SNEAKER SOUL vol.1 -千葉県船橋市M邸-
ただのマニアとは一線を画し、ある意味スニーカーと人生を歩む。そんなただならぬ方々のコレクションに会いにいく本企画。第1回はスニーカーへの思いを見事に収めた夫婦宅を訪問。
床から天井まで隙間なくぎっしりと組み上げられた木製ラックに整然と収納されたスニーカーおよそ600足はすべてナイキ。それもそのはず、この壮観なコレクションの持ち主であるご夫婦の出会いは職場であるナイキ社だった。
「もう半分くらいダメになっちゃって捨てちゃってるから。悪いけど捨てちゃったほうが良いものがあったんだけど」
履きつぶしては捨てるを繰り返しても増え続ける膨大なスニーカーの収納にほとほと困り果てて、自宅購入をきっかけに重い腰を上げたのは営業として25年勤め上げたナイキ社を2016年に退社した奥さんだった。
「壁紙とかカーペットを取り替えたくて、自分で見に行ったんだけど全然分からないからさ。じゃ、ちょっと知り合いに聞いてくるよって」
彼女が頼った知り合いとは、建築からプロダクトまで多岐にわたる仕事を手掛ける建築家の荒木信雄氏だった。
「内装材を取り替えるだけど単純なリフォームはやっていないのでって何回か断れちゃって。でもせっかくやるのであれば、おふたりならではのスペースをつくればってことで、こんな壮大なことになっちゃった」
前オーナーが子供部屋としてロフトベットと机を作り付けて使用していた空間を大胆に改築。こうして、ご夫婦の希望通りの機能美溢れたラックには、それぞれの思いが込められた想像を絶する数のスニーカーが並べられ、まるでプレスルームのような部屋が完成した。しかし、旦那さんの実家にはまだ400足以上のスニーカーが眠っているらしい。
「ここにはもう入らないし違うところに持っていこうとしてるの。まだアパレルも相当あるからね」
奥さんの次の構想は、九十九里浜にほど近い一宮でスタジオや民泊を視野に入れたトレーラーハウス建築。そこにはまた違ったストーリーがあるアパレルとスニーカーが並べられるに違いない。
Air Zoom Spiridon(1997年オリジナルモデル)
近代五輪史上初のマラソン競技優勝者の名を冠したスピリドンは、ナイキ社に入って初めて社販で購入した思い出のシューズ。(旦那さん所有)
Nike Air Rift (2010年復刻モデル)
ケニア長距離ランナーの裸足の走りに触発され足袋のようなスニーカーは、もっともよく好んで履いた彼女の代名詞といえるモデル。(奥さん所有)
Air Jordan Ⅵ(2014年復刻モデル)
1991年に発売されたエアジョーダン6はやっとの思いで入手。ジョーダンはこのインフラレッドを履いてNBA初制覇を果たす。(奥さん所有)
Nike Air Max Classic BW(2013年復刻モデル)
ナイキ ジャパンに入社した年に発売された一足は、エアマックスの中でもクラシックモデルと評される通称ビッグウィンドウ。(奥さん所有)