3×3日本代表が「FIBA 3×3 Asia Cup 2023」初戦に挑む
3月29日より始まった3×3のアジアNo.1を決める「FIBA 3×3 Asia Cup 2023」。優勝チームには2024年に開催されるパリオリンピック予選の出場権が与えられる重要な一戦だ。
予備予選を免除された3×3男女日本代表は、本日3月31日の予選ラウンドが大会初戦となる。3チームの総当たり戦によって上位2位以内に入り、まずは4月2日の決勝トーナメント進出を目指す。
男子代表の対戦相手は、過去3度の優勝を誇るオーストラリアと、予備予選を全勝で勝ち上がったニュージーランドである。はっきり言って、史上最も過酷な組み合わせに振り分けられた。オーストラリアは、同国の1部リーグNBLや、2部リーグにあたるNBL1所属の選手でチームを編成し、平均身長は2メートル越え。うち2名が昨年の優勝メンバーだ。アースフレンズ東京Zでプレーした216cmのダニエル・ジョンソンもその一人である。ニュージーランドも、ラグビー選手のような動けて幅のある屈強な選手がそろう。男子代表が昨年のAsia Cup準々決勝で敗れたのも記憶に新しい。
ただ、そんな死の組を、男子代表はスピードと2ポイントシュートで突破するための布陣を組んだ。昨年の3×3 U23日本代表を務めた改田拓哉 (♯2/176cm/TSUKUBA ALBORADA)と、
小澤崚 (♯4/176cm/TSUKUBA ALBORADA/SAITAMA ALPHAS)がA代表に初めて名を連ね、国内シーンで活躍している仲西佑起 (♯24/190cm/NINJA AIRS.EXE)も、初の代表入り。この3人を、代表常連で4度目のAsia Cupを迎える落合知也(♯91/195cm/ALPHAS.EXE)が支える。
勝利のカギは、23歳の改田と、24歳の小澤の2ポイントシュートやドライブを武器に、素早い攻防で21点KO勝ちまでやり切れるか。これにかかってる。彼らの所属先であるTSUKUBA ALBORADAをイメージしてもらってもいいだろう。落合知也、仲西佑起は2ポイントシュートも打てるが、それ以上にリバウンドやスクリーン、若手2人とのコンビネーションから1点を確実に取っていくことが期待される。サイズの不利は当然あるだろうが、3×3の理解度と、スピーディーな展開に持ち込める力は、過去一番だろう。
落合によると、4人は代表活動以外にも今大会までに集合して練習を積んだとのこと。「速い展開のバスケットボールが遂行できれば絶対に勝てる」と手ごたえをつかむ。改田、小澤、仲西の3人は、初のA代表であるが、そこは自分のリーダーシップと経験の落とし込みでカバーする。「大会の初戦は硬くなると思いますが、プレッシャーに負けないように国際舞台を楽しむ意識を持ち、最後に勝ちへ繋げるチームにするのが、ベテランの仕事」と、36歳の最年長として役割を全うする。
一方、女子代表の対戦相手は、チャイニーズ・タイペイと、開催国のシンガポールである。昨年のAsia Cupでシンガポールは決勝トーナメントに進めておらず、チャイニーズ・タイペイは同大会で5位になったがメンバーを3名入れ替え、これまで表彰台に登ったことはない。侮れないが、実力的には日本が上回ると思われる。それだけに、大会初戦の緊張に惑うことなく、落ち着いてプレーできるか。シンガポールとは昨年も対戦したが、地元の大声援が圧倒的なアウェーの雰囲気を作り出していた。
そんな中、今大会の女子代表は全員が3×3で初のA代表。そのキャリアも1年未満と経験不足は否めない。だが、それを若さと成長力で吹き飛ばす姿が期待される。平均年齢は若干20歳。早稲田大学の江村優有 (♯1/162cm)を筆頭に、ENEOSサンフラワーズの三田七南 (♯17/179cm)、Wリーグのアイシン ウィングスから山口奈々花(♯20/181cm)と、近藤京 (♯24/170cm) の4人で、初優勝を目指す。
長谷川誠ヘッドコーチによると、今大会のメンバーで実施できた練習は現地入り前に4日間のみ。チームは発展途上のようだ。それでも江村、三田、山口は昨年、23歳以下の国別対抗戦「FIBA 3×3 Nations League 2022 – U21 Asia」で優勝を経験し、その大陸王者がそろうFINALに江村と山口は出場。近藤は3×3の全カテゴリーを通して初代表であるが、先の3人と年齢が近い。江村は「みんな、全然遠慮することもなく、結構わいわい楽しくやっています」と、雰囲気の良さを明かす。その甲斐もあってか「どんどん日を重ねるごとにコミュニケーションも増えて、息が合ってきました。どういうタイミングでスクリーンをかけるのか、誰がどういうプレーを得意としているのか。よく分かってきて、結構いい感じになってきている」とも、江村は話していた。
チーム戦術としては「アウトサイドシュートとそれを打つためのスピード。あとはやっぱり、ディフェンスで守り勝ち、相手の2点シュートをどれだけ抑えられるか。リバウンドがカギを握る」と長谷川HCは話す。さらに、オフェンスでは大学バスケ界屈指のスコアラーでもある江村の1対1も期待されるが、Nations LeagueのFINALで潰される場面もあっただけに、同HCは全員で攻める意識を植え付ける。「ボールをみんなでシェアできるか。1対1の能力が十分でない選手でもシュートまで持っていけるよう、ディフェンスとのズレを作りたい」と、語った。
男女代表は29日にシンガポール入りし、昨日30日は午前と午後に最終調整を実施。ケガ人も無く、全員がメニューを消化した。きょうの初戦に向けて江村は「初めてA代表でこのメンバーでやるんですけど、練習してきた通りにコミュニケーションを取りながらディフェンスからプレッシャーかけてオフェンスに繋げます。楽しんで頑張ってやっていきたい」と、気負うことなく、挑めそうな様子だった。
そして落合は「日本代表は結果が全て」と改めて語り、今回久々に3×3を主戦場に戦う4人で臨むからこそ、「より結果が求められる」と強調。「いくら3×3の理解度があって、面白い3×3ができるメンバーがそろったとしても勝たないと意味がない。本当に勝ちにこだわってやっていきたい」と語った。
パリオリンピック出場を目指す3×3男女日本代表にとって、「FIBA 3×3 Asia Cup 2023」は勝負の1年を占う試金石となる。新たなメンバーで結果を残せれば、今後へ弾みもつくはずだろう。初招集の選手たちにとっても、自信を深め、キャリアを切り開くビッグチャンスだ。Asia Cupでの最高位は、2018年の男子3位、2019年の女子3位。過去を塗り替える一歩を、きょう踏み出したい。
【大会日程】
男子
3/31 (金) 予選ラウンドPool B
① 15:50~ vs ニュージーランド
② 21:20~ vs オーストラリア
4/2 (日)
③ 準々決勝 (B1 位の場合は 13:30~ / B2 位の場合は 16:00~)
④ 準決勝 (B1 位の場合は 18:15~ / B2 位の場合は 18:40~)
⑤ 決勝 20:45~ / 3 位決定戦 19:55~
女子
3/31 (金)予選ラウンドPool B
① 15:25~ vs チャイニーズ・タイペイ
② 20:30~ vs シンガポール
4/2 (日)
③ 準々決勝 (B1 位の場合は 12:40~ / B2 位の場合は 15:10~)
④ 準決勝 (B1 位の場合は 17:25~ / B2 位の場合は 17:50~)
⑤ 決勝 20:20~ / 3 位決定戦 19:30~
詳細は大会公式サイト(英語/外部リンク)へ
【LIVE配信】
3/31 予選ラウンド Session 1
3/31 予選ラウンド Session 2
4/2 準々決勝
4/2 準決勝、決勝
【日本代表情報】
JBA3x3OFFICIAL Instagram(外部リンク)
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TEXT by Hiroyuki Ohashi