「NBA Japan Games 2022 presented by Rakuten & NISSAN」レポート
9月30日から10月2日にかけてさいたまスーパーアリーナにて「NBA Japan Games 2022 presented by Rakuten & NISSAN(通称『ジャパンゲーム』)と「NBA Japan Games Saturday Night(通称『サタデーナイト』)」が開催された。
昨年のNBA王者であるゴールデンステート・ウォリアーズと、日本の至宝・八村塁が所属するワシントン・ウィザーズの夢の対戦を目にしようと駆けつけた観衆は、のべ6万人以上。ライブ中継でイベントを見守ったファンたちを含め、日本中のバスケットボールファンがスーパースターたちの競演に熱狂した。
GAME1
試合開始2時間前から、選手たちのウォーミングアップにくぎ付けになるファン。歓声や拍手を送りながら一刻一刻と近づく試合開始を心待ちにしていた。
試合開始10分前に会場が暗転。この日、スターティングラインナップとして最後にアナウンスされたのは八村塁。ベンチから立ち上がり、ファンからの歓声に煽られながら、選手紹介のトリを飾った。
ティップオフしたボールが八村の手に収まると、ゲームクロックが動き出した。
試合開始から2分が経過したころ、NBA随一のスーパースター、ステフィン・カリー(ウォリアーズ)と八村が向かい合い、観客が湧き上がった。瞬間、八村はカリーのドリブルをスナップし、フロアに転がるボールにダイブ。その気迫あふれる姿に、会場のボルテージがまた一段階上がった。八村はさらに、ディフェンスリバウンドからドリブルで一直線にコートを横断し、フィニッシュ。彼が今季の目標のひとつとして挙げる“リバウンドを取った後のボールプッシュ”でジャパンゲーム初得点を挙げた。この試合、八村は13得点9リバウンドとチームトップのスタッツを挙げた。
ウォリアーズにとっては、2020年のドラフト全体2位指名ながら昨季まで怪我に悩まされていたジェームズ・ワイズマンの復帰戦でもあった。ワイズマンは6本のダンクを含む20得点9リバウンドで、この試合ナンバーワンのパフォーマンスを披露。指揮官スティーブ・カーは「今日はジェームズの日だった」と試合後に語った。
試合は96-87でウォリアーズが勝利した。
「ルイの笑顔が見られてよかった」(ウェス・アンセルド・ジュニアHC)
日本のファンは素晴らしいファンだと思います。今日は2万人以上の観客がいましたか。ウィザーズだけではなくてウォリアーズも暖かく迎えられたと思います。ルイのアプローチも素晴らしかったですし、笑顔も見られました。それが今日一番よかったことです。
「日本のみなさんの前でNBAプレーヤーとして試合ができてうれしい」(八村塁)
去年もオリンピックでこの会場で試合をしたけれど、その時は観客がいなかったので、こうやって日本のみなさんの前でNBAプレーヤーとして試合ができたことは僕としてもうれしかったです。ステフのファンのほうが多いようにも感じられたけど、それはそれで仕方がないかなと(笑)。それでも素晴らしい観客の前でプレーできて楽しかったです。
Saturday Night
日本バスケットボール界を代表するMC・MAMUSHIと、バスケットボール解説者やNBAアナリストとして活躍する佐々木クリスの2名がMCとして会場を盛り上げた。
■スラムダンクコンテスト
3名のプロダンカーが参加。B・ラフは日産車「ARIYA B6」をゴール下に設置し、車のフロント部分を飛び越える超人ダンクを披露。これには目の前で見ていたウォリアーズの選手たちも飛び跳ねて大興奮。ジャパンゲームのタイトルパートナーシップである日産に花を添えるような形で、50点満点で優勝した。
■シューティングスターズ
3人1組のチームで、指定された4か所からシュートを決めるタイムアタック。ウィザーズとウォリアーズの若手選手に加え、ウィザーズOBのリチャード・ハミルトンとウォリアーズOBのティム・ハーダウェイも参加。各チームが互角の戦いを見せる中、ハミルトンが1発でハーフコートショットを成功させた「ウィザーズチーム2」(モンテ・モリス、ジョニー・デイビス、ハミルトン)が優勝を果たした。
優勝後にスピーチを行ったハミルトンは、「(彼のアイコンである)フェイスマスクを忘れたから不安だったけど、イベント前にブラッドリー・ビールが『体に感覚が刻まれているから大丈夫だ』とアドバイスをくれた」と裏話を打ち明けた。
■スリーポイントコンテスト
指定の5か所からスリーポイントを打ち、その数で競うイベント。両チームから4チームが参戦したが、主役はやはり、カリーとクレイ・トンプソンの”スプラッシュ・ブラザーズ”。2人で27本中21本のシュートを沈め、他チームを圧倒してイベントを締めくくった。
トンプソンは「僕は若手みたいにすごいジャンプはできないけど、いつでもシュートは決められるよ。『2K(NBAゲーム)』の俺の評価をもっと上げろよ!!」とアピール。ファンも笑いと声援で後押しした。
イベント間の合間には、ダンスパフォーマンスに感化されたカリーが突然マイクを要求する一幕も。自チームのルーキーを紹介し「彼らのダンスを見せたいんだ」と、NBAのファンイベントでよく見られるルーキーのダンス披露を提案。レスター・クイノネスら5人のルーキーたちはコートの中央に登場し、星野源の『Hello Song』とコラボ。カリーは「曲のリズムが難しそうだったけど、よくやってくれた」とサプライズに対応した彼らを激励した。
選手退場後には人気アーティスト・ゆずがスペシャルライブを実施。大のNBA好きである北川悠仁がジャパンゲームのために書き下ろした新曲『Frontier』を、ウォリアーズとウィザーズのダンスチームと共に披露した。
GAME2
この日も開場間もない時間に開場がほぼ埋まったさいたまスーパーアリーナ。ウォーミングアップでは、カリーがお家芸のワンバウンドフローターを1発成功させ、ティップオフ前から会場の雰囲気は高揚していた。
グローバルアーティストのMIYAVIがウォリアーズのために書き下ろした『”Ring Em Up”』のパフォーマンスからスタートしたゲーム2。ウォリアーズは序盤から華麗なパスワークと積極的なシュートを見せた。ゲーム1では成功率26.9%と低調に終わった3ポイントもこの試合は序盤から好調。前半だけで17得点を挙げたカリーを中心にウォリアーズらしいバスケットボールを展開した。ウィザーズも、ディフェンスの名手として知られるアンドリュー・ウィギンスから八村が二度のバスケットカウントを沈め、息を吹き返した。
試合終盤は若手〜中堅選手たちのブラッシュアップの時間帯となったが、両者ともに攻めの姿勢は崩れず。このゲームではパトリック・ボールドウィン Jr.(ウォリアーズ) が5本中4本の3ポイントを成功させてアピールをした。
104-95でウォリアーズが勝利すると、会場のファンたちは立ち上がり、拍手と歓声で選手たちの退場を見送った。
「日本という地でいいスタートが切れた」(スティーブ・カーHC)
非常に有意義な遠征となりました。チームのみんなが楽しめましたし、みんなで一緒に過ごすことを楽しんでいました。日本の素晴らしい文化に触れ、今シーズンのスタートをいい形で切れたと思います。日本のみなさんに、あちこちで素晴らしい感激を受けた感謝を伝えたいです。ありがとうございました。
「もっと長く日本にいたかった」(ステフィン・カリー)
日本のファンの声援は素晴らしいものでした。試合30~40分前のウォーミングアップのときから席が埋まっていて、ファンの方々の興奮を感じることができました。私たちもずいぶん前からこの試合を楽しみにしていましたし、本当に素晴らしい4日間を過ごすことができました。できればもうちょっと長くいたかったですし、毎年夏に東京を訪れられたらいいなと思っています。
日本とNBAは近づいてきている
3年ぶりの日本開催となったジャパンゲームは、ファンの期待と一体感を身にしみて感じられた空間だった。八村は会見で何度も「日本とNBAが近づいてきている」と口にし、さらにこの舞台に挑戦する若い世代を待ち望んでいる。いつか”八村先輩”のようにジャパンゲームで活躍する日本人選手が現れることを心待ちにしたい。
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TEXT by Genki Yamamiya(ブルーノオト)