COLUMN
2025.03.16

アルペンがナイキと共に、ジュニア世代へシューズ選びを提案…元キングスの金城氏を招いてクリニックも開催中

バッシュのプロが、シューズ選びの重要性を説く
　アルペンが、バスケットボールのエントリー層に向けたシューズの展開に力を入れている。NIKEのジュニア向けモデル「G.T. ハッスルアカデミー」（以下ハッスル）、「G.T. カットアカデミー」（以下カット）、「G.T. ジャンプアカデミー」（以下ジャンプ）の3タイプを新たに発売。バスケットボールに取り組む子どもたちの成長を後押しする。

　取り組みの背景について、同社でバスケットボールシューズに最も詳しいバスケットチーフアドバイザーの矢野康介氏は、昔に比べてミニバスのレベルも上がっている現状を踏まえて「自分の望むプレースタイルに合ったシューズを選ぶことが重要だと思います」と説く。また大人だけでなく、子どもたちにも自分の特徴にあったシューズを選んでもらい、より一層バスケットボールが上手くなってほしいという思いもあるそうだ。

　矢野氏によると3タイプの中で最もベーシックなモデルが「ハッスル」だという。スピードを求めるプレーヤーに向けて、軽量でアッパーにニット素材が採用されているため、足へのフィット感を感じられる一足に仕上がっている。

　そこから派生する「カット」は、シューズ前足部に搭載されたズームエアが、反発力を生む構造に。蹴り出し時に体を押し出してくれる感覚を得られるため、より鋭いドライブを目指す選手にピッタリなモデルになっているそうだ。

　「ジャンプ」については、インサイドプレーヤーにお勧めの一足とのこと。かかとが柔らかいクッションと、硬いプラスチックパーツの2層構造になっているため、着地のときの衝撃吸収性を高め、足のブレを軽減する働きがある。

「1分前の自分より上手くなれるように」
　そして、アルペンはNIKE協力のもとG.T.シリーズを体験する機会も兼ねて、クリニックを開催している。昨秋リニューアルオープンした「スポーツデポフラッグシップストア天久店」は、今年1月から琉球ゴールデンキングスの永久欠番選手である金城茂之氏を講師に招いたクリニックをスタートした。

　金城氏は言わずと知れた、キングスのレジェンドの一人である。チーム設立初年度となる2007年から12シーズンにわたってクラブに在籍し、bjリーグ時代の優勝やBリーグでの奮闘に貢献。キャリア終盤は仙台89ERSで2シーズンを過ごし、2020-21シーズンで現役を引退。仙台でアシスタントコーチを務めたのち、沖縄に戻って「Try Error Retry」というスクールを運営している。

　全6回のクリニックのうち、1月25日に天久小学校で初回のクリニックが開催された。昨今、ドリブルなどスキル系のクリニックをよく目にする中、この日はボール運びにおけるピボットや体の使い方、オフボールの動きなどに重点が置かれたメニューが数多く組まれ、小学生たちにバスケットボールのいろはが伝授された。

　そして、子どもたちへのエールも金城氏から送られた。今は様々なバスケットボールの情報にあふれた時代。上手くなるために「聞く力をつけてほしい。聞いて自分で判断して、良いと思ったら続けて、合わないと思ったら止めればいい」と説いた。さらに「失敗は恥ずかしいことじゃない。人と比べるのではなく、1分前の自分より上手くなれるように頑張ろう。諦めずにやっていけば成功につながるから頑張ってほしい」と語った。

金城氏がスクールを立ち上げたワケ
　そんな金城氏は初回を終えて、クリニックの練習メニューやスクール活動についても振り返ってくれた。自身の取り組みを「地味」や「時代と逆行しているかも」と苦笑いしたが、そうするのにも理由があったのだ。

　同氏は現役時代から引退後に後進の育成を志していた中で、仙台時代に藤田弘輝ヘッドコーチの下でアシスタントコーチをしていた経験が転機となった。

　日本だけでなく、世界のバスケットボールにも触れて学びを深めつつも、国内ではオフボールの動きも十分ではないプロ選手がいる状況を目の当たりにした。沖縄に帰って、小学生から高校生まであらゆるカテゴリーの試合に足を運ぶ中でも同様の課題感を感じてきたそうだ。そのため「ボールがないとプレーできないという選手を減らしたい」という思いから、小学校・中学生を対象にしたスクールの立ち上げに至った。

　子どもたちの反応も、予想以上だった。同氏は「難しい顔で（体の動き方を訓練する練習を）やっている子に、楽しい？と聞くと『めっちゃ楽しい』と言ってくれます」と、スクールの様子を明かす。誰もやっていないジャンルのスクールだけあって「人気はあまりないと思っています」と笑うが、子どもたちがひたむきにやっている姿を目にして、沖縄のバスケットボール界へ、より貢献していきたいと気持ちを新たにしている。

「沖縄出身だし好きな島だし、自分ができる範囲は狭いかもしれませんが、そのぶん深くやっていきたいです」

子どもたちを応援する取り組みは続く
　またクリニックではG.T.シリーズの試し履きが実施されたほか、元サッカー日本代表の本田圭佑氏がプロデュースした「MAJIDE」の試飲会も行われた。たんぱく質やカルシウム、11種類のビタミンなど成長に必要な栄養素が配合された厚生労働省の基準を満たした栄養機能食品だという。