3×3でオリンピック出場の夢は託された、日本の命運を握る選手たち
texy by Hiroyuki Ohashi
女子選手たちの奮闘
既報の通り、2020年東京オリンピックにおいて、3×3の開催国枠は、男女で1つという最終決定が下された。11月1日時点の国別ランキングでどちらか順位の高いほうへ出場権が付与される(同順位の場合は女子が優先)。最新のランキング(10/8時点)で男子は8位、女子は11位だ。先のFIBA 3×3 U-23 WORLD CUPで女子日本代表はロシアを破って世界一となり、4人合計で約21万ポイントを獲得。日本としてはトータルで約502万まで積み上げた。10位・ウクライナとの差は約50万もある状況で、今後は得られるポイントが高い国際大会が11月1日までには無いため、残るは10月26日の3W(TRIPLE DOUBLE)開幕戦に出場する選手たちがそのギャップを少しでも埋めていくことになる。
男子はパイオニアの出番がやってきた
一方で男子はここからだ。日本勢はFIBAが設定する10段階の大会グレードで最上位のFIBA 3×3 WORLD TOUR MASTERSに2度出場する。今週末にはNANJING MASTERS(10/12-13)、来週にはJEDDAH MASTERS(10/18-19)が待っている。世界のトップチームが集結する厳しい戦いにはなるが、戦績次第ではポイントの上積みが十分にできる。9位・ラトビアとの差は約12万ポイントだけに、突き放したい。そんな3×3日本代表の五輪への道を切り開く重要なミッションを担うは、UTSUNOMIYA BREXとTOKYO DIMEである。MASTERSやその予選会にあたるCHALLENGERといった海外プロサーキットを転戦するパイオニアたちの出番がやってきた。
プレッシャーこそ楽しめBREX
UTSUNOMIYA BREXは今季、国内から海外プロサーキットへ通じる4度あった予選会をすべて制覇。そのうち、3×3.EXE PREMIERのCROSS CONFERENCE CUP(→JEDDAH MASTERS)と、PLAYOFFS(→NANJING MASTERS)で勝ち取った権利で決戦に挑む。チームは8月末のINJE CHALLENGERで初のベスト4に入って以降、自信を深めて、9月末のSEOUL CHALLENGERでは3人で世界ランク2位のLIMAN(セルビア)に2点差の接戦を演じるなど、5位に食い込んだ。さらに彼らは、その結果次第では11月に地元・宇都宮で開かれるクラブ世界一決定戦・FIBA 3×3 WORLD TOUR FINALへ出場する可能性もゼロではない。背負うものが多く、プレッシャーのかかる状況であるが、こんな時は「楽しむこと。僕が勝手に思っていることで、今年のBREXコンセプトにしています。3×3をひたすら楽しんで、その楽しんでいるプレーを見て、楽しんでもらいたい」という、5月のALBORADA CUP優勝後にYOSKが言っていた言葉が思い出される。小林大祐、Dušan Popović、Marko Milakovićの4人と、積んできた“チーム”で戦う姿をいかんなく見せるときがきた。
「使命感」を持って集大成を見せるDIME
そして日本で最もプロサーキットを戦ってきたTOKYO DIMEは、JAPAN TOURのRound.1からRound.5までを戦って、総合1位となり、JEDDAH MASTERSへ向かう。今季初戦のDOHA MASTERSでベスト8に食い込んだが、それ以降はMASTERSの出場権を手にすることができなかっただけに、この一戦に対する意気込みは強い。落合知也は「これに懸けている。正直、(WORLD TOUR) FINALに行けるか、現実的に厳しいかもしれないけど、やっぱりひとつでも(上を目指して)、シーズンを戦ってきたので、その集大成をJEDDAHで見せたい」と、その想いを口にする。さらに、「日本の国別ランキングを、K-TA(鈴木慶太)、小松(昌弘)、僕で上げていきたい。それも僕らの使命」と、3×3日本代表候補であり、誰よりも競技と向き合っているからこその決意を改めて語った。先週のJEJU CHALLENGERでは新メンバーであるOSAKA DIMEのDaniel Baileyを迎えて3人で挑み、予選敗退に終わったが、限られた時間でしっかりと修正を施して大一番に挑んでくれるだろう。7月のHUAIAN CHALLENGERで初の3位入賞、9月のSUKHBAATAR CHALLENGERで世界4位のNEW YORK HARLEM撃破を超えた、シーズン最高の勝利なるか。「もう一発、見てろよ、という気持ちで僕はやるので、見てて欲しいですね(落合)」と言い切った言葉に嘘はない。
夢を託すに相応しい選手たちの共闘
開催国枠で揺れる日本の3×3シーン。だが、それを乗り越えて東京オリンピックへの出場権をたぐり寄せる役割を、BREXとDIMEが担うことになるとは思ってもみなかった。ただ彼らがやってきたことを考えれば、必然でもある。彼らのユニフォームに日の丸は無いが、“日本人がどこまで世界に対抗できるのか“を追及して、春先からほぼ毎週のように3×3を戦ってきた。誰よりも積んできた姿は、もはや日本代表のようであり、MASTERSのトリを飾るJEDDAHの大舞台には、その2強がそろって出場する。今季は日本から複数チームが同じ国際大会に出るケースがあり、その場合は好成績が出ていることが多い。以前、小松も次のようにその効果を教えてくれた。「とても心強いです。お互いにそうだと思いますけど、やっぱり応援し合いたいと思っていますし、できれば試合はしたくないですけど、国内に(世界での経験や結果を)持ち帰るチームが増えることは絶対に良いことだと思います。そういうチームが多いほど強い国が生まれると思っています。そういった意味で、一生懸命励まし合って、良い結果を残せるように頑張りたい」。夢を託すには相応しい彼らの姿を、一丸となって我々は応援していこう。
- 3x3.EXE PREMIER
-
TEXT by Hiroyuki Ohashi