『3×3 Super Circuit 2022』は中盤戦に突入……Solviento KamakuraとSHINAGAWA CCが3月のFINALへ
2022年に入って早々、結果がついてくると、今後に弾みがつきそうだ――『3x3 Super Circuit 2022』は中盤戦となるRound.3とRound.4が開催され、Solviento KamakuraとSHINAGAWA CCがRoundを制し、FINAL行きを決めた。いずれもチームに変化があった中、久々に勝ち切った大会の模様を振り返る。
経験豊富な4人と、初結成の4人が勝ち上がる
2022シーズンの世界大会(※)へ向けた国内予選『3x3 Super Circuit 2022』は、中盤戦に入った。1月9日にRound.3 KANAGAWAが、同16日にRound.4 CHIBAが開催され、3月13日に東京で行われる予定のFINAL出場チームが、新たに決まった。
まずRound.3から名乗りを挙げたのは、Solviento Kamakura。昨シーズンは経験豊富なメンバーを擁しながら結果を出せずに苦しんだものの、チーム内で役割を変えたことが功を奏した。梅林聡貴(#11)、清水隆亮(#24)、菊池亨(#35)、及川啓史(#2)の4人で臨み、集中力を切らさない力強い姿を取り戻して、久々に勝ち切った。
続くRound.4は、新メンバーを迎えたSHINAGAWA CCが突破した。昨年末に中心選手の退団があったものの、越川和紀(#24)と竹田寛人(#48)の既存戦力と、藤沢宏隆(#10)とブラ・グロリダ(#95)の新戦力が融合。公式戦で初めて組んだ4人とは思えないようなチーム一丸となった戦いぶりで、FINALへ駒を進めた。
Kamakuraが我慢強くなった理由
Solviento Kamakuraと言えば、2020年2 月に『第5回 3x3日本選手権大会』を初制覇したTEAM TSUKUBAをルーツに持ち、UTSUNOMIYA BREX.EXEやTOKYO DIMEに続いて世界を目指すと意気込んだチームだった。同年秋には、クラブ世界No.1を決めるツアー大会『FIBA 3x3 World Tour Doha Masters』へ出場した実績もある。
ただ、コロナ禍の長期化で海外挑戦の難しさが続いた2021シーズンは、それ以前に国内で勝てず、苦しかった。勝ち切った最後の大会はNATUREMADE.EXEとして出場した、昨年5月の3x3.EXE PREMIERのRound.1までさかのぼる。理由は様々あるだろうが、ひとつはチームとしてリズムが悪くなると我慢ができずに崩れてしまう、精神的な弱さがあった。
しかし、Round.3の今大会は違った。チーム全員で声を掛け合い、どんな戦況でも集中力をキープ。球際で競り負けず、コートに出そうなルーズボールも最後まで追いかけた。予選は1試合目を21-8、2試合目を22-5と圧倒し、準決勝でSHINAGAWA CCを21-14で下すと、決勝ではMINAKAMI TOWNを撃破。粘り強いディフェンスで幸先よく先行し、終盤に詰められたが、落ち着いて逃げ切って21-16でクロージングした。試合後、チームの変化について清水に聞くと、言葉を選びながら、こう語った。
「実は、チーム体制が変わりました。キャプテンが僕から、梅林になりました。(2021シーズンの途中に)新しく入った及川も積極的に声を出してくれます。(それによって)僕は今までより、みんなと協力してプレーができるようになり、声も出るようになった気がします。あと、試合に出られない大原(侑之)など普段からサポートしてくれる選手の支えも感じるようになりました。綺麗事を言っているように思われるかもしれませんが、そういった人たちがいてこそ、練習と試合ができるので、自然とそれが試合中の態度にも出たと思います」
そして、新たな役割を担った梅林は、仲間たちに対するアプローチを次のように明かした。まとめ役は彼自身、東海大学付属相模高校や3x3で所属したBLUE BEESで経験していること。清水同様にTSUKUBA時代を知る男の言葉を聞けば、チームがゲームにフォーカスできた理由も明らかだった。
「僕たちはメンタル面で課題がありました。だから審判と戦わない。自分たちから崩れない。これは必ず伝えています。キャプテンとして、もしそうしている選手がいたら、ゲキを飛ばすなど、そこは意識をしていますね。その結果、今日は崩れ切らなかった。チームとして、この大会を通じて成長できたと思います」
SHINAGAWA『強いチーム』を目指して前進
また、カタチは違えどRound.4のSHINAGAWA CCもチームの変化を力に変えるべく、前進した姿がうかがえた。彼らは2019年に及川啓史(現Solviento Kamakura)を中心に始動したが、2021年春に及川が退団。昨年末には及川と同じくチームをけん引した成瀬新司もチームを後にした。戦績も2022年に入って、先日のSuper CircuitのRound.3と、今大会前日のJAPAN TOUR OPENに出場していたが、勝ち切れずにいた。
それでも、Round.4では2人の新戦力を追い風に、前日の悔しさも糧にして4戦全勝でフィニッシュ。いずれも3x3の大会常連チームを上回ってつかみ取った。予選でMINAKAMI TOWNを20-13、TSUKUBA ALBORADAを21-15で破ると、準決勝ではSENDAI AIR JOKERを21-17で下して決勝へ。
KOTO PHOENIXとの一戦では、立ち上がりこそリードを奪われたが、新戦力の一人であるブラ・グロリダが頼りになった。昨冬のインカレで初優勝した白鷗大学の4年生は195cmの高さだけでなく、機動力も兼ね備えていただけに、運動量を武器に激しく戦うSHINAGAWA CCにフィット。越川らと良い連携を見せて、逆転の流れを作った。
さらに、竹田寛人が何度もリバウンドに飛び込んでセカンドチャンスを奪取。もう一人の新戦力である藤沢宏隆も攻防両面でハードワークし、要所でシュートを打ちこんだ。越川を中心に、選手同士が終始声を掛け合う一丸となった戦いぶりで、21-10の圧勝劇を披露した。
キャプテンとしてチームを引っ張った越川は大会後、前日の敗戦によって気持ちが「落ちてしまった」と明かしながらも「今日はその分、絶対に勝とう」と心に決めていたという。それだけに1日を無事に終えられ、嬉しさとともに「ひと安心です」と本音も漏らした。そして、今後に向けて次のように意欲を燃やしている。
「僕らはありがたいことに『良いチームだよね』と周りの方から声をいただきます。でも、まだ結果は何も残せていません。だから、3月のFINALでは強いチームに勝って『良いチームだし、強いチームだよね』と言われるようになりたいです。本戦に向け、また練習をしていきます」
競技に関わる多くの努力で大会が継続中
さて、『3x3 Super Circuit 2022』は早いもので、残すRoundはあと3大会。
年明け以降、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が懸念されるが、いま主催者は感染対策を強化して、大会運営を行っている。とりわけRound.4からは会場入り前に全選手及びスタッフ、メディアに対して、抗原検査を導入。万が一のことがあれば、当日の大会中止も視野に入れたが、幸いにも陽性判定者は確認されなかったそうだ。3x3に携わる人たちすべての協力や努力で、競技シーンは継続されている。
感染状況は依然として予断を許さない。だが、まずは一人ひとりが感染予防に努めて、2月のIBARAKI Roundが無事に開催されることを願いたい。
<今後の大会スケジュール(予定)>
Round.5 2022年2月11日(金・祝)茨城
Round.6 2022年2月19日(土)京都
Round.7 2022年3月6日(日)徳島
ワイルドカード 2022年3月12日(土)東京
FINAL 2022年3月13日 (日) 東京
https://handoff-all.jp/2021/11/25/3x3sc22/
※国際バスケットボール連盟(FIBA)の判断により『3x3 Super Circuit202』の主催者が確保予定の『FIBA 3x3 Challenger』が中止になった場合は、出場権も無くなる見込み。
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TEXT by Hiroyuki Ohashi