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  • 2020.09.17

テーブス海インタビュー 前篇

ブレックスにいる以上、僕は勝利に貢献しなければならない




9月17日、アディダスジャパンは、宇都宮ブレックスのテーブス海との正式な複数年契約を締結したことを発表した。

テーブスは高校2年でアメリカに渡り、プレップスクール経由でノースカロライナ大ウィルミントン校に進学。ディビジョン1チームの主力ポイントガードとして腕をふるっていたが、NBAという目標を実現する最適解を考えた結果、卒業を待たずに日本に戻ってきた。

その唯一無二の経歴と将来性の高さは、アディダスが求める、自らの意思で独自の道を切り開く、クリエイティビティーを持つアスリート像とマッチしている。

3月27日、Bリーグは2019-20シーズンの全日程の中止を発表し、テーブスのプロとしての初シーズンもわずか12試合で終わってしまった。しかし、彼の瞳は常に上を向き続けている。Bリーグ、日本代表、そしてNBA——。果てしない青写真を現実のものとするために。

まずはルーキーシーズンを振り返っていただけますか?

ブレックスのような強豪チームに、シーズン終盤から加入するというのはとても難しいチャレンジでしたが、その中でもある程度成長を見せられたんじゃないかと思います。残念ながら想定より短い期間になってしまいましたが、自信につながる12試合でした。

特にどのようなところで成長を感じましたか?

大学時代のプレースタイルはパスファースト。30分以上のプレータイムの中でボールを長く持って、確実なチャンスを決められるチームメイトを探し、パスを出すのが自分の持ち味だと思っていました。でもブレックスで与えられるプレータイムは現状長くありません。短い時間でどれだけチームに貢献できるかを考え、ボールが来た時はアグレッシブに得点をとりに行くことが大事だと思うようになりました。

この点は、ガードの大先輩の田臥勇太さんからもアドバイスをもらいました。ブレックスに加入して3試合目のホームゲームで、僕がトップからドライブして最後の最後にパスを出したプレーをしたあと、田臥さんに「ちょっとこっちに来て」と声をかけられて。「突破して抜けたときは、まずは自分で攻めていかないといけない」と言っていただきました。

アメリカのバスケを経験したテーブス選手は、Bリーグにどのような印象を受けましたか?

アメリカの大学に比べると、身体能力とかサイズがない分、純粋にバスケットがうまい選手やバスケIQが高い選手が集まっているリーグだなって思いました。僕がBリーグに戻ってきた理由の1つもここ。「うまさ」という点で成長したいと思って戻ってきました。

日本でこれだけバスケが盛り上がっていることには驚かれましたか?

盛り上がりとは少し違うかもしれませんが、価値が高まっているなと感じたのは、大学の元チームメイトたちから「Bリーグに行きたい」と相談を受けたときです。

アメリカ人である彼らの夢はやっぱりNBAなんですけど、NBAに行けなかったときを想定して、海外の各プロリーグの情報もいろいろ調べているんです。アメリカの学生プレーヤーの選択肢に日本のリーグが入るっていうのは、それだけ質が高くなっている証拠なのかなと。「日本のリーグは海外の選手が目指すところまで来たんだな」って実感しましたね。

今後、テーブス選手を縁に来日する選手も増えそうですね。

そうですね。Bリーグに行きたいっていう友達、本当にいっぱいいるんで(笑)。

開幕に向けて、特に意識していることはありますか?

技術的なところは全部練習しているんですけど、一番は体づくりですね。日本に帰ってきた時から7.8キロ減量しました。

それはなぜ?

アメリカでは自分よりでかい相手と毎日マッチアップしていたので、それに対抗するためにたいぶ体重を増やしていたんです。試合数も30試合くらいでしたし。でも日本では、自分より小さい選手とマッチアップすることも多いし、試合数も60試合と多い。重さよりもスピードとケガしにくい体のほうが大切だと思ったので、自分で試行錯誤しながら体を作り替えているところです。

2020-21シーズンのフォーカスポイントは何ですか?

昨季はチームディフェンスを遂行するのに苦労したので、オフは映像を確認しながらルールをしっかり頭に叩き込みました。今年は「途中加入」とか「ルーキー」という言い訳はできませんから。

何より、ブレックスみたいなチームに入っている以上は、勝利に貢献したいっていうのが一番です。自分が出た時は、個人スタッツよりも勝利に導くために何をしないといけないかとか、そういうことしか考えていないです。

オリンピックの延期について思うことはありますか?

延期になったのは残念ですが、メンバーに分け入る時間とチャンスを与えられたっていう気持ちが正直なところです。ただ、1年前の時点でフルメンバーに入れてないという事実は重いですし、時間も限られています。とにかくAチームに入るためにはBリーグで結果出すしかありません。東京オリンピックはもちろん、その先の代表のことも見据えた上で、今年は自分にとって大事な1年になると思います。

後編に続く

テーブス海インタビュー 前篇 -ブレックスにいる以上、僕は勝利に貢献しなければならない-

TEXT by miho awokie

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