バスケ界初、3人制プロ・TOKYO DIMEのリモートマッチで抱いた期待と恋しさ
バスケットボール界で初めてとなる“リモートマッチ”――『DIME 3×3 GAMES』として、3人制プロバスケチームのTOKYO DIMEとDIMEグループが、7月15日に開催した。3×3は春先から新型コロナウイルスの感染拡大によって、大会の延期や中止が相次いでいた。そんな中、彼らは選手とファンを繋ぐ待望の舞台をセット。久しぶりのバチバチな攻防と、オンラインで盛り上がるファンという光景に新鮮さを感じつつ、一方で本来の雰囲気も恋しくなった。
ガチンコ勝負をオンライン限定配信
国内3×3シーンをけん引するTOKYO DIMEと、兄弟チームのOSAKA DIME、昨季の3×3.EXE PREMIERでTOKYO DIMEとしのぎを削ったCRAYONの3チームが都内某所へ登場。注目を集める1DAYゲームはのべ5試合が組まれ、チケット(1,000円)の購入者へオンライン限定配信で披露された。
もちろん試合は無観客。とは言え、久しぶりの実践にして、スマートフォンやパソコンの画面越しには多くのファンが見守っているだけに、選手たちは最初からエンジン全開だった。ガチンコ勝負の3チーム総当たりのリーグ戦を経て、準決勝でリーグ戦2位・CRAYONが、3位・OSAKA DIMEを21-14で破ると、決勝でリーグ戦1位・TOKYO DIMEと対戦。お互い譲らない展開となったが、CRAYONが土壇場で勝ち越して、18-16で第1回大会を制覇。MVPには昨季、B3の埼玉ブロンコスでプレーしたMark St Fortが選ばれた。
久しぶりの試合をした選手たちの気持ち
最後にいつゲームがあったのだろうかと、思い出すのが難しいぐらい、コロナ禍によって3×3は選手とファンから遠ざけられたが、初のリモートマッチとして、ついに戻ってきた。TOKYO DIMEの落合知也は、「始まるまではどんな温度感になるのか、さぐり、さぐりでしたけど、始まってしまえば、相手もCRAYONだったので、バチバチと試合のようなエネルギーを出してやることができたので良かったです」とコメント。ホストチームとして敗れたことに悔しさも見せたが、「このように対人で、他のチームと対戦できて、お客様も見ているとなったら、やっぱり頑張れますね。今日は良い試合ができたと思います」と、充実感をにじませた。
また、優勝したCRAYONのSeaun Eddy も試合後、「いま、コロナの環境でこのルート(=オンライン)しかないと思っていますので、この機会をセットアップしてくれたDIMEのマネジメントに感謝していますし、見てくれてたファンにも感謝しています。このような機会でやることができて良かったです」と、振り返った。インタビュー中には、「DIMEのファンが多いと思うのですけど・・・」と口をついたが、手に汗握る攻防がくり広げられたのも彼らがいたからこそ。配信のチャット欄や #DIMEリモマ のハッシュタグによりSNSで、オーディンスが盛り上がったことを見れば、大会を通して激しくやり合うタフな戦いっぷりは、やはり誰の目にもインパクトを残してくれた。
「思い立ったらやろう」現場ができるまで
業界初を仕掛けたTOKYO DIMEとDIMEグループ。コロナ禍において、春先からオンライン上でトークライブや、個人サポーター向けのイベントなど、次々と選手とファンをつなぐ様々な接点を生みだしてきた。クラブスタッフ・八木亜樹氏によると、今大会は「具体的にやると決めたのは2週間前ぐらい」。短い準備期間にも感じられたが、「DIMEは思い立ったらやろうというスタンスなので」と、一気に準備を進めたと言う。会場には配信カメラが3台、八木氏もレフリーを兼務して、テーブルオフィシャルをそろえ、実況に共同オーナーを務める大西ライオン氏、解説には3×3のMCでお馴染みの新岡潤氏をアサインされるなど、グループのリソースを総動員して場を作り上げた。
そして本番のライブ配信はクオリティーが高く、会場に駆けつけることができなかった共同オーナーの岡田優介氏は、チャット欄から参戦。両マイクがタイムリーにコメントを拾いながら、現場とオンラインをつないでみせた。お客さんがいない空間ではあったが、「見ている方がすごいコメントをしてくれたので、それを見ながらやっていたので楽しかったです(大西氏)」、「うちらも楽しかったですね。普段は皆さまの生の声を聴きながら(MCをやる)ということは、なかなかできない(新岡氏)」と、2人が新鮮なものとしてエンジョイしたことも、配信が賑わう大きな力となったことだろう。
気になるチケットの売上は、目標に対して大きくクリアしたという。八木氏曰く「でも(イベント単体で)赤字なんですよ・・・」と本音を隠さなかったが、「オンラインでどういうふうにしたら満足いただけるのか、今までやってきた知見がありましたので、今回、皆さまにご満足を頂けたのではないかと思います」と、無事に試合を終えてホッとした様子も。次なる開催も検討しているだけに、第2回も楽しみにしたい。
リモマへの期待、でも恋しくもなった
この1日は、リモート観戦の楽しみ方をファンへ提案し、3×3で稼ぐポテンシャルがあることを感じさせた。熱量の高いスタッフやMCの存在、そして選手たちも同じ意識を持っていることが大きい。落合も次のように話すほどだ。「試合が無い状況で、こうした取り組みをして、ひとつのビジネスとしてやっていくには、かなり良いことだと感じています。3×3でお金を生むことは難しいことだと思われている中、TOKYO DIMEが先頭を走っていろいろなことを仕掛けて、お金を生むことだったり、ファンとの交流を増やそうとしています。DIMEの一員として胸を張ってやらないといけないし、責任をとても感じています」。
ただやっぱり、バスケが生み出す会場の様々な雰囲気が恋しくもなった。プレーに湧く歓声やどよめき、ラストショットを固唾を飲んで見守る緊張感だったり・・・ 「ファンの皆さんが(現場)にいて気持ちがアガル部分があるので、これが限界かもしれないです(苦笑)。画面の向こうに皆さんがいてくれることは嬉しく、今日もエネルギーを出してプレーできましたけど、ちょっと寂しかった」と、率直な心境を落合は言葉にして、こう続けた。「ファンの皆さんが早く会場へ入れるような環境になって欲しいなと、改めて思いましたね」。これは正直な気持ちであり、競技に携わる多くの選手、関係者、ファンの思いでもあるだろう。
昨今の感染状況を考えれば、かつてのような光景を望むには、慎重に且つ段階を踏んでいきたいところ。現在、リモートマッチは期間限定で、アーカイブ配信されており、いまからでもその模様を楽しむことができる。今後、このようなエキサイトできる体験が広がっていくことを期待しつつ、オンラインで味わう興奮が、再びコートサイドに戻ってくることも願わずにはいられない。そう思った『DIME 3×3 GAMES』だった。
- TEXT by Hiroyuki Ohashi
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■DIME 3×3 GAMES Round.1は7/21(火)までアーカイブ配信
詳細/申込はTOKYO DIMEの特設ページにて