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  • 2022.02.07

『3×3 Super Circuit 2022』へ出場した大学生に聞いた……3×3をやるきっかけは?

B.LEAGUEは特別指定選手制度によって、大学生や高校生がプロの舞台へ挑戦する機会を作った。次世代のバスケットボール界を担う候補選手たちが、次々と出てくる様子は、見る者をワクワクさせ、競技シーンを活性化させる。では、3x3は若い世代の選択肢や目指す舞台になっているのか。『3x3 Super Circuit 2022』へ出場した大学生たちに話を聞いた。

3x3をする学生が少ないのではないか
 高校年代の3x3は昨冬の『3x3 U18日本選手権大会』で8度目の開催を迎え、競技レベルも選手が持つ個々のレベルも年を追うごとに右肩上がり。だが、それ以降の19歳から22歳のいわゆる“学生年代”になるとトライする選手は多くないように見受けられる。もちろん、いないわけではない。ここ2年で言うと例えば、寺澤大夢(専修大学4年生/仙台89ERS特別指定選手)や関屋心(白鷗大学3年生)がSHINAGAWA CCでプレーした。コロナ禍の影響で3x3をやろうとして断念した選手もいただろう。

 それでもだ。3x3の大会は、18歳以上であれば保護者の同意不要でエントリーができるなど門戸を開いているものの、学生カテゴリーのトップ層――ここでは関東大学1部リーグで活躍する選手たちが、3x3を選択するケースは少ない。

 だからこそ、昨年12月から開催中の『3x3 Super Circuit 2022』(以下SC)に、そのカテゴリーで活躍している選手たちが参戦している姿を見ると、どうしても目が向いてしまう。どんなきっかけで、彼らは3x3をプレーするに至ったのか。3人に話を聞いた。

Bリーグを目指す4年生たちが3x3に挑戦
 一人目は、神奈川大学4年生の東野恒紀。身長182cmで5人制ではガードを務めている。SCにはTOKYO DIMEの一員としてRound.1へ出場し、鋭いドライブを武器に、チームの一位突破へ貢献した。しかもこの日が3x3デビュー戦だった。

 東野が3x3をやりはじめたきっかけは、東京オリンピックの3x3日本代表である“落合知也”である。大学3年時にB.LEAGUE 2020-2021シーズンを戦う越谷アルファーズで特別指定選手として活動。その時に彼は落合と出会い、「(もともと)すごい3x3をやってみたかった」という自分の思いをTOKYO DIMEで実現し、結果も出してみせた。
「落合さんへ自分から“TOKYO DIMEの練習に行かせてください”と相談して、まず練習に参加させていただきました。その後、オーナーの岡田(優介)さんともお会いして『是非(試合も)良いよ』とおっしゃっていただき、今日(Round.1)出場することができました」

 続いて二人目は、白鷗大学4年生のブラ・グロリダである。身長195cmのビックマンで、副将として昨冬のインカレ初制覇を支えた一人だ。高さに加えて足もよく動くだけにディフェンスにも優れ、リーダーシップをとる姿も頼もしかった。まだSHINAGAWA CCでの活動は数えるほどだったが、SCのRound.4で一位になったチームの原動力となった。

 ブラの場合、チーム入りのきっかけは大学の後輩だ。「関屋(心)が誘ってくれました。SHINAGAWAの練習に行って、みんな良い人ばかりでした。ここでやったほうが良いと思って、いま一緒に活動しています」と、彼は明かす。

 もっともブラの目標は、B.LEAGUEでプロ契約を勝ち取ること。だが、大学バスケを引退して、プレーする場を欲していたことが、彼の視線を3x3へ向けさせたようだ。

「自分はいまB.LEAGUEを目指しています。いろいろなチームから声がかかって、練習に行くこともありますが、まだ契約は決まっていなくて。だから、バスケットボールができる機会が十分ではなくて、もっとやったほうがいいんじゃないかと思って、いまSHINAGAWAでやっています」

 ブラだけでなく、東野も取材した当時(2021年12月)は、B.LEAGUE挑戦中であった。のちに東野はB3リーグのベルテックス静岡へ特別指定選手として加入した。ただ、2人とも進路を5人制のプロ活動に向けているが、今後の3x3にも意欲を示してくれた。

 東野から「B.LEAGUEと、3x3の両方ができたら良いなと思っています」とコメントがあれば、ブラも「3x3は体力や1対1(を鍛える意味)で自分のメリットになります。B.LEAGUEで契約をつかみたいですが、3x3もやってみたい。どちらもやっていったほうが良いんじゃないかと思います」と話した。

課題克服と、先輩の影響を受けた3年生
 三人目は、専修大学3年生の遠藤涼真である。身長は191cm。インサイドのみならずアウトサイドからドライブや3ポイントも仕掛けられる選手であるが、課題の「ディフェンス」を強化するために3x3へ飛び込むことを決めた。「3x3はディフェンスが大切だし(コートに3人しかいないので個々が)やるしかない」と思う中で、HIU ZEROCKETSのメンバー募集をSNSで知り、ゼネラルマネージャーのJIROへDMを送った。トライアウトを経て、昨年2月にZEROCKETSへ加入したのだ。

 もちろん3x3の活動は専修大学バスケ部に了承を得てのこと。「自分がやると伝えたときは(バスケ部のコーチにも)賛成していただきました。大学のチーム練習でも1度ですが、3x3をやったことがあって、基本的に3x3へ参加することは認めていただいているので、ありがたいです」と遠藤は話す。

 さらに、西野曜(サンロッカーズ渋谷)やキング開(横浜ビー・コルセアーズ)、寺澤大夢といった3x3をプレーした先輩たちの姿は、遠藤の3x3挑戦にも影響を与えたという。とりわけ彼の場合は「寺澤大夢」の存在が大きかった。

「寺澤さんは3x3をやりはじめてから(プレーの幅が広がって)上手くなっていると感じました。3x3をやる前の寺澤さんは、ピック&ロールを使っているイメージがあまり無かったのですが、3x3をやりはじめてからとても使うようになって、パスも上手くなって、すごいなと。そういう姿もあって、僕は3x3をはじめようと思いました」

潜在的な選手をどう引き上げるか
 たった3人の声で学生たちの3x3に対する見方を推し量ることはできない。それでも、彼らの選択肢に、3x3は入ってきているのではないか。3人制の競技経験を持つ身近な先輩や後輩の存在は、3x3をやったことない同世代が一歩を踏み出す決め手になっている。経験者の周りには、潜在的に3x3へ興味を持つ選手たちが生まれている。

 そう考えると、必要なことは3x3の現場に携わる者たちが、若い世代をどう引き上げるか。あるいは巻き込むか。これに懸かっているのではないだろうか。「3x3に興味がある」「もっとバスケをやりたい」「バスケが上手くなりたい」……こういう気持ちのある選手が、周囲を見回したときに3x3へ簡単にアクセスできる環境作りが、大切である。

 SCで言えば、奇しくも大会は12月から3月に組まれている。この時期は、日ごろ5人制に打ち込む学生たちにとってオフであり、4年生にとっては大学バスケを引退して間もない時期だ。3x3をする時間が生まれやすく、ハードルも低くなる。

 また、そういった選手たちと出会うためには、3x3チームが1年を通して地道に活動していかなければならないだろう。TOKYO DIMEやSHINAGAWA CCは所属した選手たちがフックになり、3x3ではオフシーズンとも言える冬場に試合へ出たことで、若い世代の出場につながった。ZEROCKETSもSNSでトライアウトの発信をやった結果、遠藤との出会いに結びついたほどだ。3x3チームは、冬場の大会を大学生が3x3に取り組むインターンシップの場として活用していくアイディアを持ってもいいだろう。もちろん、どこまで3x3に力を入れるのかは、大学生たちが決めることだ。それでも今回の3人然り、3x3の経験が浅くても、5人制で世代のトップカテゴリーを経験した選手たちが、競技シーンに与える刺激は大きい。3x3が大学生の力を伸ばすことにもつながるだろう。彼らとともに活動をするのであれば、3x3チームが動くべきは今である。

 2022年は、3x3の次世代を担うかもしれない新鋭たちが一人でも多くやってくる競技シーンを期待したい。そのためにも現場ができることは、まだまだあるはずだ。

<今後の大会スケジュール(予定)>
Round.5 2022年2月11日(金・祝)茨城
Round.6 2022年2月19日(土)京都
Round.7 2022年3月6日(日)徳島
ワイルドカード 2022年3月12日(土)東京
FINAL 2022年3月13日 (日) 東京
https://handoff-all.jp/2021/11/25/3x3sc22/

『3x3 Super Circuit 2022』へ出場した大学生に聞いた……3x3をやるきっかけは?

TEXT by Hiroyuki Ohashi

https://handoff-all.jp/2021/11/25/3x3sc22/

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