• FEATURE
  • 2023.02.22

屋内自転車競技場でバスケ…「3×3 SuperCircuit 2023 FINAL」で男子・ALPHAS、女子・G FLOWが初優勝

「3x3 SuperCircuit 2023 FINAL」が2月5日、千葉市にあるTIPSTAR DOME CHIBAで開催された。会場は、屋内自転車競技場という珍しいロケーション。一周250mの木製バンクがバスケコートを取り囲む様子は、これまでに無い光景であり、音楽やレーザー照明も駆使した暗転演出は、まるで3x3の国際大会のようだった。そんな舞台に、予選ラウンドとワイルドカードを勝ち抜いた男子8チーム、女子4チームが集結。地元の高校生たちによるダンスパフォーマンスが、オープニングに花を添え、一発勝負のトーナメントが幕を開けた。

終盤の勝負強さ光るG FLOWが初優勝
 まず、今シーズンより新設された女子カテゴリーのFINALを振り返りたい。準決勝の第1試合では、XD(クロスディー)がTOKYO DIMEを15-12で下した。立ち上がりこそTOKYO DIMEの小原みなみ(#81/172cm)らにミスマッチを突かれてリードを奪われたが、高橋優花(#23/166cm)、齊藤桃子(#54/167cm)のオフェンスで逆転に成功する。相手のディフェンスに苦しめられてミスは目立ったが、機動力を活かして逃げ切り、決勝へ駒を進めた。

 続く第2試合では、G FLOWがワイルドカードを勝ち上がってきたTOKYOBBを19-13で破り、準決勝を突破。チームの総合力が光った。序盤からG FLOWが李人竹(#6/180cm)を中心に攻め込めば、TOKYOBBも有明葵衣(#21/165cm)がチームをけん引する。ともに譲らず、一進一退の攻防となるが、終盤にかけてG FLOWは好プレーを連発。矢上若菜(#5/168cm)のドライブで勝ち越すと、李も加点し、防御では井齋沙耶(#8/178cm)や、八木希沙(#7/164cm)が球際で競り勝ち、勝利を引き寄せた。

 そして、奇しくも昨秋のJAPAN TOUR FINALと同じ、XDとG FLOWによる決勝は、GLOWが李を起点に先行する展開で始まった。しかし、XDも高橋、藤井美紀(#32/165cm)が2Pシュートを沈め、齊藤がドライブを決めるなど、残り4分を切った2度目のTVタイムアウトまでに4点差で食らいつく。それでも、ここからギアを上げたのはG FLOWだった。八木、李が得点を挙げると、井齊のブロックショットも炸裂して引き離し、相手の反撃も振り切って、18-16で初優勝をたぐり寄せた。

負け無しの理由…「あの一戦で学びました」
 G FLOWは今大会の優勝により、昨秋の始動以来、国内外の試合で負け無しの記録をさらに更新。勝負所を逃さない試合運びを改めて印象づけた。しかし、これが成せるのも、手痛い敗戦があったから。FINALでMVPに選ばれた李によると、最後に負けた昨年6月の一戦がチームの強さにつながっているという。3x3.EXE PREMIERの女子カテゴリー、開幕ラウンドでTOKYOBBに土壇場で逆転負け――「良くない思い出」は、彼女たちに多くの「学び」をもたらしていた。

「最後の1秒が終わるまで集中を切らさないとか、点差を見てファウルで止めるとか、そういったところは、あの一戦で学びました。他には、やっぱりメンバーのコミュニケーションですね。私はこうしたいけど、そっちはどう思うのっていう話を、練習中から常にやっています。お互い、我が強すぎて言い合いみたいになることもあったけど、そんなやり取りがあるから勝ちにつながっていると思います」

 また、G FLOWは李と、矢上が2枚看板であるが、それも八木と井齊の活躍があってこそだ。今大会も2人が流れを引き寄せた場面が、印象深い。李は八木について「本当に見えないところというか、良いところで活躍してくれます。ディフェンスで止めてくれたり、オフェンスでは2点やジャンプシュートもしっかり決めるので、尊敬してます」とコメント。井齊についても「あまり自己主張はしない」と明かしながらも、「みんなと合わせられる選手です。手足が長いのでディフェンスも良いし、リバウンドも自分が取りこぼしてしまったボールをフォローしてくれます。一緒に出ていて、安心します」と語ってくれた。

ALPHASが初優勝…3度目の正直で、BREXを破る
 一方で、男子カテゴリーは優勝チームに「FIBA 3x3 Challenger」の出場権が与えられる大一番。3x3クラブ世界No.1決定戦となるツアー大会に道が開けるとあって、各チームの意地と意地がぶつかりあった。

 決勝トーナメント初戦となる準々決勝では、まずALPHASがTOKYO LEDONIARSを22-8で破ると、第2試合ではTOKYO DIMEが伊森響一郎(#44/187cm)の逆転2Pシュートで、BEEFMAN NEXTを21-20で撃破。第3試合では、UTSUNOMIYA BREXがTEAM FUKUOKAの粘り強い攻防を21-15で振り切り、第4試合ではBEEFMANがKYOTO BBを21-16で下した。

 そして準決勝では、ALPHASが初戦の勢いそのままにTOKYO DIMEに21-8で快勝。立ち上がりから、24歳の小澤崚(#12/178cm)が5本の2Pシュートを決めるなど、10-2のランでリードを奪い、付け入る隙を与えなかった。また、UTSUNOMIYA BREXとBEEFMANによるもう一つの準決勝は、20-17でUTSUNOMIYA BREXに軍配が上がった。BREXが序盤から10-1の猛攻を仕掛けて試合を優位に進め、BEEFMANの追撃もかわして、ALPHASの待つ決勝へ駒を進めた。

 そんな両チームの対戦はタイトルの懸かる大舞台で今シーズン3度目。3x3.EXE PREMIER PLAYOFFSの準決勝、JAPAN TOUR FINALの準々決勝ではいずれもUTSUNOMIYA BREXが勝利を収めていたが、今回はALPHASが主導権を握った。小澤のアウトサイドを中心に得点を重ね、ディフェンスでは12秒バイオレーションを誘発して、8-2とリードを奪う。

 それでも前回王者がここから反撃。飯島康夫(#7/188cm)が流れを呼び込み、一気に同点へ追いつく。ただ、固いディフェンスで逆転まで持っていくほどの一体感を、今大会のBREXは欠いていた。逆に、ALPHASはその後、田中晴瑛(#17/178cm)が2Pシュートを放ち、ファウルを獲得。プレッシャーのかかる中、2本のフリースローをきっちり沈めて、リードをキープして終盤戦に入る。20歳の大学生が見せた強気なプレーで踏みとどまったALPHASは残り1分2秒で再び19-19で並ばれたが、タイムアウト明けに小澤が2Pシュートを射貫き、21-19のKO決着。ついに宿敵を撃破した。

準備期間は1週間…それでも結束できた理由
 ALPHASがチーム一丸となった戦いぶりで世界への切符をつかみ取った。小澤、田中、Teodor Atanasov(#21/205cm)、落合知也(#91/195cm)の4人で挑む公式戦は今大会が初めてであったが、1週間の準備期間で戦い方を整理。チームディフェンスに焦点を当て、オフェンスでは若手の良さがコートで発揮できるようにした。小澤が得意の長距離砲でチームを勢いづけると、田中はスピードと思い切りの良さで躍動。今大会へ出場するため“だけ”にセルビアから再合流したAtanasovはゴール下で奮闘し、落合は絶えず仲間に声を掛け、チームを鼓舞した。Bリーグのレギュラーシーズンを戦う落合は直前の1週間、5人制と3人制の練習を掛け持ちしていたため、非常にタフな日々だったそうだが、4ヶ月ぶりの3x3実践で見事にアジャストした。4人がタイムアウトや流れが切れたとき、度々ハドルを組んだ姿は、その結束力を物語る。

そんなまとまりのあるチームになった理由を、小澤は明かす。

「全員が意見を言えるような雰囲気を落合さんが、作ってくれました。僕も言うし、落合さん、テオ、田中も全員が思ったことを言えるコミュニケーションの場がすごい、この1週間は多かったですね。落合さんとテオはプロサーキットで一緒にやっていたので、すぐにアジャストできたし、田中も1週間、とても頭を使って練習していたと思います。いろいろ考えることも多かったと思いますが、パンクせずに頑張ってくれました。さすがです」

 さらに、小澤は今大会のMVPを獲得。彼の活躍なくして、優勝は無かったと言えるようなパフォーマンスだった。ただ、BREXから挙げた勝利に対して「自信になりました」と手ごたえを感じつつも、冷静な一面も見せる。3x3日本代表入りも期待したい24歳は「(決勝は)全然満足ができないプレーも多かったです。試合前半は良かったですけど、中盤はタフな2Pを打ってしまった。良いプレーを10分間続けられるように、改めて練習していかないといけない」と、更なる成長を誓った。

新シーズンはより多くの人が会場で3x3を
 昨年11月から始まった「3x3 SuperCircuit 2023」は、男子・ALPHAS、女子・G FLOWの優勝で幕を閉じた。昨シーズンは無観客開催であったが、今シーズンは予選ラウンドから有観客試合となり、FINALでは主催者の予想を大きく越える観客がTIPSTAR DOME CHIBAに詰めかけた。大人たちのバチバチの試合から、U13カテゴリーがひたむきにボールを追う試合まで繰り広げられ、会場は1日中盛況だった。

 主催者の一人であるちゃん岡こと岡田慧氏によると、FINALの開催に向けては行政のサポートもあって、千葉市内の小学校に大会告知のチラシも配布されたという。過去2年を思えば、コロナ禍で大会を開催するものの、集客ができないもどかしさばかり。ただ、それもようやく解消した。これから本格化する2023シーズンはより多くの人が会場で、3x3の醍醐味を感じられるシーズンになりそうだ。新シーズンの前哨戦に相応しい、高揚感が感じられるFINALだった。

【FINAL最終順位】
男子
 1.ALPHAS
 2.UTSUNOMIYA BREX
 3.BEEFMAN
 4.TOKYO DIME
 5.BEEFMAN NEXT
 6.KYOTO BB
 7.TEAM FUKUOKA
 8.TOKYO LEDONIARS

女子
 1.G FLOW
 2.XD
 3.TOKYOBB
 4.TOKYO DIME

【大会公式SNS】

・Instagram @3x3_super_circuit



【配信】大会の模様はココからチェック

RELATED FEATURE

MOST POPULAR