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  • 2017.09.04

エンターベイ NBA コレクション スペシャル対談|佐々木クリス ✕ 黒須マモル(前編)

NBAのスタープレーヤーをフィギュア化するエンターベイのNBAクラシックコレクション。これまで1/6スケールのフィギュアを中心に展開されていたNBAコレクションから、新たに発売となった1/9スケールが話題を呼んでいる。そんなフィギュア業界からの評価も高いエンターベイのNBAコレクションをテーマに、それぞれの分野からプロフェッショナル同士の対談が実現。WOWOW NBAアナリストとして活躍する佐々木クリス氏と、エンターベイを国内で展開する豆魚雷からフィギュアを知り尽くす黒須マモル氏が、フィギュアから広がるNBAカルチャーについて語ってくれた。

佐々木クリス(以下C):いきなりエンターベイとは全然関係ないんですが、バブルヘッドのフィギュアってご存知ですか?

黒須マモル(以下K):えっと頭がユラユラするボビングヘッドですかね?

C:そう。あれとエンターベイを並べたらすごい差ですよね(笑)。あれはなんであんなに似てないのかな?

K:なんででしょうかね(笑)。スポーツ系のフィギュアって誰だかわからないものが多かったんです。名前を見て、あーそうなんだみたいな。エンターベイは映画フィギュアからスタートしたメーカーなので、雰囲気があれば良いというよりも、役者さんの顔は精巧であることがすごく重要でして、本人そのままをまるごと欲しいっていうファンが実は多いんです。どちらかと言うとスケールが小さくなると難しくなって顔がオモチャっぽくなっていったりするので、1/6スケールで培った技術を1/9にスケールダウンしても損なわないということは、実はすごいことなんです。

C:めちゃくちゃ似てますもんね。顔のざらつき感まで似ているというか。

K:そうなんですよ。今までは肌の色をただペイントするだけだったんですが、最近のフィギュアだと肌質に関しても、かなり細かい陰影の付け方にまでこだわることによって、より本人の特徴が出せるペイントが可能になりました。ジョーダンの顔もいろんな色でわかれているんですよ。

C:確かに。ちょっとグラデーションがかってますね。

K:そうなんです。よりリアルになっているんです。1/9は34箇所以上可動できるんすけど、実は1/6よりも可動箇所が増えてるんです。これまでのバスケットボールのフィギュアは無可動のモノも多くあって、例えばマクファーレン社だと、選手の特徴的なシーンだけを切り取ってフィギュア化しています。でもエンターベイのようなフル可動だと、ひとつのシーンにとらわれないんですよね。エンターベイが1/6スケールのフィギュアを作るうえで他のメーカーと大きく違ったのは、その人の体型にあわせて素体を作るということ。通常であれば同じボディを流用するっていうのが多かったんですが、選手によって身長や体重も違うので、それぞれの体から作っていくんです。そこまでこだわるメーカーなんですね。そのこだわりが1/9でも生きているなっていう印象がありますね。

C:ホントですよね。カリーがちゃんとZAMSTを装着しているとかは、さすがですよね。ファンからしてみるとディティールが押さえられていないと、やっぱ違うなってなりますから。ジョーダンのふくらはぎ感とか、細めで高めについている筋肉っていうか、ただのダイコンじゃなくて、キュって上っている感じが、まさに体型に合わせて作っている表れじゃないかなって。

K:佐々木さんならではの視点ですね。オプションのパーツとかユニフォームは、本人を再現するのに重要な要素になります。佐々木さんのようにNBAに深く関わる方にも、フィギュアっていうのは魅力的に思ってもらえるんでしょうか?世の中には数え切れないほどのNBAモノがある中で、こういった精巧なフィギュアにも興味を持ってもらえるんでしょうか?

C:もちろんです。僕はジョーダンのフィギュアにすごくワクワクしたし、手にとって動かしてみたいなって。本当に精巧にできているので名シーンを再現したくなる。ジョーダンは意外にディフェンスなんだよなとか、どのくらいディフェンスのスタンスができるのかなとか。そう考えていると、本当に獲物を狩るようなジョーダンの目つきに見えてきたりしますよ。

K:やっぱり名シーンを知っているファンにとっては、例えば自宅のリビングで自分の手元で再現したくなりますか?

C:駆り立てられるものはあると思います。フィギュアって映像や写真とは違って、やっぱり手に触れられるということに意味があると思うんですよ。トレーディングカードなんかは集めること自体に意味があると思うけど、フィギュアはお気に入りの選手を一体持っているだけでノスタルジーに浸れますよね。

C:なるほど。見たこともないポーズをさせちゃうとか。(笑)

K:例えば、カリーとジョーダンが戦うシーンとか、自分の中のドリームマッチも再現できる。ゲームとかでもそうですけど。自分の中でこの選手同士が戦ったら面白いのにな……とか佐々木さんも考えたりするんですか?

C:めちゃくちゃしますね。インスタを見てても合成写真がけっこうありますよね。ジョーダンとレブロンのマッチアップの写真にはすごくたくさんいいね!が付いたりとか。(笑) あと、移籍が起きたらユニフォームだけ先に合成で変えちゃうとか、そういうファン心理はすごくあると思うんです。マッチアップと言えば、ペニー・ハーダウェイという僕のアイドルとジョーダンのシーンが思い浮かびます。ジョーダンがディフェンスするペニーを遠ざけるように、片手でボールを高く上げている有名なシーンの写真があるんですが、もし、あれをカリーのフィギュアで再現すれば、写真と違って360度から見られるわけじゃないですか。昔はそういう発想すらなかった。欲を言うとプラック(コートの床)まで欲しくなる。あの時代のあのコートをハードウッド付きで販売するとかいいですよね。

K:深いですね。多分これを買われる方ってやっぱりNBAが好きで、その選手を自分のコレクションにしたいという考えなんですね。

C:あの選手の、あの瞬間の一部でありたいという気持ちなんですよね。あの試合を現地で観戦できなかったからこそ、せめて、あの時の空気を味わいたいみたいな感じかな。

K:いいですね。なんか夢がありますね。1/9シリーズだと現役の選手が多かったんですが、このジョーダンから、ロドマン、ピッペンと続いていきます。他には1/6スケールですが、香港限定でジョーダンのルーキーエディションも最近販売されました。

C:ライトなNBAファンにもそれぞれのジョーダンがいると思うんです。彼の現役時代を見ていた人たちからは神格化されていて、ある意味ジョーダンのシューズを履くとか、ジャンプマンのTシャツを着るだけで、彼のオーラーを身にまとっているというのが、ブランディングになっているし。もう現役選手じゃないにも関わらず、彼のレガシーは守られている。社会的、文化的な影響力は揺らぐことはない。それは、たとえジョーダン以上の選手が現れたとしても、彼がGreatest of all timeという歴代No1プレーヤーと呼ばれ続けるのは、そういう部分も含めてだと思うんです。僕のように2000年代にかけて一番プレーしてきたような選手にとって、アイバーソンがカルチャー的なアイコンだし、それが今ではレブロンやカリーになっているわけで、ライトなファンたちは、僕たちが神格化しているジョーダン像と現役のMVP級の選手を重ねていくはずだし、将来ジョーダンを知らないでバスケをしている子供たちの方が増えるだろうし、ネクスト・ジョーダンというよりか、それぞれのジョーダンがいていいのかなって思うんです。

K:現役選手でジョーダンのように後世に語られる選手は?

C:それはレブロンですね。時代が全然違うので単純には比べられないんですが1956-57シーズンからボストン・セルティックスが10年連続ファイナルへ進出していて、その時代以降7年連続でファイナルに出ている選手がレブロンだけなのです。でも、レブロンのチームメイトでジェームス・ジョーンズというシューターは、全然プレーしないでレブロンと同じチームというだけで7年連続ファイナルに出てます。(笑) それもレブロンから愛されたゆえだと言えるでしょう。(後編へ続く)

佐々木クリス(写真右)
青山学院大学卒。大学時代にインカレ優勝経歴を持ち、元 bj リーグ千葉ジェッツ、東京サンレーヴスに所属。現役時代より WOWOW NBA ONLINE ナビゲーターとして、WOWOWの NBA 放送では同時通訳、NBA ファイナル現地レポートなどを担当。現役引退後の13-14 シーズンより NBA アナリストとして解説を務める。データを駆使した分かり易い解説には定評がある。

黒須マモル(写真左)
1980年生まれ、スラムダンク世代。テレビ東京で放映された『X-MEN』にはまる事をきっかけにフィギュアの奥深い世界に足を踏み入れる。現在は豆魚雷スタッフとして様々なアメコミトークライブへのゲスト出演などを中心に、フィギュアや海外キャラクターアイテムの楽しさを提案中。

エンターベイNBAフィギュアの購入ページ

https://mamegyorai.jp/net/default.aspx

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