ステフィン・カリーがアジアに託した未来──アジア初上陸「CURRY CAMP」レポート
2025年8月、アジアのバスケットボール史に新たなページが刻まれた。舞台は中国・重慶。山岳地形に囲まれた独特の都市景観と、急成長する巨大都市の熱気が交錯するこの街で、ステフィン・カリーは自身の育成プログラム「CURRY CAMP」を初めてアジアに持ち込んだ。
会場となった 重慶インターナショナルエキスポセンターには、アジア8カ国(中国、韓国、フィリピン、タイ、香港、シンガポール、日本、オーストラリア)から22歳以下のトッププレイヤー30名(男子16名/女子14名)が集結。CAMPは大きく二部構成となり、ひとつはメディアなど限られた関係者のみに公開されたワークアウトセッション、もうひとつはCURRY CONと同じ会場に特設されたセンターコートでのアクティビティだ。ステフとセスのカリー兄弟に加え、今回のツアーに同行したユーコン・ハスキーズの アジ・ファッズ も登場。彼らは自らのワークアウトを公開しつつ、選ばれたエリート選手たちに直接指導を行った。
壮大なブランディングと演出が施されたセンターコートは、連日約4500人の観客で満員。カリー兄弟が姿を現した瞬間、会場の空気は爆発し、NBAトップアスリートのワークアウトを間近に体感する特別な空気に包まれた。自らのゲームを同じフロアで展開できるという夢のような舞台が、若きプレイヤーたちに与えられたのだ。
スーパースターと“同じ空気”を吸う3日間
ステフとセスによる指導は、技術を超えてメンタリティにまで及んだ。基本的な動きを一つひとつ丁寧にコーチングしながら、チーム全体を盛り上げるリーダーシップを惜しみなく発揮。
「自分のスタイルを信じること」「シュートが外れても打ち続ける勇気」――世界最高峰のプレイヤーたちが体現する姿勢は、アジア各国から集まったトップ選手たちの胸に深く刻まれた。
そして迎えた最終日。男子のゲームは劇的なブザービーターで幕を閉じたが、このCAMP最大の衝撃は、中国U19代表のジェイコブ・ズーの躍動だった。カリーブランドの新メンバーとして迎えられた彼は、圧倒的な存在感とプレーで観客の視線をさらい、一夜にしてスターの座を掴んだ。会場全体が“新しい時代の到来”を目撃した瞬間だった。
日本からの挑戦者たちの声
村田 桂次郎(日本大学1年/SG・SF)
「NBA選手に直接指導を受けられたこと自体が嬉しかった。カリーのプレーを目の前で見られたのが一番印象的でした。
学んだのは“どんな時でもシュートを打ち続ける姿勢”。体格差のある海外選手に挑むのは大変でしたが、積極的に戦うことで自分の殻を破れました。アジアの選手たちの勝ちへの執着心はすごく刺激になりました。この経験を糧に、大学でさらに基礎を磨き、将来的にはA代表を目指します。」
湧川 裕斗(明治大学1年)
「世界トップの選手から直接学べたことが一番嬉しかった。セスとステフにサインをもらえたことも忘れられません。
印象に残ったのは、NBA選手でも基礎を大事にしていること。自分も練習で基礎を徹底しようと強く思いました。英語ができずにコート内で苦労しましたが、ジェスチャーや必死な声掛けで乗り越えられたのもいい経験です。海外選手のルーズボールへの執着には圧倒されました。この学びを持ち帰り、日本代表を目標に挑み続けます。」
清藤 優衣(白鷗大学1年)
「初めての国際的なキャンプで、毎日が楽しくて幸せな時間でした。
カリー選手が肩を組んでコートに送り出してくれた瞬間は一生忘れません。シュートの細かい意識や体の使い方を見て、自分も理解を深めていかないといけないと実感しました。
海外の選手はフィジカルがとても強く、当たり負けしてしまったのが課題。練習からもっとエナジーを出して、チームを率先して引っ張る存在になりたいです。2032年のオリンピック出場を目指して努力を続けます。」
藤松 柚乃(昭和学院3年)
「カリーやセス、アジアのコーチ陣から多くを学び、たくさん吸収できました。
観客の前でのゲームや、カリーとのシューティングゲームがとても楽しく、印象に残っています。
特に“シュートが入らなくても打ち続けるメンタル”は、点を取る役割を担う自分にとって大きな学びでした。言語が違ってもノリでつながれるし、戦った後には仲良くなれることも実感。フィジカルやスキルの高さを肌で感じ、日本にまだ足りない部分を知ることができました。高校最後のウィンターカップに向け、この経験を練習に生かしていきます。」
育成こそがカルチャーを押し上げる
今夏はCURRY CAMPだけでなく、BLACK SAMURAI CAMPなど、NBAスターがアンダー世代に直接関わる動きが続いた。こうした育成活動は国全体のバスケ人気を押し上げ、選手が関わるブランド価値をも高めていく。
adidasが長年取り組んできた「adidas NATION TOKYO」もその象徴だ。
今回のCURRY CAMPもまた、“スターの輝きを未来にバトンする場”として機能し、アジアのバスケットボールの地平を広げていくに違いない。
アジアの未来に灯された炎
カリーが重慶で見せたのは、MVPやチャンピオンの肩書きを超えた“未来を見据えたリーダー”の姿だった。
日本を含むアジア各国から選ばれた若き才能が、その手から直接学んだ経験は、必ずや次の時代のカルチャーにつながる。
「バスケは努力と創造性のスポーツ」――カリーの言葉は、この夏、重慶からアジアに新しい炎を灯した。
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TEXT by Rintaro Akimoto
PHOTO by Kasim Ericson