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  • 2021.05.29

3×3の次世代を創る『YOSK CHALLENGE』への思い

「高校生よ3×3の時間だ」――元Bリーガーで、現在は3×3男子日本代表候補に名を連ね、UTSUNOMIYA BREX.EXEの中心選手として活躍する齊藤洋介(以下YOSK)が、次世代を創るプロジェクトを立ち上げた。彼はどんな思いで、スタートさせたのか……(取材日:5月19日)

全国を目指す高校生をYOSKがサポート
YOSKによって企画された次世代を創るプロジェクト『YOSK CHALLENGE』は、高校生を対象にした3×3バスケットボールの奨学金制度である。具体的には、2021年11月に開かれる『第8回U18 3×3日本選手権大会』へ出場を目指す高校生チームを公募し、選考を経て10チームをYOSKが完全サポートする。期間にして約半年を予定し、主に3つのポイントでサポートを行う。一つ目は選手権の予選出場に必要な登録費や、大会に参加するための交通費・宿泊費といった金銭的な支援。二つ目は3×3特有の技術や戦術的なコーチング支援。三つ目は実戦機会の場を提供する。サポートの原資は5月30日まで実施するクラウドファンディングで得られた支援をあてる予定だという。

はじめた理由。自らの境遇を重ねて
ではYOSKはなぜこのプロジェクトをやろうと考えたのか。そこに至るには彼の様々な経験が積み重なる。ひとつは、競技の第一人者として同じバスケットボールにも関わらず5人制に比べて低い3×3の注目度や、昨年から実施する高校生へのクリニック活動を通じて「知っているけど、やったことがない」という多数の声があったからだ。「3×3はパリ五輪まで採用が決まっているオリンピック競技です。育成年代の競技人口を増やしたい。現役選手が行動に移すことで、いろいろな方へチャンスを与えられます」と、思いを語った。

またYOSK自身の生い立ちも、その思いを強くする。ご存知の方もいるかもしれないが、彼は学生時代にバスケを辞めた過去を持つ。ただ、そこからストリートと出会い、個人参戦型の3on3プロリーグ『LEGEND』をきっかけにプロへの道を切り開いた。信州ブレイブウォリアーズでは中心選手として活躍し、地元・神奈川の横浜ビー・コルセアーズにも1シーズン在籍。B.LEAGUE 2017-18シーズン限りで5人制を引退すると、3人制へ転向し、UTSUNOMIYA BREX.EXEで日本一や国際大会を転戦するなど、日本を代表する選手になった。自らの境遇と重ねるように、次のようにも話す。

「私は学生時代に部活で先生にやらされるバスケが嫌いで、一度辞めてます。少なからず似たような経験を持った子もいることでしょう。そのような子どもたちにチャンスを与え、また集まってバスケで闘志を燃やせる機会があれば、価値のあることだと思っています」

このプロジェクトでは公募による10チームに加えて、YOSKが「個人参戦の集い」と『LEGEND』のように表現したトライアウトを行い、男女各1チーム計2チームも編成する。当初は計画をしていなかったが、部活を辞めた境遇の高校生たちから「個人で応募できませんか」と声が寄せられたため、実施に至ったという。

支援と応募の大きな反響に「驚き」
そして彼の思いを込めたプロジェクトはクラウドファンディングの開始とともに世に出ると、直後から大きな反響があったという。

「本当に驚きました!多くの方が応援して下さっていると感じています。また高校生の皆さんもプロジェクトのスタート直後から応募をしてくれました。3×3をプレーしたい、全国大会を目指したいという意気込みが伝わってきます。彼ら彼女らには勇気も熱意もあるわけです。ひとつ手助けができているのではないかと思います」

現在チームの募集は終了し、選考を経て奨学金対象の10チームを採択。トライアウトも新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を行ったうえで実施し、近日中にサポート選手を決めるという。

また今後のコーチングについてはコロナ禍のため、まずはオンラインで行い、状況を慎重に見極めながら対面によるコーチに移行する計画を持つ。さらに選手権の都道府県予選を控える8月頃には全12チームを集めた中間大会も行う。「この競技はやらないと理解できません。5人制と同じバスケットボールですが、別物です」と、実戦を持って競技の理解を深めていく。

もちろん、こう話すには理由もある。それはYOSKが競技者として5人制と3人制の違いを身をもって経験したことに加え、コーチとして昨冬のU18 3×3日本選手権で初優勝した女子のKUKI GYMRATS(埼玉県立久喜高校)を大会前に指導した経験もあるからだ。高校生たちが3×3をプレーすることで、選手自身の成長はもとより、競技の伸びしろが「ものすごい」と実感している。今回の取り組みをきっかけに「3×3をやりはじめ高校生たちが3年後に3人制の代表候補に入って、パリ五輪に向けた代表争いをしていたり、世界を目指してプレーしていたら、嬉しいですね」と青写真を描く。


多くの支援に応えるため成功を誓う
クラウドファンディングの募集はあとわずか。期限は5月30日一杯だ。YOSKが高校生たちのチャレンジを後押し、次世代を創る取り組みに興味が沸いたら、プロジェクトの特設ページを是非一度チェックして欲しい。彼自身は選手としてシーズンを戦い、東京オリンピックに向けた代表選考の過程にいながら、プロジェクトを成功させるため、慣れないことにも取り組みながら、全力で楽しんでいる。

「プロジェクトではちょっと苦手な頭を使う仕事もやっています(笑)。ですが、とても充実しています。現役ですから一番の仕事は毎日の練習であり、試合で結果を残すことです。それでも未知な取り組みの中で、プロジェクトが成功する景色はどんどん見えてきて、本当に楽しいですね」

最後にYOSKはクラウドファンディングを通して、プロジェクトに支援をされた方と、これから支援を考えている方へ、メッセージを送ってくれた。『YOSK CHALLENGE』は、彼の生き様や思いに共感し、応援してくれる多くの方によって、着実に未来を創っていくに違いない。

「支援してくださった皆さま。想像以上に多くのサポートをいただき、私の思いに共感をしていただけて、本当にありがとうございます。皆さんの声援や期待にしっかりと応えられるように、プロジェクトを成功させていきます」

「支援を考えている皆さま。私の歩んできた道は少し特殊です。人生の途中で一時バスケを辞めました。でもプロになれる。日本代表候補や日本一、世界と戦える場所が3×3にあります。若い世代が夢を追い、輝ける場所を作っていきますので、是非その力になっていただけたら、ありがたい気持ちで一杯です」

3x3の次世代を創る『YOSK CHALLENGE』への思い

TEXT by Hiroyuki Ohashi

YOSK CHALLENGE

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