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  • 2022.03.25

UTSUNOMIYA BREXが『3×3 Super Circuit 2022 FINAL』で優勝……「Mastersで感じる試合の強度だった」

世界大会の切符をかけた大一番『3x3 Super Circuit 2022 FINAL』を制したのは、UTSUNOMIYA BREXだった。ただ8強による一発勝負のトーナメントはどれも白熱した試合の連続で、齊藤洋介(#11)は決勝を「ChallengerやMastersで感じる試合の強度だった」と表現した。2021年度の国内4冠チームが生まれた1日を振り返る。

UTSUNOMIYA BREXが4冠達成
 3月13日(日)に『3x3 Super Circuit 2022 FINAL』が東京・新木場にあるF1 STUDIOで開催され、UTSUNOMIYA BREXが優勝を飾った。2月の3x3日本選手権を初制覇し、昨年9月の3x3.EXE PREMIER PLAYOFFS、昨年11月の3x3 JAPAN TOUR FINALに続く国内主要大会「3冠」を成し遂げたのも束の間、今大会で2021年度の「4冠」を達成。MVPには日本選手権と同じく、飯島康夫(#7)が選出され、チームは2022シーズンの3x3クラブ世界No.1を決めるツアー大会『FIBA 3x3 World Tour Masters』につながる『FIBA 3x3 Challenger』の出場権も獲得した。

 ただ、FINALは昨年12月から国内7都市で行われた予選ラウンドを突破した7チームと、前日の12日(土)に行われたワイルドカードを勝ち上がった1チームの計8チームによる一発勝負のトーナメント。UTSUNOMIYA BREXのチャンピオンが決まるまでの全7試合は熱戦の連続だった。

実力者たちにSHINAGAWA CCらが奮闘
 FINALの準々決勝は結果から言えば、アップセットは無し。それでも実力者たちを相手に地方勢や若手らが奮闘し、好プレーを連発。まず、TOKYO DIMEとYUWA MONSTERSによる第1試合はTOKYO DIMEが21-14でKO勝利を収めたが、福岡のYUWA MONSTERSも見せ場を作った。稲盛綱城(#24)や喜瀬文利(#21)が思い切りよく2ポイントを打ち込むなど、残り5分すぎまで13-13と互角の展開に持ち込み、オープニングゲームから見る者をゲームへ引き込んだ。

 続く第2試合も、UTSUNOMIYA BREXに所属するDušan Popovićとの双子(弟)であるセルビア生まれのLazar Popović(#1)ら新戦力を迎えてワイルドカードを勝ち上がったBEEFMANに、SHINAGAWA CCが食い下がった。最終スコアは21-16でBEEFMANに軍配が上がったものの、佐藤智也(#9)の連続得点で先手を取り、中盤に逆転を許すも竹田寛人(#48)が味方との連係から得点を重ねるなど、最後まで運動量を武器にチームで戦うスタイルを貫いた。

 さらに、関西の名物チームであるNINJA AIRSも第3試合でSolviento Kamakuraに21-17で逃げ切られたが、残り2分を切って2点差まで肉薄。高さとフィジカルに押されてファウルを重ねてしまったが、柏尾耕資(#3)を中心に2月の3x3日本選手権準Vチームと粘り強く戦った。

 第4試合のUTSUNOMIYA BREXとBEEFMAN NEXTの一戦こそ、21-8でUTSUNOMIYA BREXのワンサイドゲームになったが、平均年齢22歳のNEXTたちにとっては大きな経験になったはず。改田拓哉(#2)や益子拓己(#42)ら若手4人が、敗戦を糧に今後、成長する姿を期待したい。

決勝は「Mastersで感じる試合の強度」
 第5試合、第6試合となった準決勝は、試合の激しさが一段と上がった。まずTOKYO DIMEとBEEFMANによる一戦は、BEEFMANが21-13で逆転勝ちを収めた。立ち上がりこそTOKYO DIMEの伊森響一郎(#98)や西畝優(#99)に2ポイントを決められてリードされたが、BEEFMANはディフェンスで流れを呼び込む。攻めては湊谷安玲久司朱(#5)の2ポイントで試合をひっくり返し、戸堀春輝(#12)もリバウンドや得点に絡んで残り4分以上を残してKO勝ちを飾った。

 もう一つの準決勝は、2月の日本選手権決勝で対戦したUTSUNOMIYA BREXとSolviento Kamakuraが再び顔を合わせ、UTSUNOMIYA BREXが21-14で制した。序盤はリベンジに燃えるSolviento Kamakuraの菊池亨(#35)や清水隆亮(#24)らが、積極的に仕掛けて残り6分52秒のTVタイムアウトまで5-5と互角の展開に持ち込む。しかし、UTSUNOMIYA BREXはファウルがかさむ中、飯島の2ポイントで6-8と逆転し、成瀬新司(#55)やDušan Popović(#5)らの得点で徐々に引き離して決勝進出を決めた。

 そしてPopović兄弟によるバチバチのプレーから始まった優勝決定戦。弟・Lazarが仕掛けたドライブを、兄・Dusanがブロックショットで叩き落す一撃がのっけから飛び出した。さらに両チームともディフェンスのプレッシャーが強く、齊藤洋介(#11)が試合後に「ChallengerやMastersで感じる試合の強度だった」というほど、準決勝からより一層インテンシティーの上がった攻防が繰り広げられた。
 UTSUNOMIYA BREXのファウルが増える中、残り3分を切って先にリードしたのはBEEFMAN。前日のワイルドカードを終えて湊谷が「先週(Round.7 TOKUSHIMAの決勝で)BREXに負けています。(ただ)こちらのメンバーは代わっているので、決勝でリベンジしたい」と言った通りLazarと戸堀、さらに約2年ぶりに競技復帰したホール百音アレックス(#99)が躍動するなど、13-11と前へ出る。

 それでもUTSUNOMIYA BREXはここからが強かった。飯島がすぐさまドライブからファウルを誘って得た2本のフリースローと、相手のテクニカルファウルで得たもう1本を全て沈めて、残り2分21秒でリードを奪い返すことに成功。その後はDušanと齊藤がコンビネーションプレーから得点するなどギアを上げ、ディフェンスの集中力も緩むことなく、20-16でBEEFMANの反撃を振り切った。

優勝して思う……充実感や危機感
 UTSUNOMIYA BREXとって4冠目は、日本選手権の圧勝劇から一転、苦しんだ末の勝利となった。激戦を終えて、飯島は試合をひっくり返す3連続フリースローを決めた状況を次のように振り返った。

「BREXの調子が良くなかったので、どうしたら僕たちの雰囲気に持っていけるのか。それを考えていました。(だから)相手も少しずつファウルがたまっている状況を見て(ドライブを仕掛けて)ファウルを誘い、しっかりと(フリースローを)沈めていければBREXの雰囲気に持っていける。そう考えてフリースローを沈められたので、良かったと思います」

 また序盤にファウルを重ねて苦戦した試合は、昨秋の3x3 JAPAN TOUR FINALの決勝・TOKYO DIME戦のデジャブを見ているようだった。ただ、BEEFMAN戦は残り4分までにファウルは6つを数えたが、それ以降、彼らはたった1つに留めて踏みとどまった。齊藤は決勝の戦いぶりをこう語った。

「Solviento Kamakuraとの準決勝もそうでしたが、ファウルを最初に重ねることはチームとして抑えたかった。でも、ディフェンスの強度を僕たちは落としたくない。これをやることは難しいと思うのですが、やっていきたいんです。もちろん、勝つことが全てです。今日の勝った内容を振り返れば、ファウルは序盤多かったですが、それを終盤にかけて削ることができて、最後に力強く行くことができた。これは自分たちの強さだと思います」

 一方で、Lazar加入でパワーアップしたBEEFMANと強度の高い攻防を経験できたことによって、齊藤には様々な感情がよぎったようだ。その一つは「やっぱり、うかうかしていられない」という危機感である。プレーを一つとっても、Dušanのダイブから得点を重ねるパターンは彼らの十八番だったが、この日はパスが通らない場面が目立った。齊藤も「上手く対応された」と明かし、こう続けた。

「ChallengerやMastersで戦う感覚でしたね。スイッチが速くて、ディフェンスで前に出てくる(BEEFMANの)Lazarは外国籍選手なので手の使い方などが日本人の距離では無いんですよね。そういう相手は、とてもボールが出しづらかったです」

 他には危機感とともに、こうも言及した。言葉に充実感を含みながら。

「久しぶりに世界の強度を国内で味わうことができたので、嬉しかったです。正直、今年ChallengerやMastersに行って、また世界のレベルに面を食らってしまうと思っていたんです……(苦笑)。でも、今日FINALでそれを体感することができたので、本当に良かったと思います」

楽しみな新シーズンはもう間もなく
 UTSUNOMIYA BREXの優勝で幕を閉じた今大会。国内上位8チームによるトーナメントは非常に白熱し、FINALは今後の3x3シーンに対する期待値を上げたと言っていいだろう。国内4冠の最強チームが、来る新シーズンに世界を見据えてどう進化していくのか。その姿が楽しみであるとともに、王者の背中を追うライバルたちがどれだけ台頭して来るのか。これもまた興味が尽きない。今大会、その対抗馬としてBEEFMANが可能性を感じさせ、Solviento Kamakuraも日本選手権の大敗から戦い方をアップデート。TOKYO DIMEも20代の選手を迎えて、新たなチームに変貌できるか、注目したいところだ。もちろん、今大会でお目にかかれていないチームや選手たちがいることも忘れてはならないだろう。

 『3x3 Super Circuit 2022 FINAL』の閉幕は、もう間もなくスタートする2022シーズンの幕開けを告げる。今後の3x3シーンは、昨年以上に見どころが増えるに違いない。

UTSUNOMIYA BREXが『3x3 Super Circuit 2022 FINAL』で優勝……「Mastersで感じる試合の強度だった」

TEXT by Hiroyuki Ohashi


https://handoff-all.jp/2021/11/25/3x3sc22/

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