世界的アーティスト田村大が独立から7年の歩みを明かす…20日より増上寺で個展を開催へ
NBAやMLB、Bリーグからプロ野球、Jリーグなどスポーツイラストレーターとして活躍するアーティストの田村大氏が、3月20日より増上寺(東京都港区)で個展を開催する。独立してから7年目を迎え、世界的なアーティストになったこれまでの歩みと、個展に込めた思いをうかがった(聞き手=秋元凜太郎 / 取材日:3月11日)。
―― FLY magazineで最初に依頼した仕事は、八村塁選手と渡邊雄太選手のイラストだったよね。
そうですね。もともと本屋に並んでいた『FLY magazine』がかっこいいなと思っていて、初めての仕事もそのVol.5でのイラストでした。独立して法人化するまで、フリーランスのアーティストとして4カ月ほど活動していたときです。両選手の大学生のころを描いていて、それも日本のバスケの歴史だと思います。
そんな出会いから、いま7年目なんです。
―― ユニフォームやスニーカーのイラストも描いてくれたよね。この7年をどう振り返っているの?
周りから見ると(仕事が)順調に見えていたかもしれませんが、僕はまぁ……不安とかそういうものをかき分けている感覚があって、いまも変わらないです。向上心のような、もっともっと自分を更新したい気持ちがあって。いろんなものがつながったり、いろんな人につないでいただいて、今に至ります。
(イラストの依頼者に)絵を見せる時は120パーセント、自信があるんですけど、それと同じぐらい毎回ドキドキがついて回っています。そんな気持ちは、これからも変わらない気がしています。
―― 独立して自分の好きなバスケから仕事をはじめて、法人化してNBAの仕事もやっているから、てっきり順調なのかと思ってたよ。
僕の中でやりたかったのは、あらゆるアスリートをかっこよく描くこと。そのきっかけをバスケにしただけなんです。その未来に少し近づけた感じがします。日本の中で。
―― 今まで描いた人で、印象に残ってる人は誰かいるの?
シャキール・オニールとコービー・ブライアントです。自分でシャックを描いてInstagramにポストしたところ、彼の関係者からDMが届いて。確かマネージャーだった気がします。勝手に描いて怒られるんじゃないかと思ったら、喜ばれました(笑)。
ただ、シャック本人もその絵をポストした後、コービーが事故で亡くなったんです。そしたら、その関係者から「シャックとコービーの絵を描いてほしい。シャックに渡したいから」と連絡が来ました。状況が状況だったので、僕もすぐに絵を描いてデータを送ったら、シャックが笑顔になっている写真を送ってくれたんですよ。悲しい事故の後にですよ。言語の壁を超えて、アートを通して誰かが笑顔になってくれた経験をできたことは、僕が活動する上で励みになっています。
―― これから自分がどうなって、誰を描いてみたい?
これまで一流の方を描く機会をいただいているのですが、僕が目指すところは“僕が描く人が一流”というふうに周囲から見られることです。そう思うと、まだまだどうやって自分がそこに行けばいいか分からないですね。
描いてみたい方はずっと変わらないですけど、マイケル・ジョーダンです。勝手に僕が描くのではなく、本人に僕が渡せるような状況で絵を描きたいんです。
―― 3月20日から開催される自身3度目の個展はどういう経緯でやろうと思ったの?
個展は過去2回開催したのですが、やっぱり自分を更新していくには今までと違った形で個展を開きたいと思っていました。独立後にお声がけいただいた画廊の方に相談したら、お話がつながって開催地候補の中に増上寺がありました。そこが良いなと思ったんです。
その後お話を具体的に進めていくと、増上寺は室町時代から600年以上の歴史(=1393年の開山)がある中で、個人の画家として個展が初開催になることを知りました。責任重大だと思いつつも、チャレンジさせてくださいと伝えて、実現に至っています。
―― 個展は、どういうテーマなの?準備について聞かせてもらえますか。
増上寺に行って受けたインスピレーションから、エネルギーをテーマに自然物を描きたいと思って、個展を準備してきました。
例えば、御神木や護摩焚き(ごまたき)を見た方が、内側から静かな闘志が湧いてくるような絵です。それはアスリートだけでなく、経営者やビジネスマンなどのいろんな方が何かをやる前にこの絵を見て心を高められるような絵にしています。
あと、増上寺は勝利を祈願するお寺なんですよね。勝利にちなんだ動物や、松と鯉を合わせ描いたものを松鯉(しょうり)と読むのですが、その文字も描いています。
――すべて描き下ろし?
27作品すべて描き下ろしです。通常の制作活動と並行して個展の準備をしたので大変でした。準備に9ヶ月もかかったんですよ。(個展の絵に)買い手が現れるか分からないので、自分との戦いって感じです。いろんな方が来てくれると良いな。
―― きっと個展にはたくさんの方が足を運ぶと思う。最後にファンへメッセージをもらっていいかな。
日本だと夢は一つじゃなきゃいけないようなイメージがあるのですが、そうでは無いと思います。小さくても大きくても、夢をいっぱい持てば良いと思っていて。
それこそ僕はジョーダンに会いたいのですが、それもいろんな夢の一つですし、絵を通じて見たことが無い景色を見てみたい。アメリカのすごいところで個展をやりたいのも夢の一つです。
なので、大きな夢だけではなく、身近なものでもいいから、一個ずつ小さな夢を叶えていく。夢はたくさん持っていて良いんじゃないかと思っています。
【個展情報】
「Special Art Exhibition Dai Tamura x Zojoji」
会期:2025年3月20日(木・祝)~23日(日)
時間:9:00-17:00
会場:大本山 増上寺 宝物展示室前ラウンジ
住所:〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-35
JR線浜松町駅から徒歩10分/都営地下鉄三田線 御成門駅・芝公園から徒歩3分ほか
SNS:Instagram @dai.tamura(リンクは外部サイト)
個展情報はSNSで随時発信の予定。田村氏も全日在廊の予定とのことです
田村大
1983年東京都生まれ。2016年に似顔絵の世界大会・ISCAカリカチュア世界大会で総合優勝。アスリートを描いた作品がSNSで注目を集め、現在のInstagramのフォロワーは15万人以上を数える。海外での高い知名度を誇るほか、B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便 2024-25(月間MVP)」の選考委員と受賞選手のイラストを手掛けるなど幅広く活躍中。
https://www.instagram.com/dai.tamura
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Interview / Rintaro Akimoto
Text / Hiroyuki Ohashi
Photo / Kasim Ericson