「3×3 SUMMER TOURNAMENT 2025」でZETHREE ISHIKAWAが優勝。大型補強のチームで、光る藤根誠と品田大の姿あり
延長戦でUTSUNOMIYA BREX.EXEを破る
国内の有力チームが集まる「3×3 SUMMER TOURNAMENT 2025」が、8月24日に岩崎学園横浜デジタルアーツ専門学校で開催された。これまでUTSUNOMIYA BREX.EXE(2023年)やALPHAS(2024年)がチャンピオンボードを掲げてきた中、3度目の今年は12チームがしのぎを削った末に、ZETHREE ISHIKAWAが優勝を飾った。

ジョバンニ・スコット(#8/200㎝)、デビン・ギリガン(#21/196㎝)、品田大(#17/187㎝)、藤根誠(#91/185㎝)の4人で出場して、MEGURO SIXERS.EXE、LEO BLACKS SAGAを破って予選プールを突破。準決勝ではSHINAGAWACC W.EXEを22-15で撃破すると、決勝ではUTSUNOMIYA BREX.EXEと接戦を演じる。終盤には18-19とKOにリーチをかけられる展開となったが、20-20の同点に戻してオーバータイムへ。お互いに1点を獲り合う攻防の末、最後はスコットが決勝点を挙げて22-21で勝ち切った。


これでZETHREE ISHIKAWAは、8月に入って所沢で開催された「3×3.EXE PREMIER 2025 Round.7」やマレーシアで行われた「Kuala Lumpur Lite Quest」など出場4大会をすべて優勝する好調な姿を印象づけた。試合後のチャンピオンフォトに、この日メンバー外だった出羽峻一も呼び込まれ、5人が見せた表情も良い状態である証だろう。
チームのサポート役を担う藤根
もっとも、ZETHREE ISHIKAWAは今シーズン大型補強で幸先よくシーズンを滑り出したが、7月末に「3×3.EXE PREMIER 2025 Round.6 All Conference」で、よもやのベスト16敗退。3×3アメリカ代表候補のギリガンを筆頭に、3×3日本代表の出羽や3×3.EXE PREMIER 2024で新人王になったスコットなど、タレントがそろう中で難しい時期もあった。藤根は「オールカンファレンスで負けを経験して、チームの雰囲気が一旦落ちた時期もあった」と明かす。それでも「負けず嫌いの選手しかいないんで、もうやるしかないっていう気持ちで、みんな頑張ってくれてて。それに結果も伴ってきて」と振り返った。
そして彼らの強さのひとつが、藤根や品田といった選手たちもチームの役割に徹してプレーしている姿があるからだろう。これまでLEO BLACKS SAGAやLEOVISTA BBなどで活動してきた藤根は、ZETHREE ISHIKAWAでチームのサポート役を務めているようだ。彼は「1シーズンを通して自分は一応、通訳もできるぐらいの英語力はあるので、それを利用しながらやったり、あとはデビンとLEO BLACKSのときにチームメイトでした。そういう関係性もあって、みんなでやっていこうぜと言いながらやっています」と話した。


また、大学を卒業後の2021年にTOKYO LEDONIARSから始まった彼の3×3キャリアは、もう5シーズン目。複数のチームを渡り歩いてきた経験も、いまの役割の糧になっているようだ。
「チームビルディングや、個人的な悩みとかいろいろある選手もいるのですが、そういう話を聞きながら、本当にコート外でも自分的に頑張って(チームを)サポートしてるつもりです。年上もいますけど、我が子のような感じで見ている選手もいます(笑)。スコットは一番若いですけど、ポテンシャルは計り知れないです。余裕が僕にあるわけではないですけど、ZETHREE ISHIKAWAはチームメートだけではなく、スタッフもめちゃくちゃ大事です。みんなで上を目指して頑張りたいと思います」

苦手なディフェンスが、品田の新たな役割
また、ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMSやLEOVISTA BBなどでプレーしてZETHREE ISHIKAWAにやってきた品田も新たな役割を担う。彼はこれまでボールを持って得点を獲る姿が目立っていたが、その役目はギリガンやスコットのもの。品田は「自分が(出羽や藤根と)交代でロスターに入る中でチームにできるだけ変化を与えることが役目だと思うし、武器である2ポイントで貢献したい」と話す。

ただ、この日は思うようにシュートを決めきれずに終わって「力不足と感じた」と振り返る。それでも、しっかりと打ち切ってファウルをもらう場面もあった。チームにしてみれば、打たないことでリズムが悪くなったり、ギリガンやスコットといったリバウンドに強い選手もいるだけに、入らないなりにもシュートを打ち続けるのも彼の役目だろう。
「自分が打たないと、そもそも何で俺がここにいるんだという話にもなってくるので、僕は外れようが(打ちますし)、デビンにも打ち続けろと言われています。自分が打てるタイミングで打つことは決めてました。ただ、タフに狙っちゃうとどうしてもチームの雰囲気や士気が下がるので、正しい選択をしながら打てるところを打っていた感じですね」

さらに、シュート以外に品田が「結構力入れて頑張ってます」というのが、これまで苦手としていたディフェンスだという。デビンとスコットという強力なオフェンスデュオがいるものの、チームとして振り返ると「オフェンスから試合に入ると良くないし、あまり勝ち切れない雰囲気がある」と彼は説く。チームの共通認識としては“まずディフェンスから”であり、チーム随一の好守を発揮する出羽も、所沢で勝ち切った試合後に勝因として「ディフェンス」を挙げている。ZETHREE ISHIKAWAが高みを目指す上で、精度を上げないといけないところだ。今季は品田が球際で体を張るプレーが目立つ中、さらなる頑張りができるか。今後も見どころになりそうだ。

世界に通用するチームへ…「やり続けられるか」
そんな、日本の新たな主役候補になりつつあるZETHREE ISHIKAWAは、今大会後も、結果を残している。3×3.EXE PREMIER 2025では9月27日、28日に大阪で開催されたPLAYOFFSで日本勢最高位の3位に食い込み、10月1日、2日に行われた「FIBA 3×3 Kaohsiung City Challenger 2025」で初優勝。MiamiやLimanといった強豪チームを破って、日本勢として今シーズン2チーム目のChallenger制覇を成し遂げた。
クラブ設立以来、一貫して掲げてきた「石川から世界へ」という目標。それを少しずつ叶えて世界で結果を残す先に、より良いチームに仕上がることは間違いない。Summer Tournamentで語った藤根の言葉を思い出しても、彼らの大きな飛躍はもっと先にありそうだ。

「世界に通用するチームを作っていくと、みんなで目標を立てています。1年、2年、どれぐらいかかるか分からないのですが、課題を克服しながら、やり続けるしかないと思います。本当に結果を残していくチームは、やり続けられるか、やり続けられないか。それだけだと思います。まずはこのチームでどこまでいけるか。どれだけ自分たちを追い込んでトレーニングとかいろいろ頑張ってできるか。どういう結果で最初のシーズンを終えられるのか。大事なことなので、継続して頑張っていきます」
- 「3x3 SUMMER TOURNAMENT 2025」でZETHREE ISHIKAWAが優勝。大型補強のチームで、光る藤根誠と品田大の姿あり
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TEXT by Hiroyuki Ohashi

