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  • 2024.07.15

湘南でバスケを「見て」「触れて」「体験できる」……地域密着の「湘南 HOOP FES 2024」が開催される

湘南でバスケをぎゅっと詰め込んだお祭り
 神奈川県と言えば、バスケットボールの盛んな地域だ。日本バスケットボール協会が公開する登録者数推移によると、競技者登録数(2023年度)は全国で最も多い。これは3x3を除いた数字だけに、3人制や草バスケボーラーもカウントすれば、もっとすそ野は広そうだ。
 とりわけ県下では湘南地域が印象深い。漫画『スラムダンク』の舞台になったほか、U18カテゴリーでは、今夏のインターハイへ出場する女子・鵠沼高校を筆頭に、同インターハイ予選2位の星槎湘南高校、男子も湘南工科大学附属高校が同予選で2位になるなど、男女で実力校の名前が浮かぶ。ミニバスも活発だ。

 そんな地域で7月7日、バスケットボールを「見て」「触れて」「体験できる」イベントをぎゅっと詰め込んだお祭り「湘南 HOOP FES 2024」(以下湘南フープフェス)が開催された。会場となったJR辻堂駅すぐのテラスモール湘南には特設コートが設けられたほか、アルペンやSPALDING、地元企業などの様々なブースが出展され、藤沢拠点の3x3チームや5人制プロバスケットボールチームなどが訪れたファンや通りかかったまちの人たちを楽しませた。

地元チームが躍動「藤沢を盛り上げていく」
 湘南フープフェスを「見て」楽しむメインイベントは、3x3国内リーグ「3XS」(トライクロス)の2024-25シーズンの開幕ラウンドである。2022年に発足した3XSは、今シーズン発足3年目を迎えて男子は2つのディビジョン制に移行。そのひとつのディビジョン開幕を告げる一戦を、TEAM Q4湘南がホームゲームとして誘致した。

 中心選手の鈴木颯(183㎝)にとって、会場となったテラスモール湘南は高校時代の思い出の場所だったという。当時、彼は湘南工科大学附属高校でバスケに明け暮れていた。ラン&ガンの走り勝つスタイルだったため「練習がハードすぎて、家へ帰る前に1回ここに立ち寄っていたんですよ。もう疲れすぎて、みんなでご飯食べながら、倒れてました」と笑う。

 今回のホームゲームに対して、鈴木はチームオーナーの小山内喜美氏に感謝を述べるとともに、「選手として湘南、藤沢を盛り上げていくのが大切です。勝っても負けても全力でこの地を盛り上げられるよう、最後までやり切りたい」と意気込んだ。

 また、奥山颯太も湘南エリアと縁のある選手だ。彼は、大学時代に平塚にある東海大学のバスケットボール部に所属。Bチームでの活動に励みながら、在学中に高校時代にスキル指導を仰ぎ、湘南フープフェスにも出演したバスケットパフォーマー もりもりの紹介で、TEAM Q4湘南と出会った。現在は、社会人とバスケを両立中だ。テラスモール湘南には初めてきたそうだが「大学在学中に育った神奈川県という場所で、バスケができることはすごく嬉しく思います」と話してくれた。

 しかし、残念ながらTEAM Q4湘南は開幕ラウンドの予選で1勝1敗に終わり、12チーム中8位でフィニッシュ。それでも、シーズンは始まったばかりだ。昨シーズンは初のリーグチャンピオンへ駆け上がっただけに、鈴木は「今シーズンは強豪チームになれるよう、安定的に力を発揮したい。1回や2回勝ってそこそこ強いチームで終わらないよう、チームで高めていきたい」と成長を誓った。

選手たちが感じる、3XSならので良さは
 一方で、開幕ラウンドの優勝チームには、SHINAGAWACC WILDCATSが輝いた。決勝ではSAGAMIHARA PROCESSを16-15で撃破。延長戦の末にもつれ込む大接戦となり、伊藤尚人の決勝点が決まった瞬間には、会場から大きな歓声が上がった。両チームは1週間前に韓国で行われた大会の決勝で対戦してSAGAMIHARA PROCESSへ軍配が上がっていただけに、伊藤はリベンジできた結果を喜んだ。

「お互い、韓国の大会に出場したメンバーと違いましたけど、同じチームに2週連続で負けるのは悔しいです。先週、ブザービーターでジャンプシュートを決められて負けましたが、今日同じようなシュートで勝てたので、すごく良かったと思います」

 そして、国内にはさまざまなリーグやツアー大会がある中、伊藤は3XSならでは魅力も感じていた。彼は「各チームがホーム開催をしており、ラウンドごとに各チームならではの取り組みが目に見えるのはすごく素晴らしいことだと思います。また、リーグだけではなく、選手たちも一緒になってリーグを作っている感覚があります。そういったところはすごく素晴らしいですね」と明かした。

 奇しくもTEAM Q4湘南の鈴木も感じる魅力は同じだった。「まちに根付いたチームとリーグが一緒になって盛り上げていくスタイルが確立されてると僕は思っています。これは他のリーグでは体験できない感覚」と話す。優勝賞金のほかに、この日は葉山の焼きプリン専門店「マーロウ」が贈呈されたあたり、とても湘南らしさを感じた。選手、チーム、地域と共創するリーグなのだろう。

クリニック、スペシャルDJ、最新モデルの試し履き
 そんな湘南フープフェスならではの取り組みとして「触れて」「体験できる」イベントが目白押しだったことも見逃せない。
 そのひとつの「体験できる」イベントでは、地元のプロバスケットボールチームB3所属の湘南ユナイテッドBCとSPALDINGがタッグを組んで、バスケの体験コーナーを設けた。シューティングチャレンジを開いたほか、2度のクリニックでは、午前の部でバスケットパフォーマーのもりもりがボールスピンのコツを伝授。午後の部では、湘南ユナイテッドBCの佐々木拓哉(PG/173cm)が子どもたちへドリブルやシュートなどバスケの基本的な技術や、仲間を鼓舞する拍手や声を掛ける大切さも説いた。

 佐々木は、TEAM Q4湘南の鈴木と同じ湘南工科大学附属高校の出身で、先輩にあたる。高校時代から何度も訪れたテラスモール湘南で、プロ選手としてイベントに携わった思いについて「めちゃめちゃ嬉しいです。僕も小さい頃にプロ選手を見て憧れ、バスケットをはじめているので、僕もそういうきっかけになれたら嬉しいです」と声を弾ませた。

 また、バスケに欠かせない「音楽」に触れる機会もあった。試合中のDJはもちろん、試合の合間に行われたコート解放のイベントタイムでは藤沢出身で、元リップスライムのDJ SUがスペシャルゲストとして登場。ゲーム中とはまた違うDJサウンドで、会場を盛り上げた。

 そのSUに話を聞けば高校時代は、バスケ部だったとのこと。湘南ユナイテッドBCの応援団長も買って出たそうで「今50歳ですけども、これからもずっと応援したい」と、バスケに熱い。そして「地元のいたるところにリングがあっても良い。辻堂がバスケの街になれば良いなと思いますね」とも語った。

 さらにこの日は、最新のバッシュに「触れる」機会も設けられた。湘南フープフェスをサポートした、スポーツデポ フラッグシップストア テラスモール湘南店による「AIR JORDAN LUKA 3」の試し履きブースでは、新作にいち早く足を入れてみようと、多数のバスケ好きが足を止めていた。

 一般販売を7月25日(木)に控える中、7月18日(木)よりアルペン、スポーツデポ、NIKE直店店で先行販売されるLUKA 3は、ルカ・ドンチッチが好きな高性能なスポーツカーからインスピレーションを受けてデザインされた最新モデル。前作のLUKA2に比べて軽量化が図られ、アッパーも柔らかくなり、かかとのホールド感も安心感があるため、足が包まれるような履き心地になる。日本最速の試し履きができるブースだっただけに、出会えた方はラッキーだったはずだ。

 湘南の夏で、バスケットボールを「見て」「触れて」「体験できる」になった「湘南 HOOP FES 2024」。ことしの初開催をきっかけに、末永く続くイベントになることを期待したい。

湘南でバスケを「見て」「触れて」「体験できる」……地域密着の「湘南 HOOP FES 2024」が開催される

TEXT by Hiroyuki Ohashi



PHOTO by Kasim Ericson

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