公園バスケに魅了されて…ALLDAY SPRING 2026のMVPに輝いたESTHERは「非常に好き」

春の代々木を制したLiiiNYのチャンピオンフォトセッションに、良い笑顔が並ぶ。ALLDAY SPRING 2026の優勝に貢献したESTHERは、母国で経験した公園バスケを思い出して「この環境は非常に好き」と言葉を弾ませる。彼女を誘ったYUMIも初のALLDAYに臨んで「楽しく、でもガチでやる」世界観に魅了された。そんな2人と、ストリートボールシーンをけん引しているASAKOが共演したのも印象的。4度目のウィメンズトーナメントで、バスケを楽しむメンタリティーがストリートに根付いている光景だった。

代々木で抜きんでていたESTHER
「みんなで力を合わせて、最後まで勝ち切れました。優勝できたのは、すごく嬉しいです」――。高校入学を機に来日したESTHER(イベ エスター チカンソ)の表情が代々木公園バスケットボールコートで、ほころんだ。
彼女は5月3日、4日に開催された「ALLDAY SPRING 2026 50th Edition」のウィメンズトーナメントで、LiiiNYの大会制覇に貢献。MVPになったのである。その道のりを振り返ると、チームは初戦(3日)でrag-bagを14-10で下すと、4日の準決勝では昨春の準優勝チーム・YOK ballersを25-14で撃破。決勝ではALLDAY FALL 2024のチャンピオン・XDを27-14で退けたのである。

ESTHERの身長は185㎝。高さと、インサイドでのパワフルなプレーは、代々木で抜きんでていた。さらに、フルコートでのトランジションでもよく走り、リバウンド争いでも大きな力になった。風がよく吹く天候だったため、シュートが外れても彼女の存在がチームメイトにとっては心強かったはずだ。

即席チームだったそうだが、コートの5人もベンチも含めて盛り上がりは抜群。良いコンビネーションもあった。ESTHERは「みんなの動きを見て、合わせました。あまり練習はしていないけど、一人一人のプレーを理解してやっていました」と振り返る。

名門校で成長。Wリーグで苦労した先にALLDAYへ
そんなウィメンズトーナメントの4代目MVPは、いわゆる留学生として日本でのキャリアがはじまった。岐阜女子高校の入学を機に、ナイジェリアから来日。「バスケットを勉強するために来ました。高いレベルでやりたい。プロフェッショナルになるのが目標だった」と、海を渡った理由を明かす。インターハイ、ウインターカップでは全国2位となり、大学は名門・東京医療保健大学へ。大学4年間で2度の優勝と、2度の準優勝を経験した。同校と言えば、2024年大会の決勝で白鷗大学と4度の延長戦を演じた試合が記憶に新しいが、その死闘で彼女もコートに立っていた。

ESTHERは日本での成長について「バスケットボールスキルも成長できて、日本語を喋れるように勉強もしました!日本の生活、ルールの部分、いろいろとご飯にも慣れました」と振り返る。
ただ、Wリーグの1年目に難しい時期も訪れた。ESTHERは、2024-2025シーズンにアーリーエントリーで東京羽田ヴィッキーズに加入し、2025-2026シーズンにプロとしてルーキーシーズンを過ごした。初のWリーグは彼女にとって「いい経験があるし、すごく大変だった」という。
「すごい(相手)チームが強くて、いろんな試合で負けちゃった場面があって、自分も負けていた部分があって、プレータイムも少なかった。結構、メンタルも落ちている時間がありまして。(でも)毎日練習を頑張って、自分ができることに集中してやればいいですね。(そういう)メンタルを持ってやってます」

そして、そんな経験があったからこそ、ALLDAYではシンプルにバスケットボールを楽しめる心地よさもあったようだ。彼女は「この環境は非常に好きです。楽しみながら、みんなで遊びながら。ALLDAYの試合、すごく良い」と、その雰囲気を気に入っている。
また、公園バスケは母国の記憶を思い出させる機会にもなった。先輩や友だちなどと外でバスケットボールをするのは日常だったそうで「久しぶりですね!あの気持ち良い感じが、嬉しいです。公園に出て、みんなで結構試合とかしたり、ハーフコートでやったりしてました」とも語ってくれたのだ。


YUMIも初の代々木を終えて「すごい魅力的」
そんなMVPになったESTHERを誘ったのは誰だったのか。チームメイトのYUMI(高桑由実)である。彼女もALLDAYに初参戦したわけであるが、こんな一部始終を明かした。
「(LiiiNYは)LUCA(関口和華)に呼ばれたんです。いま一緒に新宿giversで3×3をやってるESTHERとMANAMI(岡田真那美)さんを呼んで、今回一緒のチームでやろうと思って。私はヴィッキーズでスクールを5年ほど(コーチとして)やらせていただいています。その中で、今年ESTHERがヴィッキーズを引退して新宿giversに入って、MANAMIさんは(Wリーグの)オフシーズン、一緒に3×3をやっているんです。5人制も同じチームでできたらいいなと思って(ALLDAYに)呼びました」

YUMIはESTHERとプレーするようになって、まだ日が浅いものの、その人柄を「めちゃくちゃフレンドリー」とも表現。ただ、バスケットボールになれば、また違った一面を持っているようで「経歴も岐阜女、医療でやってきた選手です。バスケットに関してはやるとなれば、全力で取り組むし、どうして欲しいとかも伝えてくれる。すごくやりやすい」と言う。

そして、YUMIもESTHERと同じくALLDAYの世界観を気に入った。これまで3×3を主戦場にして国内外でプレーしてきただけあって、5人制は「久しぶり」だったというが、身長161㎝のハンドラーは鋭いドライブを見せるなど、代々木でもらしさ全開。表彰式を終えて「ALLDAYはすごい観客だし、すごい雰囲気。みんな楽しく、でもガチでやるのが、私はすごい魅力的だと思う。男子のほうがいま盛り上がっているかもしれないけど、女子もこのくらい(たくさんの)観客を集めて盛り上がれるように、少しでも自分もいい発信ができていければと思います」と、想いの丈を語った。競技バスケには無いものが、公園バスケにはあるのだ。


優勝チームにASAKOあり。思い出した2年前の言葉
そんなふたりの初出場組を見ながら、LiiiNYで見逃せない光景もあった。優勝メンバーにASAKO(浅羽麻子)がいたことだ。言わずと知れた女子ストリートボールのパイオニアであり、ALLDAYのウィメンズトーナメントにも2024年春の第1回大会から参戦。彼女が中心となったチームで、頂点を目指しながら、タイトルに惜しくも届かなかった過去がある。

ところが、今回は良い意味でLiiiNYにいる一人のボーラーとしてプレーしていた様子だった。もちろん、コートに立てば力強いショットを決めるなどASAKOらしいプレーを披露。YUMIも「浅羽さんがいるだけでチームをまとめてくれました。存在感も違います。去年も優勝を逃していると聞いていましたが、今回優勝に同じチームで関われたことは、私の中でもすごいうれしいです」と、尊敬の念を送る。頼れる背中を見せつつも、シンプルに仲間とバスケを楽しんでいる雰囲気が感じられた。

そんな光景を見ると、ASAKOが2年前の春に語っていた言葉も思い出した。ESTHERやYUMIがALLDAYを楽しんだことを思えば、彼女の思いはしっかりと代々木に根付いている。女子のストリートボールは、これからも広がっていく。そう思えるALLDAY SPRING 2026のLiiiNY戴冠だった。
「自分はたぶん他の人には無いメンタリティーを持っていると自覚しています。バスケがすごく好き。それを一緒にやっている人に伝えたいという思いがすごくあって。例えば私がリーグのオーガナイザーになってやるよりも、自分が一緒にプレーして伝えられる方が自分らしいかなと思ってて。なので、もう私もたぶん何年後かに体が動かなくなるけど、バスケを好きな人を増やせたらなと最近思っています。それで一緒にやりながら、そういう人を増やしていけるようにしたいなと思っています」

【プロフィール】ESTHER | イベ エスター チカンソ
2001年生まれ。ナイジェリア出身。岐阜女子高校への入学を機に来日。東京医療保健大学を経て2024-25シーズンにアーリーエントリーでWリーグの東京羽田ヴィッキーズ入り。2025-26シーズン限りでヴィッキーズを引退して、現在は新宿giversで3×3を主戦場に。本人も「日本で頑張りたい」と、新たな挑戦に意気込んでいる。身長は185cm。

【プロフィール】YUMI | 高桑由実
1996年生まれ。東京都出身。金沢総合高校を経て、共栄大学に進学。2019年から3×3に挑戦して、国内外で活躍してきた。女子の3×3世界No.1を決めるツアー大会「FIBA 3×3 ウィメンズシリーズ 2022」にもEXEWINGの一員で参戦。現在は、新宿giversに所属する。



- 公園バスケに魅了されて…ALLDAY SPRING 2026のMVPに輝いたESTHERは「非常に好き」
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TEXT by Hiroyuki Ohashi




