• COLUMN
  • 2021.02.05

B.LEAGUE全36チームのユニフォームサプライヤーたち

5シーズン目を迎えたBリーグもレギュラーシーズンは後半戦に突入した。誰もがコートで躍動する選手たちに注目するが、一歩下がって彼らを見てみると、当たり前の話ではあるが皆、ユニフォームをまとっている。バスケットボールにとって言わば「顔」であり、それを見れば、サプライヤーのトレンドをうかがい知ることができる。今回、B1とB2の全36チームのユニフォームサプライヤーをリサーチし、その様子を探ってみた。

まずB1の20チームに対しては、14社のサプライヤーがユニフォームを供給している。そのうち複数のチームと契約をしている企業は3社。最多は宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ、大阪エヴェッサ、琉球ゴールデンキングスといった東西の有力な4チームをサポートとしているUNDER ARMOUR(アンダーアーマー/ドーム)である。同社の特筆すべきところは、アパレルやフットウェアなどの取り扱いだけではなく、ドームアスリートハウスというトレーニング施設を通じたアスリートのパフォーマンス支援や、競技を通じた文化や街づくりなどにも積極的にアプローチしていることだ。バスケ界で言えば、2014年に発表された琉球との10年間に及ぶ包括的なパートナーシップ締結は、当時大きな話題を呼んでいる。

続いて、契約チームの多いサプライヤーがEGOZARU(エゴザル/三祈)とChampion(チャンピオン/ヘインズブランズジャパン)である。前者は2015 年生まれの新興ブランドで、今シーズンより新たにレバンガ北海道と島根スサノオマジックと契約。三遠ネオフェニックスと合わせ、B1で3チームへサプライをしている。後者はBリーグのサポーティングカンパニーも務める歴史と伝統のあるバスケ界屈指のブランドだ。Bリーグ初年度の2016-2017シーズンにサンロッカーズ渋谷へサプライし、今シーズンよりB1で戦う広島ドラゴンフライズもサポートしている。SR渋谷の田渡修人と、広島の田渡凌はいずれもChampionの契約選手であり、ブランドとチーム、選手の関係が深い印象である。

そして残る11社のサプライヤーも多様な面々が並ぶ。今シーズンからタッグを組んだケースは2つあり、ひとつはFILA(フィラ)と秋田ノーザンハピネッツである。イタリア発祥の同ブランドは過去にNBAの元スター選手、グラント・ヒルのシグニチャーモデルを展開したことで知られ、現在では韓国に本社を置く。同国の世界的な7人組ボーイズグループ・BTSをグローバルアンバサダーに起用して若い世代からも支持を集める。国内ではマスターライセンシーを伊藤忠商事、サブライセンシーをダイワボウアドバンスが務めており、両社が秋田と手を組んだことで、Bリーグ初進出が実現した。

もうひとつはTIGORA(ティゴラ)と名古屋ダイヤモンドドルフィンズのケースだ。同ブランドは「スポーツデポ」や「ゴルフ5」などを全国展開するスポーツ量販店大手・アルペンの自社ブランドで、両者ともに愛知県名古屋生まれ。地元の雄が結びつき、新たなユニフォームが披露されている。

一方で、Bリーグ初年度から連綿と続く関係もある。例えば、過去2度のリーグチャンピオン・アルバルク東京とadidas(アディダス/アディダスジャパン)だ。3rdユニフォームを毎シーズン企画していることで知られ、今シーズンはA東京のトップスポンサーであるトヨタ自動車ともコラボし、Bリーグ史上初めて3rdユニフォームの背中に背負う車名が選手ごとに変わるユニークなデザインを3月のホームゲームで披露する予定である。

加えて、SPALDING(スポルディング/スポルティングジャパン)と横浜ビー・コルセアーズ、TIP OFF(ティップオフ/フープスターサカイ)と新潟アルビレックスBBも5シーズンに渡って不動の組み合わせであることに言及しておきたい。ASICS(アシックス)と川崎ブレイブサンダース、CONVERSE(コンバース/コンバースジャンパン、ゼットクリエイト)とシーホース三河、IN THE PAINT(インザペイント/ヤング商事)と滋賀レイクスターズに至っては、さらに歴史がさかのぼるほどである。

またBリーグ以前にはトップカテゴリーで目にしなかったサプライヤーたちもいる。2019-2020シーズンより富山グラウジーズをサポートするFanatics(ファナティクス/ファナティクスジャパン)や、2017-2018シーズンより京都ハンナリーズを支えるhummel(ヒュンメル/エスエスケイ)、信州ブレイブウォリアーズのB2時代にサプライヤーとなったBFIVE(ビーファイブ/フラスコ100cc)である。

次にB2の状況を見ていこう。サプライヤー12社が16チームに対してユニフォームを供給しており、2チームと契約している企業が4社ある。それぞれチェックしていくと、UNDER ARMOURは熊本ヴォルターズと2016年4月に発生した熊本地震をきっかけに2016-2017シーズンより契約し、東北大震災から10年が経過する節目の今シーズンより福島ファイヤーボンズのサプライヤーにもなった。B1の契約先を含めれば、6チームを支える最大の企業である。

hummelは2018-19シーズンより群馬クレインサンダーズと契約し、今シーズンより西宮ストークスもサポート。B1の京都を含めれば3チームと取り組んでいる。デンマーク発祥の北欧ブランドは従来、ハンドボールやフットボールのイメージが強い印象であったが、こういった様子からはバスケにも注力をしていく方針がうかがえる。加えてEGOZARUが越谷アルファーズとライジングゼファー福岡、BFIVEが愛媛オレンジバイキングスと佐賀バルナーズのサプライヤーとして名を連ねており、B1の供給先を合わせれば、彼らも多数の契約チームを有していることになる。

では最後に残る8社の面々を紹介していきたい。とりわけ6社が長期的な関係を築いていることが特徴的だ。ファイティングイーグルス名古屋と契約するIN THE PAINTや、バンビシャス奈良のチーム創設以来サプライヤーを担うSQUADRA(スクアドア/アクラム)、アースフレンズ東京Zを支えるMUNTER(ムンター/ボルトン)は、Bリーグ以前のbjリーグやNBDL時代より継続的な取り組みを見せている。またVAYoreLA(バイオレーラ/アイズ・カンパニー)と茨城ロボッツ、MIZUNO(ミズノ)と青森ワッツも5シーズン連続の間柄である。

またFanaticsは2018-2019シーズンより仙台89ERSと契約。グローバルで300以上のチーム、リーグとパートナーシップを締結し、オフィシャルスポーツライセンスグッズを展開する外資系企業が、国内バスケカテゴリーに参入した第一歩だった。SPALDINGは香川ファイブアローズと、サッカーでお馴染みのPENALTY(ペナルティ/ウインスポーツ)は山形ワイヴァンズと、今シーズンより新たな契約を結んでいる。

以上が2020-21シーズンの全サプライヤーである。総じて見ればUNDER ARMOURが現在のBリーグにおいては主役と呼べるポジションを築いている。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの、リーグ全体の事業規模は初年度から成長を遂げ、八村塁や渡邊雄太がNBAで活躍している追い風もあって、日本でバスケの注目度はアップ。その影響もあってか、FILAやhummel、EGOZARUら新鋭も台頭してきた。Championやadidasという大手ブランド、IN THE PAINTや VAYoreLA 、SQUADRAといった国内勢とともに、バスケシーンを盛り上げている状況と言えるだろう。

ユニフォームはバスケットボールを表現するうえで重要な構成要素であり、機能性やデザインを含めて各社が最も注力するところだ。またその動向を見ていると、ただ単にサプライヤーがチームへ製品供給をするだけではなく、両社がタッグを組み、バスケを通してファンや地域を楽しませたり、コミュニケーションを取ろうとしていることも感じとれる。具体的なトピックスを掘り下げることは今後に引き継ぐとして、熱戦が繰り広げられるゲームに加えて、Bリーグのチームを支えるサプライヤー各社にも目を向けることで、バスケをいつもと違った視点で楽しむことができるに違いない。

B.LEAGUE全36チームのユニフォームサプライヤーたち

TEXT by Hiroyuki Ohashi

RELATED COLUMN

MOST POPULAR