世界初開催「CURRY CON」、中国・重慶で開幕
ステフィン・カリーが築いてきたキャリアとブランドの歩みを凝縮した体験型イベント「CURRY CON」が、中国・重慶で初開催された。3日間で延べ1万5,000人を超えるファンが来場し、最新シューズ展示からゲームコンテンツ、トークセッションまで、カリーの世界観を五感で堪能できる場となった。
今回ステフィン・カリー自身も来場した「CURRY BRAND ASIA TOUR 2025」の舞台が、このCURRY CONだ。驚かされたのは、NBAのスター選手とはいえ一人の選手のコンテンツだけでこれほど会場を埋め尽くしてしまうこと。中国におけるカリーの認知度の高さと、ファンの熱量の異様なまでの高さを目の当たりにすることとなった。
アミューズメントパークのような会場設計
会場入口にはバスケットボールリングをモチーフにしたフォトブースが設置され、LEDトンネルを抜けると、そこは一面ステフィン・カリーの世界。アミューズメントパークさながらのゾーニングが広がっていた。
会場は大きく3つのエリアで構成。様々なアクティビティを楽しめる「PLAYGROUND」、中国スニーカーヘッズや熱狂的なファンが自身のコレクションを披露する「FAN BOOTH」、そしてアンダーアーマーの最新プロダクトやブランドの取り組みを体感できる「UA BRAND」。その奥にはカリーが登場するセンターコートが備えられ、導線設計も秀逸だった。
中国ファンカルチャーとの共鳴
CURRY CONを象徴していたのは、中国に根づいたカリー・カルチャーの存在感だ。会場中央には、ファンが集めた歴代シューズのアーカイブが並び、その中にはカリー直筆のサイン入りモデルも数多く展示されていた。さらに、ゴールデンステイト・ウォリアーズ中国ファンクラブ「勇士球迷会」によるブースや、カリー仕様にラッピングされた高級車も登場。ファンの熱量を可視化するような演出が随所に散りばめられていた。アスリートのブランドが単なるプロダクトを超え、カルチャーそのものへと昇華していることを実感させられた。
ファンを熱狂させる体験コンテンツ
シューズや展示だけでは終わらないのがCURRY CONの魅力だ。来場者が実際に体験できるコンテンツも豊富に用意されていた。バスケットボールを使ったゲームやフォトブースに加え、NBA2Kを大画面で楽しめる特設ブースも設置されていた。子どもから大人まで幅広い世代が笑顔で楽しむ姿が目立ち、会場全体が一体となった高揚感を生んでいた。
UAブランドが示したストーリーテリング
ブランドエリアにはCURRY BRANDの最新作だけでなく、アンダーアーマーの先端テクノロジーを用いたランニングシューズやアパレルも並び、ブランド全体の広がりを体感できた。隣接するロッカールーム風の展示には、2009年のNBAドラフトを象徴するモデルや、MVPシーズンの記念モデル、さらには2024年パリ五輪で着用した最新「CURRY 12」までが揃い、カリーのキャリアを一望できる構成に。単なる展示を超え、アスリートとしてのストーリーを立体的に描き出す演出が来場者を惹きつけていた。
トークセッションで語られた未来
イベント期間中には、アンダーアーマー関係者やゲストを迎えたトークセッションも実施された。登壇したシニア・フットウェアデザイナーのレジー・ウィルソン氏は、最新のディアロン・フォックス シグネチャーモデルを担当した人物。
「アニメやビデオゲームが好きで、見た目も速そうに見えるデザインにしてほしい」というフォックスからのリクエストを反映させた裏側や、重慶を訪れた際に街のサイバー感あふれる風景をスケッチに落とし込んだ過程を披露すると、会場のファンからは感嘆の声が上がった。
さらに「CURRY BRANDはストーリーテリングを重視している。選手の性格や思想、言動を大事にし、それに見合った選手だけを仲間に迎える」と語り、「カリーがブランドのプレジデントであり、常に彼の意見が尊重されている」と明かした。
カリーがもたらした“カルチャー”を実感
今回のCURRY CONは、シューズやパフォーマンスを超えて、ファンとのつながりやカルチャーの広がりを体感できる場だった。展示・体験・ファンコミュニティ・トークセッション、そのすべてが「カリーという存在がバスケットボールの枠を越え、文化そのものになっている」ことを物語っていた。その熱量の規模は、日本の比ではないことをまざまざと見せつけられた。
ブランドの進化とともに、アジアにおけるカリー・カルチャーのさらなる拡大が期待される。
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TEXT by Rintaro Akimoto
PHOTO by Kasim Ericson