アンダーアーマーアスリートインタビュー|岸本隆一が挑む新チームでの挑戦
NBAのスーパースター、ステフィン・カリーを擁してバスケットボールの本場アメリカで成長を続けるアンダーアーマー社は、日本においても男子日本代表をはじめ多くのアスリートをサポートし、彼らのパフォーマンスを最大限引き出すことにフォーカスし続けている。アンダーアーマーアスリートになって4年目を迎える岸本隆一は、bjリーグの王者として挑んだBリーグ開幕シーズンで苦戦を強いられた。そんな苦しいシーズンから得た貴重な経験を糧に、新チームで優勝を狙う岸本隆一に迫る。
ー昨シーズンを振り返ってどうでしたか?
「充実していたシーズンでしたが、もう少しやれると思っていたのにチームとして結果がでなかったので、やっぱ苦しかった方が大きかった。前シーズンまではbjリーグで割と勝っているチームだったんで、勝っているうちは悪い時もちょっと調整すればよかったんですが、昨シーズンは負けている方が圧倒的に多くて、何をしていいか分からなかった。とにかく苦しい時期が長かった印象です」
ー苦しみながらもチャンピオンシップに出場したのはどう評価していますか?
「あれだけに救われたというか。あの場に出られる、出られないでは相当差があると思うし、ベスト8に入ったけどその上の4つに入るには大きな差があった。最終的にチャンピオンシップに出られたことはチームとして大きかったし、それで個人的にも救われた部分があったのは確かですね」
ー個人的なことだと代表にも選ばれましたね
「やっているからには代表に入りたい。もちろん気持ちはそうだったんですが、今までは現実味がなくて。去年はジョーンズカップとはいえ、代表に選んでもらって自分にも可能性があるなって思えたし正直嬉しかったですね。そんな遠い場所じゃないっていう感覚にもなれたんで。思い起こすと色々あったシーズンでしたね」
ー最初の言葉通り充実したシーズンになったようですね
「Bリーグになって本当によかった。リーグが一つになっていなかったら完全に井の中の蛙だったろうな。bjリーグではちょっと顔みたいな扱いをしてもらっていたので、今こうして気づけたことも、もっと先延ばしになっていただろうし、本来3、4年かけて得るものを1年でまとめた感があります。ありがたいシーズンでした」
ーBリーグを経験して自分のプレーや自身の環境に変化はありましたか?
「プレーでいうとそこまでの変化がないように見えるかもしれないですが、自分の中ではこだわらなくなった。2シーズン前くらいまでは、どうしても点数を取りたかったし、それが自分の仕事だと思っていたけど案外それだけでもないなと。僕らはサイズもそんな大きいチームじゃないので、小さいチームこそペイントエリアに入っていかないと勝負にならないと感じていたから、外からポンポン打つよりも、とにかく中に侵入するという意識が強くなった」
ーそれはチームの戦略だったのでしょうか?
「もちろんコーチの指示もあるんですけど、スカウティングだと相手にとって僕の場合は3Pシュートを当たられたら嫌だろうなと思っていて、割りと2点はいいやという守り方をされることも多かった。それを逆手に取るじゃないですけど、相手がそう守るならいってやるよという感じです。それに関しては、だいぶ練習するようになったかなと思います。前まではシュートの本数みたいなものが、よりワークアウトに近くなってきて、ペイントに入ってからのフローターや、そこからステップバックでシュートする場面をイメージしたり、バスケットが少しずつですが理解できてきた」
ー今シーズンはチームがガラリと変わりましたね
「いい意味で僕も移籍したというか、大げさじゃなくて新加入選手の気持ちになっているんです。これだけ選手がいなくなると練習の雰囲気も変わるし、環境が変われば成長しやすくなる。もちろん寂しいっすよ。関係の深いモリヒサ(山内盛久→SR渋谷へ移籍)もそうですし、シンジ(新城真司→信州へ移籍)やマック(アンソニー・マクヘンリー→信州へ移籍)とは良い時期も悪い時期も一緒に経験したので、バスケット以外のことはどうなるんだろう?って今でも不安です。ただ、強くなると思うんですよね。実際昨シーズンよりピリついた空気があるから馴れ合いもなくなるし、シビアな雰囲気の中でやれることはチームにとっても自分にとってもすごく良いことだと思います」
ー優勝を狙えるチームを作っているんだと感じました
「球団も危機感があるんだろうなって思ってましたが、本気で勝ちたい、勝てるチームになりたいっていうのがすごく伝わってきます。今まで一緒にやってきた選手を切るっていうのは僕ら以上に辛いと思うし、いろんな批判も覚悟で相当な思いでチーム作ったと感じるので、それに答えなきゃって純粋に思います。あと、選手と球団の関係がフラットになったような気がしますね。選手が色々主張できる雰囲気になりつつある。Bリーグになって随分変わってきたと思います」
ー若手に期待していることはありますか?
「僕は新加入選手のつもりなので、特に若いメンバーもそういう気持ちをもって純粋に戦って欲しいですよね。移籍組はみんな実績がある選手たちばかりで、古川選手なんかは練習の姿勢も戦う人だって聞いてるんで、琉球は自分たちで創ってきたカルチャーなんだっていう意識を若手が持って、俺らが中心なんだっていう強い気持ちでぶつかってくれたらいいと思います。これまではぶつかり合いみたいなのがなかったんです。まぁそれは勝ってきた歴史がそうさせたと思うんですが、負けた時こそ言いたいことを言い合うような戦う集団になりたいです」
ー今シーズンに向けて取り組んでいることは?
「トレーニングはマジで大事です。アンダーアーマーのジムDAH(DOME ATHLETE HOUSE http://www.domeathletehouse.com/index.html)が沖縄の北谷にもできたんですよ。アラハビーチの目の前です。なので、東京に行かずともDAHのトレーニングを選手全員受けることができます。あと、結婚したのですが嫁さんのサポートはありがたいですね。アスリートマイスターの資格とるために頑張ってくれたので、良いコンディションで練習できています」
ー新ヘッドコーチの下、優勝を狙えるチームになりそうですね
「佐々さんとはジョーンズカップで一緒だったんですが、とにかく頭が良くて結論にもっていくのがめっちゃ早いんです。だから要求も高くなるので、ヘッドコーチから求められるものにちゃんと応えられるのが最優先です。佐々さんはすごく優秀な方ですけど、ヘッドコーチ1年目なので全てがうまくいくわけじゃないと思っています。そんな時こそキャプテンの僕が率先してやらないとチームはまとまらない。まずは、昨シーズン得点以上の差があった川崎、アルバルク、三河、千葉の上位4チーム相手に2連勝できるチームになりたいです。新しいチームになってファンは優勝できるって雰囲気になっているのでその期待に応えたいです」
岸本隆一(Ryuichi Kishimoto)
1990年5月17日生まれ、沖縄県出身、176cm/75kg
屋部中学校2年時にジュニアオールスターを経験。北中城高等学校に進学し、インターハイ出場。大東文化大4年時にインカレ出場。2013年bjリーグの新人選手契約制度により琉球ゴールデンキングスに入団。2013-14シーズンは、チームの主力として活躍して新人賞を受賞。2015-16シーズンからチームキャプテンを務め、同シーズンbjリーグの日本人選手による一試合最多得点タイ記録の41点を記録。2016年、日本代表に選出されウィリアム・ジョーンズカップに出場。
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