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  • 2025.05.28

SHINAGAWA CITYが「3×3 Super Circuit 2025 FINAL」で優勝…鈴木颯がMVPに輝く

 2025年5月5日、THE MEAT YOKOHAMA 特設会場で「3×3 Super Circuit 2025 FINAL supported by ZOZO」が開催された。今大会には昨秋より全国各地で行われた予選ラウンドとワイルドカードを勝ち抜いた計8チームが集結。山下ふ頭という海辺にセットされた会場とあってか、強風が吹き荒れるタフな環境であったが、SHINAGAWA CITYが1発勝負のトーナメントを制して優勝を飾った。

 大会初戦となる準々決勝で、ワイルドカードを制してFINALに滑り込んだTSUKUBA ALBORADAを22-3で一蹴すると、準決勝ではSHINAGAWACC WILDCATSを16-8で撃破。決勝ではUTSUNOMIYA BREX.EXEと対戦し終盤までもつれたが、15-13で競り勝ってプライズボードを獲得した。

今季注目のSHINAGAWA CITY
 そんなSHINAGAWA CITYは、B3リーグに参戦するしながわシティを母体とする3×3チームで、今シーズンより立ち上がった、いま最も注目すべきチームである。ことし3月で活動を終了したALPHAS 3×3 BASKETBALLの選手・スタッフの多くが移り、落合知也がチームの代表兼選手を務める。初陣となった、3×3クラブ世界No.1を決める「FIBA 3×3 ワールドツアー」の予選大会「FIBA 3×3 Baoding Challenger 2025」(中国 / 4月開催)で日本勢として初優勝。ヤン・デムサーがMVPに選ばれたほか、今春の「FIBA 3×3 アジアカップ 2025」で男子日本代表として大会ベスト3と得点王に選ばれた小澤崚、過去UTSUNOMIYA BREX.EXEで活躍したセルビア生まれのドゥサン・サマルジッチの活躍も光った。

 ただ、3×3 Super Circuit 2025 FINALでは落合、小澤、デムサー、サマルジッチ抜きでチャンピオンの座を勝ち取り、選手層の厚さを見せつけたのだ。Baoding Challengerの優勝メンバーである鈴木颯(183㎝)をはじめ、FIBA 3×3 アジアカップ 2025の代表候補選手だった斉藤諒馬(193㎝)や岩屋頼(183㎝ / 早稲田大学4年生)のほか、レイナルド・ディクソン(206㎝)も今大会に向けてチームに合流。悪天候の中、ディクソンの高さを活かしつつ、要所で岩屋が2ポイントシュートやドライブを決め、鈴木もフィジカルを活かして攻防両面で活躍するなどお互いが強みを活かし、ディフェンスも固かった。


「ウイニングショット」が大好物の男
 MVPに選ばれた鈴木は試合を振り返って「今回メンバーがいつもと違いましたが、本当に強いチームは誰が出ても結果を出し続ける組織力、チームで日々積み上げてきたものが出ると思っています。チームメイトが作ってくれた環境が、良い環境だと示せた場になりました」とコメント。また土壇場で彼自身がドライブを仕掛けてファウルを誘い、2本のフリースローで試合を決めた光景が、Baoding Challengerで優勝を決めたフリースローを沈める姿と重なったのも、印象深い。本人も、そんな場面が大の得意らしい。

「(試合を決める)美味しいところが大好きなんです(笑)。中国でのChallengerもそうでしたけど、美味しいシュートだけは僕、得意なんですよ。ぜひこれからも、ウイニングショット間近で僕が試合に出ていたら(試合を決めに)行くかなとちょっとだけ思っておいてください」

 鈴木は“3×3日本代表入り”を誓って、昨秋ALPHAS 3×3 BASKETBALL入り。レベルの高い環境で成長著しく、Challengerのほか3×3.EXE SUPER PREMIERといった国際大会でも結果を残して、最新の日本ランキングで4位まで浮上(5/12時点)。“だれゴリ”の愛称で、小澤とともに次世代の3×3シーンを担う一人になってきた。彼らが同世代に与える影響も大きく、UTSUNOMIYA BREX.EXEのクーリバリ ソロモンは「FIBA 3×3 ワールドツアー 宇都宮オープナー2025」(4/26開催)を終えたときに「だれゴリさん、小澤さんの活躍を見て、自分も頑張らなきゃって思います。同じ世代の選手たちにも負けないように頑張っていきたい」 と話していたほどだ。

 ただ、鈴木自身はChallengerで優勝をしようが、ランキングを上げようが浮かれるそぶりは見せていない。今大会前には、国内で世界の壁をまざまざと感じたという。宇都宮オープナーのため来日して、次戦のワールドツアーに向かうまでの数日間、日本に滞在していたAmsterdam(アムステルダム)との練習試合でのことだった。彼らは昨年のワールドツアーFINALで優勝し、パリ五輪の金メダリストを擁する超強豪チーム。日本では感じられないようなディフェンス、フィジカルコンタクトを体感して、より一層のスキルアップをしなければいけないと感じたそうだ。

 加えて、Amsterdamのボールを奪い取る力に舌を巻いた。鈴木は「日本ではされたことないスティールもされました。え、それ取られんの?みたいな場面が結構あったんです」と苦笑いする。それでも「そんな経験を含めて戦うステージを世界トップレベルに照準を合わせないといけないと再認識しました」と高みを見据えている。

 まだまだシーズンも始まったばかり。チーム内の競争に勝ち、だれゴリが中国、横浜に続いてどこでウイニングショットを決めるのか。その姿を今シーズンの楽しみにしていきたい。

SHINAGAWA CITYが「3×3 Super Circuit 2025 FINAL」で優勝…鈴木颯がMVPに輝く

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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