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  • 2024.12.31

ウインターカップ2024が閉幕…高まるバスケへの注目を印象づけた今だからこそ

 高校バスケ最高峰の戦いとして、12月23日から7日間の日程で開催された「SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が閉幕した。男女各60校が集結し、女子は京都精華学園高校が3連覇を飾り、男子は福岡大学附属大濠高校が3大会ぶり4度目の王者に。大会期間中の合計有料入場者数が史上最多の61,653人を記録し、高まるバスケットボールへの注目を改めて印象づけた大会になったと言えるだろう。

3冠達成の京都精華学園…ルーキーも活躍
 女子は12月28日に決勝が行われ、京都精華学園高校が熊本の慶誠高校を59-54で下して3年連続3回目の優勝を勝ち取るとともに、インターハイとU18日清食品トップリーグ2024に続く3冠を達成。それも2年連続となるメモリアルな戴冠となった。

 ただ、同校の山本綱義コーチは記者会見で「今年のチームは本当に何度も言っているんですが、苦しい、しんどいと言いますか、そういうスタートでした。この1年は休憩の年だなんてあちこちで言ってたんです」と明かす。それでも立派な成績を収めた選手たちの姿に喜んだ。

「この子たちの意地、また先輩たちが残してくれた伝統を守ろうという努力をしていました。インターハイも、トップリーグも連覇、そしてウインターカップも連覇。こんなに嬉しくて、幸せなことはないと思っております」

 また、主将の#4 林咲良(3年/165cm)は3冠に至るまでについて「日本一と言わずに、まずは一戦一戦どこで負けるか分からないので、目の前の試合に集中しようと全員で声を掛けながらやってきました」とコメント。#5 橋本芽依(3年/168cm)は苦しいことやつらい、シンドイことを「3年生だけではなく、1年生や2年生の力も借りつつ全員でバスケットをして最後に3冠という結果になりました」と笑顔をみせた。

 その力になった下級生の一人、#13 満生小珀(1年生/166cm)は自身初のウインターカップ制覇について「3年生と一緒に優勝ができて、めっちゃ嬉しいです」と話す。加えて京都精華での経験のほか、今夏パリで開催されたジョーダン ブランドによるユース世代の1on1世界一決定戦「THE ONE」の女子カテゴリーで世界2位となった2024年について「すごい貴重な経験をさせてもらった1年でした」と振り返った。

 強豪の伝統を受け継ぐ一人として「チームとして来年も再来年もこの舞台に戻って来れるようにしたい」と誓った満生。2025年、京都精華でのさらなる活躍も期待したい。

大濠が「トロージャンズの戦い方」で頂点へ
 一方で、男子は12月29日の決勝で福岡大学附属大濠高校が鳥取城北高校を77-57で圧倒し、3大会ぶり4回目の日本一に輝いた。昨冬の決勝で福岡第一に敗れてから1年――その悔しさを知る選手たちが中心となって雪辱を晴らし、頂点に返り咲いた。チームキャプテンの#7 見竹怜(187cm)は言う。

「昨年、決勝戦の舞台で負けてしまって本当に悔しい思いをしてきて、この大会のためだけにやってきたと言っても過言ではないくらいです。1年間頑張る気持ちを持って、今日の決勝戦はウインターカップでやってきた4試合より、一層強い気持ちで取り組めたので、勝利につながったと思います」

 また、ゲームキャプテンを務めた#13 湧川裕斗(3年/181㎝)も「去年、決勝で負けた思いをキャプテンとしてどうコートの中で表現していくかを昨日考えていました。きょうはチームメイトへの声掛けができて、自分の得意とする3ポイントやピックからのプレーをコートの中で表現できました。これが大会を通じて成長できたことだと思います」と総括。見竹とともにリーダーシップを発揮し、ゲームハイの32得点を叩き出した。

 そして片峯聡太コーチは記者会見へ登壇した見竹、湧川、#8 渡邉伶音(3年/206cm)、#14 髙田将吾(3年/190cm)、#4 勝又絆(2年/188cm)、#10 榎木璃旺(2年/170cm)といった中心選手の名前を挙げながら、チーム全員でつかんだ優勝を強調した。

「宿舎での生活も含めて落ち着いて、試合に向けてチームが勝つために自分のやるべきことを明確にし、ここにいる6名が中心となってゲームを展開することができました。また、アシスタントコーチの山本(草大)や岡(秀彦)らの協力がありながら、控え選手たちもプレータイムが少ない中、短い時間で何をするのを明確にして、本当にチーム一丸となって目の前の試合に向き合い、戦い抜くことができました。これが我々トロージャンズの戦い方ですし、うちのチームの強さだったと思ってます」

注目が高まる今だからこそ……
 そんな両校の優勝で幕を閉じたウインターカップ2024。選手たちの勇姿を見ようと、大会期間中の合計有料入場者数が史上最多の“61,653人”を数えた結果も印象的だった。もともと高校バスケは人気のあるカテゴリーだったとは言え、男女の日本代表がオリンピックなど国際舞台で活躍し、NBAで八村塁や河村勇輝が奮闘するなど、バスケ界の頂点が引きあがった分だけ、そのすそ野も広がり、注目が増しているように感じる。

 片峯コーチも「たくさんの方に声をかけていただくようになっていますし、選手たちは本当にいろんなところで注目していただいているので感謝しています」と話し、こう続けた。その言葉には、日本のバスケットボールシーンを支える高校バスケがより魅力的になるヒントが詰まっている。

「だからこそ、選手やチームの強さだけではなく、人間性だったり、チームのあり方だったりをいろんな人から見られる時代になってきています。我々もチャンピオンチームには今回なりましたが、だから“どういう人間なんだ”、だから“どういう組織なんだ”という正しいあり方、人間性を今後も示していき、バスケットボールが価値あるスポーツになるように我々は大濠高校として努めていきたいと思っております」

【最終結果】
■女子
優 勝:京都精華学園(京都)|3年連続3回目
準優勝:慶誠(熊本)|県勢史上最高位
第3位:精華女子(福岡)、大阪薫英女学院(大阪)

■男子
優 勝:福岡大学附属大濠(福岡)|3年ぶり4回目
準優勝:鳥取城北(鳥取)|県勢史上最高位
第3位:東山(京都)、福岡第一(福岡)

【大会ベスト5】
■女子 ※
#4 林 咲良(京都精華学園3年)
#6 桃井 優(京都精華学園3年)
#18 ユサフ ボランレ アイシャット(京都精華学園3年)
#0 ロー ジョバ(慶誠3年)
#12 岸 希(慶誠3年)
※すべて初受賞

■男子
#8 渡邉 伶音(福岡大学附属大濠3年)2大会連続2回目
#13 湧川 裕斗(福岡大学附属大濠3年)初受賞
#14 髙田 将吾(福岡大学附属大濠3年)初受賞
#8 新谷 勇晴(鳥取城北3年)初受賞
#28 ハロルド アズカ(鳥取城北2年)初受賞

【詳細】大会公式サイト(リンクは外部サイト)

ウインターカップ2024が閉幕…高まるバスケへの注目を印象づけた今だからこそ

TEXT by Hiroyuki Ohashi



PHOTO by Kasim Ericson

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