スパイク・リーから誕生したSPIZIKE
バスケットボールとエアジョーダンを愛した映画監督
いつの時代も作品を通して現実社会の様々な問題を提起する社会派と呼ばれる映画監督が存在している。1980年代後期から1990年代において、社会派映画監督として真っ先にその名が挙げられるのは、アフリカンアメリカンのスパイク・リーで間違いないであろう。スパイク・リーはアフリカ系アメリカ人が社会で直面する人種差別や偏見を正面から取り上げる作品で知られており、Do the Right Thing(ドゥ ザ ライト シング)、Malcom X(マルコムX)、4Little Girls (4リトルガールズ)、She’s Gotta Have It(シーズ ガッタ ハヴ イット)、Bamboozled(バンブーズル)の5作品が、アメリカ議会図書館においてアメリカ国立フィルム登録簿に永久登録されている。
スパイク・リーはバスケットボールを愛していることでも有名であり、NBAニューヨーク ニックスの大ファンとしても知られている。ニックスのフランチャイズであるマジソンスクエアガーデンのコートサイドで声援を送る姿を、古くからのNBAファンなら覚えているだろう。そんな彼はエア ジョーダン3のローンチタイミングからマーケティングプロモーションのディレクションを担当。映画シーズ ガッタ ハヴイットで彼自身が演じた、バスケットボール、ニューヨークニックス、エア ジョーダンを愛するMars Blackmon(マーズ・ブラックモン)としてナイキのマーケティングビジュアルに登場。マイケルジョーダンがスパイク・リーの頭を掴んで持ち上げているTHE BEST ON EARTH THE BEST ON MARS(ザ ベスト オン アース ザ ベスト オン マーズ)のビジュアルを始めとしたマイケル ジョーダンと共演した数々のTVCM、雑誌広告、MDとして発売されたTシャツは、全米で大きな話題となったが、このことはスポーツシューズがファッションシーンにおいても大きなインパクトを与え、巨額な利益を生むアイテムへと進化した画期的な出来事として評価されている。
スパイク・リーは自身の作品のなかでもエア ジョーダンを登場させており、最も有名なシーンのひとつが、ドゥ ザ ライト シングで登場人物のバギンアウトが大切にしていたホワイトのエア ジョーダン4を、セルティックスファンに汚されて激怒するという場面。この映画のこのシーンで、アフリカンアメリカンの「スニーカーはいつもピカピカな状態をキープしていたい!」というスタンスを知ったという人も少なくないだろう。
JORDAN SPIZIKE はエアジョーダンの歴史を1足でダイジェストする
ナイキからエアジョーダンの初代モデルが発表されたのは1985年のこと。マイケル・ジョーダンの活躍とともに、毎シーズンリリースされたシューズ&アパレルコレクションは、スポーツギアの歴史において最も著名なシグネチャーコレクションへと成長していった。1997年になると同コレクションはナイキから独立し、ジョーダンブランドとなり、フットウェアのみならずアパレルやアクセサリーを独自にリリースし、バスケットボールカテゴリーにおいて確固たるポジションを築くのに成功することとなった。2006年にリリースされたJORDAN SPIZIKE(ジョーダンスパイジーク)は、 エアジョーダン3のアウトソール、4のサポートストラップ、5のアッパーデザイン、サイドパネル、シューレースストッパーと、6のシュータンなどといった歴代モデルを巧みに組み合わせることで完成したハイブリッドモデル。左足のヒール部分にはディレクションを担当した映画監督のSpike Lee(スパイク・リー)のイラストが、右足のヒール部分には、彼が設立した映画製作プロダクションである40 Acres and a Mule Filmworks(40エーカー アンド ミュール フィルムワークス)のロゴが鎮座していたのも見逃せないディテール。
1足でエアジョーダンの歴史を体現したJORDAN SPIZIKEのファーストロットは全世界で4,032足が限定リリースされ、ホワイトアッパーに40エーカー アンド ミュール フィルムワークスのロゴと同じレッド、グリーン、ブラックをアクセントカラーにしたことにより、スニーカーフリークのみならず、スパイク・リーの作品を愛する人々からも支持を集めることに成功。良好なセールスを記録した。翌2007年には、ブラック×レッド×グリーンのカラーコンビネーションもリリースされ、こちらもヒット。その後もJORDAN SPIZIKEは、2014年にホワイトアッパーのオリジナルカラーが、2017年にブラックアッパーのオリジナルカラーが復刻されるなど、スニーカーフリークのあいだで大きな話題となった。そんなJORDAN SPIZIKEは、根強い人気を誇っており、オリジナルで採用されたミッドカットデザインではなく、現在ローカットデザインをラインアップ。ローカット化に伴いシュータンデザインやシューレースストッパーの形状がミッドカットとは異なった意匠となっている。
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TEXT by Masahiro Minai
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