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  • 2025.05.20

富永啓生がシューティングクリニックを開催。オリンピックを思い出すエリアで、高校生たちのきっかけ作り

「フォームがめっちゃ良い」
「肘が(内側に)入り過ぎているかな」
「フォロースルーを残すと、もっと良くなるよ」

 3ポイントシュートを武器に活躍する富永啓生(NBA Gリーグ・インディアナ・マッドアンツ)が、12名の高校生たちに向き合う姿が東京・有明にあった――。

富永が思い出の有明へ。高校生たちにアドバイス

 5月18日、livedoor URBAN SPORTS PARK 3×3バスケットボールコートで「富永啓生 シューティングクリニック」が開催された。会場は、東京オリンピック2020のレガシーを活用したアーバンスポーツの施設。彼は4年前、近隣に仮設・整備された青海アーバンスポーツパークで3×3日本代表として奮闘した過去を持つ。「このエリアに来ると、東京オリンピックを思い出すというのはもちろんあります。ここと似たような会場でやっていたので、すごく懐かしい気持ち」と、彼は振り返った。

 この日、カリーブランドの契約選手でもある富永は「CURRY12 “SAKURA”」を着用してコートにやってきた。母校の桜丘高校をモチーフにしたプレイヤーズエディションシューズである。クリニックでは、まず高校生たちから寄せられたシューティング課題に対して、彼がアドバイスを送るセッションからスタート。自らの経験や各選手の様子、会話をしながら、若き選手たちの悩みに答えた。

 例えば、ある男子選手が「ボールの回転を真っ直ぐにするためにはどうすればいいのか」という質問に対して、富永はボールに対してスナップを真っ直ぐかけるという答えとともに、選手のシュートフォームもチェック。「肘が(内側に)入り過ぎているかな」という気付きを与えて、肘を少し開くように提案し、実際に男子選手がシュートを成功する場面もあった。

 また、ある女子選手からの質問に対して、富永は会話でその状況を掘り下げてアドバイスを送った姿も印象的だった。

(選手)ディフェンスがついてきたときに、そのときの判断が難しいです。どうやったらいいでしょうか。
(富永)オンボール?オフボール?
(選手)オフボールです。
(富永)どんなシチュエーションなの?
(選手)ディナイされて、ボールミートにしようと思ってもなかなかできないときです。
(富永)僕は、ディナイされたときは、逆に嬉しいと思っています。バックドアに行きやすくなるから。ディナイされて、自分があっちに行きたい、こっちに行きたいとやったらディフェンスの思うつぼだと思う。バックドアを意識してほしいし、それこそ練習からフットワークも意識してほしい。一歩目の速さで相手を抜き去ることができて、味方のパスが通ればノーマークでレイアップに行ける。バックドアをすることでディフェンスもディナイをしたくなくなるし、その結果スペースが空いて、パスをもらえたり、シュートが打てるようになるよ。

今後へエール…「プロの舞台とかで戦えたら」

 12名が6人ずつに分かれたシューティングセッションでは、富永から「自分が打ちやすいシュートを打とう」という言葉が要所で発せられる中、各選手たちがシュートを打つ姿を彼がしっかりと見て、個々にアドバイスも寄せた。ボールに対する利き手の位置やリングに対する左右の足の置き方、フォロースルーの残し方など、その内容は選手によってさまざま。シュートを打つとき下半身の使い方について悩む選手に対しては「肘と膝をシュートを打つタイミングで連動させて、ボールに力を伝えられるかが大事」と説いた。

 加えて、富永の高校生たちに対する声の掛け方も、例えば「フォームめっちゃ良いから」とポジティブな点を伝えてから、改善を促す「フォロースルーを残すともっと良くなる」という順番も印象的だった。彼から褒められる経験なんて、そうそうできないはずだ。富永はその接し方について囲み取材で明かしてくれた。

「短時間のクリニックなので(シュートの)基本的なところを直すのは難しいと思いますから、何か一つきっかけをつかんでもらえたら良いなと思っていました。その中で本当に良いところは褒めながら続けてもらいたいですし、ちょっと直したらシュートが良くなりそうな部分を伝えました」

 また、取材陣からシュートの極意について質問が及ぶと、言葉を選びながら彼らしい答えが聞かれた。

「シュートは教えるのがちょっと難しい分野にはなると思いますが、結局はシュートに対して一番大事なのは自信を持つことかなと思います。本当に自信を持っていないと、入るシュートもやっぱり入らなくなると思います。その中で本当に入るんだっていう気持ちで、打つことが自分も心掛けていることではあります。自信が一番だと思います」

 参加者定員が12名という少人数のクリニックだったからこそ、高校生たちにとっては富永と間近に接して、彼の存在、その言葉から得られるものは大きかっただろう。富永はクリニックの結びに「高校生の時期は、本当に大事な時期だと思っています。本当に1日、1日を大切に努力をして、頑張ってほしいです」とエールを送るとともに、またの再会も望んだ。

「また、皆さんとプロの舞台とかで戦えたらすごく自分も嬉しく思います」

 富永啓生との出会いが、未来に大きくつながることを期待したい。

【関連情報】
アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームは、5月18日に富永啓生のプレーヤーエディションシューズである『CURRY12 “SAKURA”』を世界限定30足で抽選販売すると発表。応募期間は、2025年5月19日(月)18:00から5月28日(水)23:59まで。アンダーアーマーの公式アプリにて受け付けている。

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富永啓生がシューティングクリニックを開催。オリンピックを思い出すエリアで、高校生たちのきっかけ作り

TEXT by Hiroyuki Ohashi
PHOTO by Nobuhiro Fukami

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