アルペン「HEIR SERIES 2」ウィメンズクリニックが再び──三田松聖高校で起きた“言葉”と“判断”のアップデート
アルペンで展開される「HEIR SERIES 2」の最新カラーを試せるウィメンズクリニックが、再び実施された。
今回の舞台は、兵庫県の女子強豪校・三田松聖高等学校。コートに集まった選手たちの空気は、いわゆる“試し履きイベント”のそれとは少し違っていた。
体育館に響いていたのは、スキルの正解を教え込む声ではなく、選手自身が考え、選び、修正していくための「言葉」と「判断」のやり取りだった。
その中心にいたのは、三田松聖を率いる初谷洋志コーチ、そしてクリニックコーチとして現場に入った岡田麻央さん。さらにアルペンの矢野氏が、HEIR SERIES 2の設計思想を“プレーの言葉”に翻訳していく。



「自分を知らないと、分析はできない」──初谷洋志がつくる“言葉のカルチャー”
初谷コーチが指導の根幹として語ったのは、技術や戦術の前にある“土台”だった。
「まず自分を知る、チームを知る。分からんと分析なんかできないんですよね。自分の“思考の癖”に気づかないと、どれだけアドバイスをもらっても、その癖が邪魔をする時がある」
初谷コーチが言う「思考の癖」とは、行動の前に頭に浮かぶ“言葉”のことだという。
「『めんどくさい』『しんどい』『だるい』が出てきたら、アクションは絶対出ない。でも『そうか』『なるほど』『すごい』って言葉が浮かぶと、次のアクションが動き出す。その“言葉が変わること”がめちゃくちゃ大事です」
そしてもう一つ、初谷コーチが繰り返したのが「人間力」と「競技力」の両輪だ。
「知識は“金棒”。人間力は“鬼”。鬼が小さいと金棒は振り回せない。だから鬼も大きくせなあかんし、金棒も大きくせなあかん」
三田松聖が積み重ねてきたものを、初谷コーチは「伝統」ではなく「文化(カルチャー)」と呼ぶ。
「カルチャーって何から生まれるか言うたら、絶対“言葉”なんです。言葉のボキャブラリーが増えると、理解できる、表現できる、行動につながる。迷いがなくなる」
今年のチームテーマは、
「迷ったらやる、ずれたら直す」。
言い換えれば、“選び続ける”ための言葉だ。
「『やれ』より『何を選ぶ?』の方がめっちゃ楽なんです。選ぶってことは、やることがある。あとはやるかやらんかを選ぶだけ」

「抜く」よりも「ずらす」──岡田麻央が伝えた“1対1の理屈”
このテーマを知ることなく、岡田麻央さんがこの日のクリニックで掲げたテーマも、「ずらす」だった。
1対1を“抜き切る”ことだけにフォーカスしない。わずかなズレを作り、次の判断を生むための土台を揃える。
「抜き切るというより“ずらす”にフォーカスしました。大事なのは、ずらした後にどう判断するか。そこを繰り返すことだと思うので」
岡田さんがこだわったのは、“なんとなく”をなくすこと。
「ずらし方もそうなんですけど、なんでこれがずれるのか。理論的なポイントを伝えて、ずれた後にディフェンスがどうなるから次のプレーが生まれる、そこまでイメージしてほしいと伝えました」
そして三田松聖の選手たちについて、岡田さんは「受け身にならない」点を強く評価した。
「クリニックって受け身になる子が多いんですけど、ここは違いました。ポイントを伝えれば自分の中に落とし込んで、自発的にやってみようとする。1〜2回言えば修正していく姿勢がすごかった」
その背景に、初谷コーチがつくる日々の土台があると感じたという。
「日々の練習でどういう取り組み方をしてるかで、同じことを教えても成長度合いが全然違う。今日はその“土台”ができているチームだと感じました」

HEIR SERIES 2は“ウィメンズの感覚”にフォーカスした一足
アルペンの矢野氏が語ったHEIR SERIES 2の核は、シリーズ共通のドロップインミッドソール構造にある。通常の「アウトソール/ミッドソール/インソール」の3層ではなく、ミッドソールとインソールが一体化した構造によって、足裏とコートの距離が近くなる。
「3層から2層にすることで、コートに伝わる力が早くなる。だから接地感が高く、コートを感じやすい」
さらにHEIR SERIES 2では、足型が完全にウィメンズラストへ移行。前足部にはズームエアが内蔵され、外側には安定性を高めるケージが前足部まで伸びる。
加えて、かかとにはヘアゴムを巻き付けられるタブ。海外の女性プレーヤーの習慣を取り込んだディテールだ。

生徒アンケート(12名)から見えた“リアル”
クリニック後のアンケート(回答12名)から、いま履いているシューズはアシックスが回答内で最も多く、次点はナイキ。
この“いつも履いている足元”が基準にある中で、選手たちの視点を考察してみる。
バッシュ選びで重視する機能は、12名中9名が安定性(フィット感)を求めているのが分かり、HEIR SERIES 2で良かった機能に、9名が軽量性を挙げた。
「安定」と「フィット」が最優先。“軽さ”への反応が突出していた。女子高校生のリアルな声だと言える。



クリニックが残したもの
この日、示し合わすことなく起きた大きな価値は、初谷コーチがつくる「言葉のカルチャー」と、岡田麻央さんが提示した「ずらす→判断」という理屈が結びつき、選手たちが自分のプレーを“選び直す”時間になっていたことだ。
初谷コーチが言った一言が象徴的だった。
「コートって嘘がつけないんです」
日々の積み重ねが、試合で必ず露わになる。
だからこそ、思考の癖を知り、言葉を変え、判断力を磨く。
その土台の上に、足元の感覚を高めるHEIR SERIES 2が重なった。
「履く」ためではなく、「考え続ける」ための環境を整える。
今回のウィメンズクリニックは、そのことを強く感じさせる時間だった。



- アルペン限定「HEIR SERIES 2」ウィメンズクリニックが再び──三田松聖高校で起きた“言葉”と“判断”のアップデート
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TEXT by Rintaro Akimoto
PHOTO by Kentaro Kondo























