• COLUMN
  • 2022.08.26

今秋、初の海外遠征へ。Team GLOBALLERS JAPANの意気込み

将来の“NBA選手”輩出を目指して、世界(GLOBAL)と勝負できるバスケットボール選手(BALLER)の発掘・育成をする『GLOBALLERSプロジェクト』。3年目となった今年、ついに海外遠征に向かう6人(全員中学3年生)が決まった。9月中旬の渡米を控えて、選手たちに心境や2度の国内合宿での学び、海を渡る意気込みを聞いた。

6人の3期生に海外遠征の吉報
 『GLOBALLERSプロジェクト』として初の海外遠征メンバーが決まった。GLOBALLERS CAMPと呼ばれる2度の国内合宿を経て、3期生の中から6名(全員中学3年生)が選抜され、Team GLOBALLERS JAPANとして今年9月に渡米する。2020年にスタートした本プロジェクトにとっても、過去2年はコロナ禍の影響で海を渡れなかっただけに、念願叶ってのチーム編成となった。
 
行程は7泊9日を予定し、アメリカ西海岸・カリフォルニア州のアカデミーやプレップスクール、私立高校を中心に転戦。バスケットボールでアメリカに挑戦できる絶好の機会であるとともに、活躍の先には現地校からのスカラシップ獲得を目指している。現地校よりスカラシップを獲得した選手へは中学卒業後、留学の際に本プロジェクトより奨学金が支給(対象は1名)される予定だ。

アメリカ行きの吉報が届いた選手たちは、喜びなど様々な思いをかみしめる。

「アメリカに行けるチャンスはそうそう無いので、やはり……嬉しかったです!」
#35 新郷礼音(185cm/横浜ビー・コルセアーズU15)

「(選ばれたことに)驚きましたが、本当に嬉しかったです。(アメリカのような)すごい所に挑戦できることはなかなか無いと思うので、精一杯チャレンジしようと思います」
#43 北本慶志(177cm/布水中学校)

「めちゃくちゃ興奮しました。行ってみたいと思っていたので、挑戦するチャンスをいただけて嬉しかったです」
#53 吉岡陽(181cm/WATCH&C PRIDES)

「(GLOBALLERS CAMPで)自分のプレーがあまりできていなかったので、行ける自信がそれほどありませんでした。まさか選ばれると思っていなかったので(メンバーになれて)正直に嬉しかったです」
♯3 阿部真冴橙(175cm/仙台89ersU15)

「選ばれて驚きましたし、何で選ばれたのか疑問が湧いてモヤモヤしました(笑)。まだ(コーチのBANG LEEさんやMARUさん)に理由は聞けていませんが、聞く前に選ばれた理由を自分なりに考えると、僕は身長がある分、ブロックにしっかり飛ぶ、ディフェンスを頑張る意識を持ってプレーをしていたことが評価されたんじゃないかと思います」
#33 佐々木寧(184cm/瑞穂バスケットボールクラブ)

「(アメリカ行きの連絡は)本当に嬉しかったですし、両親の支えあってのことなので、ありがとうという感謝の気持ちを、一番初めに(両親へ)伝えました。その後の練習からは、アメリカで自分より体格が大きい相手に、どうやってシュートを決めるのかなど、練習から常に考えるようになりました」
#32 若野瑛太(184cm/名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15)

ちょっとビビッた経験を生かして……
 今回の6名は、中学1年生から3年生の総勢18名が参加したGLOBALLERS CAMPでのパフォーマンスやオフコートでの振る舞いなどを、本プロジェクトでコーチを務めるBANG LEE氏(SpaceBallMag)、MARU氏(KAGO BASKETBALL SCHOOL)、そして発起人であるサン・クロレラの代表取締役社長・中山太氏らGLOBALLERS実行委員会によって評価をされて選ばれた。2度のCAMPは海外挑戦を念頭に設計されており、選手たちは苦労をしながらも、一日一日を成長の糧とした。4月のKANAGAWA CAMPでは、アメリカ人などインターナショナルな選手たちがそろうTokyo Samurai AAUや、Houdini’s Problems Basketballと対戦し、6月のFUKUOKA CAMPでは福岡第一高校や、福岡大学附属大濠高校の胸を借りている。

 Tokyo Samurai AAUや、Houdini’s Problems Basketballとの試合では、マッチアップで感じた能力や体格の違いだけでなく、相手の持つ文化やバスケットボールに臨む姿勢でも違いも感じて、当初は気おくれした。シュートが決まるたびに大きく盛り上がったり、楽しんだりする相手ベンチの雰囲気。日本の体育館では見られない施設の壁面高くに取り付けられた得点板やタイマー。そもそも、選手たちの多くはアメリカ人など日本人以外の選手たちとバスケットボールをする経験はこれが初めてだった。新鮮な気持ちを抱きながらも、率直なところ「ちょっとビビってました」という声が、多くのGLOBALLERSから寄せられた。

 どんな選手も初めてのことに、戸惑うのも当然である。ビーコルU15でこれらのチームと対戦経験のあった新郷が「クラブチームで試合をしていた相手だったので、知り合いや先輩に自分の力を見せてやろうと思いました」と強気な感想を言ったあたりに、慣れは非常に大事であると改めて思わされた。

 ただ、こういった未知の経験は、福岡第一高校や、福岡大学附属大濠高校への遠征で生かされたようだ。名門校に対して、選手たちはビビることが無かった。若野は「第一高校戦はガードとしてアシストで味方を生かすプレーがたくさんできたと思います。大濠高校戦では、コート内での声掛けや得点など、やるべきことができていました」と、自信を持って振り返った。

 吉岡も、神奈川で相手の雰囲気に少し飲まれてしまったそうだが、福岡では「気持ちだけは負けないようにプレーをしていました」と胸を張った。さらに、BANG LEE氏やMARU氏が「チャレンジをすることに対して、ものすごく褒めてくれる」という後押しも、彼が強い気持ちでプレーする力になった。また、北本もFUKUOKA CAMPでは「失敗をしてもいいからやってみようという気持ちで試合をしました」と、神奈川から意識を切り替えたわけであるが、ここにもコーチ陣のアドバイスがあったようだ。「GLOBALLERSではミスをしても前向きにとらえて、どんどんやっていいよという声掛けが(BANG LEEさんやMARUさんから)あって、バスケがすごく楽しくできました」と、北本は明かした。

語学特訓の一部始終……「Siriも英語に」
 一方で、バスケットボール以外にも渡米に向けた準備は重ねられた。本プロジェクトは3年目の新たな取り組みとして、英語学習に注力。KANAGAWA CAMPでは3日間、英会話のレッスンが組み込まれ、外国籍コーチによるスキルワークアウトも行われた。

 もちろん、このような経験も選手たちにとって初めて。佐々木は「GLOBALLERSに選ばれて、神奈川でのスキルワークアウトは全て英語だったので何を言っているか分からなくて……(正直言って)英語の得意な選手に練習のやり方を聞いてしまうこともありましたし、見てとにかく頑張ってやるしかないと思いました。改めて勉強しないといけない」と、本音を漏らす。阿部もまた「神奈川キャンプで外国人コーチのレッスンを受けたときに、すごく英語は重要だと感じました。改めて、ちゃんと勉強しないといけない」と振り返った。彼らにして見れば、思いもよらぬ形で、中学校で学ぶ英語の授業とバスケットボールがつながったわけである。多少なりとも英語に触れたことのある新郷も「聞き取ることはある程度できましたが、自分から考えて話すことが苦手」と明かした。

 それでも英語は海外でバスケをやるための必須スキルである。必要となれば、苦手と言えども、取り組みに力も入る。KANAGAWA CAMP以降、選手たちは日常生活で英語に触れる時間を増やし、学業に対する意識もより一層高まったという。佐々木は中学校で、先生の協力を仰いで英語の課題を作ってもらい、毎日それを解くようにしているという。

 また、阿部は学校の授業はもちろん、スマートフォンに英単語やリスニングのアプリを入れて、朝夕などに、学ぶ時間を増やした。新郷に至ってはiPhoneの言語設定を変更。「全て日本語から英語の設定にして、Siriも英語にしました。子ども向けの海外アニメを英語で見たりしています」と、彼は特訓の一部始終を明かしてくれた。

 渡米先では本プロジェクトのコーチや実行委員会スタッフも同行するが、コートに入れば選手たちが英語でコミュニケーションを求められる場面もあるだろう。もしかしたら、訪問先のコーチからどんな選手なのか、どんなプレーが得意なのかなど、質問される機会が訪れるかもしれない。

 また、語学ができることは、バスケットボールのみならず、将来的に自分の可能性を広げる大きな武器になる。プレーでチャレンジする意識が根付くだけに、渡米したあかつきには積極的にコミュニケーションを図るチャレンジができれば、きっと得られる経験もより一層、大きくなるはずだ。

人生を変える経験をアメリカで
 Team GLOBALLERS JAPANは今後、大阪での最終合宿を経て、9月中旬に渡米する。6人は春先のトライアウトを突破し、Team GLOBALLERSで頭角を現した選手たち。一連の活動によって得られた「自信」、コーチ陣から学んだ最後までボールを追う「執着心」や、相手や自分の特徴を踏まえてプレーする「判断力」、そして合宿を通して培った「チャレンジ」する心を携えて、彼らは海を渡る。バスケットボールでアメリカに挑戦できる機会、それも中学3年生でできるチャンスを、選手たちは存分に楽しみ、思い切り力を出し切って欲しいところだ。それがきっと自分のため、応援してくれた家族や友人、海外遠征メンバーから漏れてしまった仲間のためにも、きっとなるはずだ。

 渡米の意気込みを結びとし、人生を変える経験をアメリカでする6人を送り出したい。

「アメリカでバスケができることは誰もができる経験ではないので、チャレンジすることを忘れずにプレーをしたいです。僕たちのプレーで日本がこのぐらいのレベルなのかと絶対に思われないようにしたいですし、日本人にすごい選手たちがたくさんいるんだと思われるようにプレーをしていきたいです」
#32 若野瑛太(184cm/名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15)

「2回のキャンプで自分の良い点と改善点が見つかりましたので、アメリカまでにしっかりと良い点を伸ばして、改善点はしっかり直して、アメリカで自分ができるプレーを一生懸命やりたいです。チャレンジ精神をしっかりと持ち、アメリカの相手にどれくらい通用するのかを経験していきます」
#33 佐々木寧(184cm/瑞穂バスケットボールクラブ)

「アメリカでプレーすることは良い経験だと思います。それに向けて今から練習や英語をしっかりとやって、アメリカで最高のパフォーマンスが出せるように頑張りたいと思います」
♯3 阿部真冴橙(175cm/仙台89ersU15)

「アメリカには何回も行けるものではないと思うので、行くからにはしっかりと自分ができることを精一杯やりたいです。向こうでは、コミュニケーションも大事だと思いますし、雰囲気も知りたいと思います。頑張ります!」
#53 吉岡陽(181cm/WATCH&C PRIDES)

「せっかくチャンスを頂いたので覚悟を持ち、自分の得意なプレーを出して、アメリカを相手にどうやって戦うのか。そういったことを考えながらプレーをしていきたいと思います」」
#43 北本慶志(177cm/布水中学校)

「自分の夢はNBAプレーヤーになることです。その夢に近づく、今回は第一歩になります。相手を恐れずチャレンジをしますし、アメリカの雰囲気や経験したことを持ち帰って、チームメイトに教えてあげられたら良いなと思っています」
#35 新郷礼音(185cm/横浜ビー・コルセアーズU15)

今秋、初の海外遠征へ。Team GLOBALLERS JAPANの意気込み

TEXT by Hiroyuki Ohashi


GLOBALLERS
サン・クロレラ
サン・クロレラ スポーツ

RELATED COLUMN

MOST POPULAR