jose Ishii

ballaholic

TOKYO STREETBALL CLASSIC 2020

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