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  • 2021.03.22

ASICS x ballaholicがコラボレーションした背景。TANAが語る商品開発の苦労とやりがい

誰もが知るバスケットボールブランド「ASICS」と、バスケットボールを遊ぶために生まれたストリートボールブランド「ballaholic」によるコラボレーションが昨年に続き実現した。ツールのまったく異なるブランドがタッグを組み、話題を呼んだ第1弾から約1年がたち、スケールアップして発売された第2弾はどのように生まれたのか。ballaholicブランドディレクター/デザイナーのTANAに商品開発のやりがいや苦労、2018年からスタートしたASICSとの取り組みついて話を聞いた。

SOMECITYに合わせて第2弾が発売
去る3月6日、ASICSとballaholicによるコラボレーションプロダクトがballaholic TOKYOでの先行発売を皮切りにリリースされた。とりわけ注目を浴びたシューズは今回もバスケットボールシューズとライフスタイルシューズからそれぞれスペシャルモデルが出されている。前者はballaholicのコンセプトである"ALLDAY ALLNIGHT EVERYWHERE ANYWHERE"のメッセージを込めた「GELBURST 24 LOW」であり、後者は「GEL-QUANTUM 180」を第2弾コラボレーションのカラーパレットをベースに、ballaholic Logoやボールマークの型押しなどディティールまでこだわった1足に仕上げている。またシューズに加えてゲームシャツやゲームショーツなど6アイテムを開発してラインナップを広げていることも大きく目を引く。今月6日と7日にCLUB CITTAで開催された『SOMECITY FXXXX 2020』では多数のボーラーたちが着用していることで、その印象を強く持った方もいるだろう。

TANAは当初、発売のタイミングを毎年1月に開催している大学生とストリートのオールスターゲーム『Toykyo Streetball Classic』(TSC)で考えていたという。しかし「今年はコロナ禍でTSCの開催を見合わせました」ということで「3月のこのイベント(SOMECITY FXXXX 2020)に発売を合わせようと進めて、何とか形にできました」と説明した。2度目の発売を終えて、TANAはこう振り返る。

「ASICSにサポートしていただいていることで、僕らがballaholicやSOMECITYで作っている世界観へ共感してくれる人たちにASICSを見て欲しいと思っています。またASICSしか知らない人たちに僕たちのことを知って欲しいです。毎回、コラボによってお互いのイメージを良い意味で壊すような気持ちでやっています。ただ、今回は発売までのスケジュールがタイトで、僕は周りの方から発破をかけられながらやりました(笑)本当にたくさんの方の協力があって作ることができました」

ASICSとタッグを組んだはじまり
では、ballaholicはASICSといつからタッグを組むようになったのか。さかのぼること3年前、2018年4月にballaholicもサポートするSOMECITYとASICSがブランドパートナーシップを締結したことがはじまりだった。

そして2020年1月にはコラボレーションの第1弾を発売。バスケットボールシューズはプレイグラウンドに行けばそのままバスケもできるようにとローカットの「GLIDE NOVA FF」のスペシャルモデルを作り、ライフスタイルシューズには1983年発売のバスケットボールシューズ「FABRE POINTGETTER」をデザインベースとした「GEL-PTG」をチョイスした。とりわけ「GLIDE NOVA FF」は当時高校3年生で、特別指定選手として三遠ネオフェニックスでプレーした河村勇輝(現東海大学)も着用しており、覚えている方もいるのではないだろうか。もちろん彼が着用したことは偶然の出来事だったようで「とてもラッキーだったと思います」と話しているが、プロダクトを世に出した反響は大きく、今回の第2弾につながっていった。

苦労した「GELBURST」スペシャルモデル
それでは今回のコラボレーションを商品開発とプロモーションに分けて、ひも解いていきたい。まず商品開発については苦労があったという。「GELBURST 24 LOW」と「GEL-QUANTUM 180」の2種類がある中で、TANAは特に「GELBURSTはめちゃくちゃ難しかったです」と振り返る。GELBURSTと言えばASICSのバスケットボールシューズでは名作の一つ。それにballaholicのコンセプトを落としこみ、形作るプロダクトは試行錯誤の連続だったようだ。

「僕らは(常々コラボシューズは)プレイグラウンドでも履いて欲しいので、普段でも履きやすいローカットが良いなと思っているのですが、GELBURSTはなかなかイメージ通りにデザインやシルエットを作ることが出来なかったんです。どうやってもASICSのGELBURSTのままで……ある意味でそれはとてもすごいことなんですけどね。今までと違うGELBURSTにしたくていろいろと試作のパターンを作って、製品化まで苦労しました」

一方でTANAは大変な思いをしながらも、開発をやり切ることができた理由も教えてくれた。ASICSのプロダクトのすごさを感じつつも、事前にASICS創業者・鬼塚喜八郎の関連書籍を読んだことでモチベーションが上がっていたという。

「ASICSをここまで作り上げた鬼塚さんにとても影響を受けたんですよね。だから、そのブランドと“僕らがコラボをするんだ”ということで改めて気持ちが入りました。より一層このコラボでバスケットボール界を変えてやろうと思いましたね。もちろん前回も同じ思いでやっていますが、より一層やってやろうという心構えをしっかりと持って取り組めたことが良かったです」

プロモーションで掲げた2つのテーマ
続いて、プロモーションについて話を進めたい。TANAによると「GELBURST 24 LOW」と「GEL-QUANTUM 180」には各々テーマがあるという。その一つ「GELBURST 24 LOW」で言えば「かっこよく見せたい」である。昨年1月の第1弾のときはメインビジュアルにBLACKTOPのKOSUKEを起用していたが、第2弾では「いろんなボーラーでひとつのボーラー像を出せないものか」という構想が浮かび、OTOやKK、RYOなど8人のボーラーを撮影。それをコラージュしながら思い描くメインビジュアルを作っていったと明かす。

もう一つの「GEL-QUANTUM 180」で言えば「ハッピーな感じにしたい」というイメージを持っていた。「これは色使いの派手なシューズでした。だからバスケットボールをプレーしていない人にも履いて欲しかったんです。CM撮影では(ボーラーだけではなく)アーティストの方にも入っていただきました」と、TANAは制作の背景を語ってくれた。

発売に向けてballaholicが詰め込んだ思い
さらに今回のプロモーションではこの他にもballaholicができる最大限の力を注いでいる。例えば今までストリートボールを触れたことがないユーザーにブランドの世界観を伝えるべく、InstagramのIGTVで流すスペシャルムービー『BALL-STREET-LIFE-HANDLE-』を全部で10本も作った。その内容はこれまで「Ball On Journey」でTEAM ballaholicが全国各地に繰り出してゲームを行ったときの映像や、KOSUKEやOTOら主要ボーラーのインタビュー、ドリブルに特化したムービーなど「僕らのマインドを詰め込み、表現したエピソード」になっている。TANAはこのタイミングでの制作について「ASICSのユーザーの方にも見て欲しくて、あえてここに頑張って作りました」と、部活動のバスケをメインにやってきた選手たちへストリートボールの魅力を伝えたい一心によるものだと話した。

加えてコロナ禍でストップしていたballaholic GAMEも復活させた。今回発売したウェアとシューズに身を包んだ選りすぐりのボーラーたちが5on5を披露し、世界観を表現している。特に特徴的なBlue Coastカラーの「GELBURST 24 LOW」がコート上でそろうと足元が非常に引き締まっており、「かっこよく見せたい」という思いが伝わってくる。もし部活動生が仲間たちとそろえることができれば、非常に良い光景が生まれそうだ。TANAも「ウェアの色が違っても、足元の存在感がとても良い色だなと思っています。そういう姿をイメージしながら、僕もデザインしました」とシューズに思いを込めている。

TANAがコラボレーションで感じていること
このようにballaholicはASICSとの第2弾コラボレーションで、ありったけのエネルギーを注いで開発からプロモーションまでをやり切った。その甲斐もあって3月6日のballaholic TOKYOの先行発売日や、翌日7日のオンライン販売などでも大きな反響があったという。TANAはコラボについて「自分たちが持つ普段の尺度では測れないことがあるので心配なこともあります」と本音を口にしたが、いざ発売が始まれば多くのファンへ製品が渡っていることで「やっぱりこういう時に報われますね。ちょっとホっとしています」とも話してくれた。

苦労も多いぶん、やりがいも大きいコラボレーション。相手がいてこそ成り立つことであるため、TANAは「昔から知っているASICSというブランドなので、まさかこうやって一緒にコラボをやらせてもらうなんて(光栄です)。本当に少しでも僕らと取り組むことで、何か良い影響を与えていることができていれば嬉しいですね」と少し控えめにコメントした。それでも両者によるプロダクトはファンの注目を集め、確かな支持を受けているからこそ、2度も大きな反響につながっている。ASICS x ballaholicの次なる展開にも期待したい。

ASICS x ballaholicがコラボレーションした背景。TANAが語る商品開発の苦労とやりがい

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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