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  • 2024.10.03

アシックスの新たな大会「GRIP」でOSAKA KRAKENSが優勝!ジャンルを超えたボーラーの熱き戦い

招待制インドア5on5トーナメント
 アシックスによる招待制トーナメント「GRIP」(グリップ)が9月8日、株式会社アシックスのアトリウムで初めて開催された。招待チームにはアシックスから招待状が届き、当日着用するシューズに関しては事前に選手の手元に贈られるなど、選手を1番に考えられたおもてなしがされた。
 今大会にはストリートや3×3、クラブチームや実業団で活躍しているボーラーが集まった5チームに、アシックスとコラボレーションしているballaholicのスペシャルチームを加えた6チームが参戦。3チームずつに分かれて、Poolと呼ばれる15分1本勝負の総当たり予選を経て、各Pool上位2チームによる前後半10分の準決勝、決勝によって、チャンピオンの座が争われた。

 頂点まで4試合。1日でレギュレーションの違うゲームはボーラーにとっては、タフな状況のひとつ。顔ぶれも実に多彩だ。DJによる音楽や映像・照明による演出も取り入れ、“ハードコアバスケ”を掲げたインドア5on5トーナメントを振り返っていく。

関西のエース級がそろうOSAKA KRAKENSが優勝
 まず予選を振り返ると、Pool AではHYOGO KRAKENSが1位通過を決めた。BLACK CASTとのオープニングゲームをりくとまる(#12)、Isamu(#13)の活躍によって18-9で制すると、関東の有力ボーラーがそろうTOKYO KRAKENSにも27-14で快勝した。

 そのTOKYO KRAKENSはHYOGO KRAKENSとの初戦こそ苦杯をなめたが、BLACK CAST戦では27-18で勝利を飾り、予選2位通過を手繰り寄せた。SOMECITY TOKYOのDumblersに所属するIkuto(#9)、Gengen(#10)がスコアを重ねるなど、チームとしてしっかりと立て直してみせた。

 一方、Pool Bは3試合とも1点差という大接戦になった。神戸市を拠点に地域リーグ「近畿SB2リーグ」で戦うBUBBLESが、関西のエース級ボーラーをそろえたOSAKA KRAKENSを27-26で下したものの、TEAM ballaholicには18-19で惜敗。そのTEAM ballaholicに対して、OSAKA KRAKENSはユウ(#9)、346(#7)らが3Pシュートを射抜く活躍を見せるなど、18-17で競り勝った。

 この結果、全チームが1勝1敗で並んで総得点勝負となり、BUBBLESが1位、OSAKA KRAKENSが2位で予選を通過した。OTO(#2)、KK(#34)らSOMECITYの看板ボーラーを擁したTEAM ballholicは惜しくも決勝トーナメントに届かず、RYO(#44)は「自分たちの弱い部分が出た」と悔しがった。

 そんな中セミファイナルでは、第1試合でOSAKA KRAKENSがHYOGO KRAKENSに対して前半から15-9とリードを奪い、後半に入ってからは346(#7)がチームを勢いづけて29-19で決勝へ一番乗り。第2試合ではBUBBLESが11-9と前半をリードして折り返したが、TOKYO KRAKENSが後半に反撃。NAOYA(#16)の3Pシュートで先手を取り、Gengen(#10)、KIFU(#15)らも続いて、21-20で逆転勝ちを飾った。

 東西のKRAKENS対決となった決勝では、TOKYO KRKENSがWATARU(#7)、KIFU(#15)、Ikuto(#9)らの活躍によって16-13と先行したが、後半に入るとOSAKA KRAKENSのぺースに。ユウ(#9)、olisa(#18)、346(#7)らによって形勢を逆転し、最終スコア40-32でチャンピオンボードを高らかに掲げた。

 そのチャンピオンボードを掲げたボーラーの中から、MVPには346が選ばれた。

 SOMECITY OSAKAのALLBLUEや3×3シーンで活躍する漢は、「普通の5on5だとあんなに歓声もないし、MCに煽られ、DJの音楽がかかることもない。演出でテンションが上がってアドレナリンも出て、良いパフォーマンスにつながりました」と、「GRIP」の雰囲気を絶賛。カッシー(#16)、ユウ、olisaなど関西のストリートシーンでエース格を張るボーラーがいる中、MVP獲得に至った要因について346は「アイツがやるだろう」ではなく「自分が攻める中で周りを生かしていくという意識」で戦ったと明かしてくれた。

敗れたが、ジャンルや地域を超えた戦いが「楽しい」
 一方で優勝には届かなったボーラーたちも負けた悔しさは隠さなかったが、「GRIP」を充実した様子で振り返った。TEAM ballaholicのRYOは常々「いろんなジャンルの人たちがいる大会に出られるのはうれしい」という気持ちがある中で、今大会も「初めてのイベントでしたが楽しめました。面白かったですね」とコメント。SOMECITY TOKYOのUNDERDOGに所属するNAOYAにも、新たな発見があった。

「普段(東京で)ストリートボールをやっていると、地方のチームとやる機会があまりないじゃないですか。ALLDAYも地方から来るチームがまだ少ない。そんな中でHYOGO(KRAKENS)やBUBBLES、OSAKA(KRAKENS)と5on5をするのは新しい経験でした。BUBBLESなんて、2メートルが2人もいたんですよね。(東京以外にも)良いボーラーがたくさんいるなって思いました」

 そのBUBBLESのICHIROは「GRIP」を心底楽しんだ。彼らの主戦場は地域リーグとあって、5on5の競技バスケど真ん中。それ故に今大会は普段味わえないことばかりだったようだ。「暗がりでライトアップされたコートでバスケをしたことがなく、相手も強くて、チームメイトとも“楽しかったね”という話をしました。準決勝で負けましたが、この環境でバスケができて新鮮でした」と、ICHIROは声を弾ませた。

 また、今大会に向けてICHIROはチーム練習の延長戦で1on1の強い選手たちとの対戦を想定して、ディフェンスも見直したという。ドライブに対してのヘルプを意識したほか、TEAM ballaholic戦ではゾーンディフェンスも仕掛けた。彼は裏話として「本当にゾーンをやっていいのか、チームで揉めました。真っ向勝負が求められると思ったので、コンプライアンス違反をやっている感覚があったんですよ(笑)。でも、勝ちたかったのでやりました。戦術を考えるのも5on5の魅力です」と話してくれた。

 さらに、ICHIROはアシックス社員でもあり、過去には一般受験で筑波大学バスケ部に入って、4年間を全うしたキャリアの持ち主だった。在学中にはAチームまで上がり、同級生はAOKICKSや波多智也、玉木祥護がいたという。王道の競技バスケ経験者が飛び込んだ「GRIP」の世界は、新たな刺激も与えてくれた。

「今日はゴール下もバチバチで、ルーズボールが流れを左右する展開もあって、一瞬に賭ける熱量をすごく感じました。その雰囲気にコートサイドの皆さんが盛り上がったという意味で、ハードコアバスケを体現できたと思います。“本気だったらアシックス”と言われていますが、それも良いことだと思いますし、それもひとつのハードコアバスケだと思います。それを根幹に部活をやってきたボーラーもいるでしょう。その部活版ハードコアがクールにスタイリッシュに昇華されたのが、今日の「GRIP」だったと思います」

ボーラーの足元を支えた新作に好評の声
 そんな「GRIP」では、アシックスより出場ボーラーへのサポートもあった。ドライ感があって「着やすかった」という声が寄せられたタンクトップなどのウエアとともに、新作となる「NOVA SURGE 3」や「NOVA SURGE LOW」、「UNPRE ARS 2」が提供されて、その履き心地に好評の声が上がった。

 グリップの良いバッシュを求めて、1年前から人生初のアシックスを履き始めた346は「NOVA SURGE 3」について「すごくグリップするほか、クッション性も良くて跳びやすい。着地もしやすいので、ケガ防止にもつながると思います。止まったあと、すぐに次のプレーにつなげられるので自分のパフォーマンスも上がるんじゃないかという期待が上がる確信を得られました」と、太鼓判を押した。

 また、いつも他メーカーを履いてる中、15年ぶりにアシックスを履いたNAOYAも、「NOVA SURGE 3」の機能に驚いた様子だった。「とても止まりますね。こんなにグリップが良いのかと思いました。慣らすために試し履きするつもりでしたが、いらないぐらいです。会場との相性も良かった」と語った。

 そして、ICHIROも「社員という立場を抜きにして」と前置きして、普段履いている自社のバッシュを履いての感想を明かした。

「職業柄、他社のシューズも履きますが、このシューズは足への馴染み具合が全然違います。フィッティング・グリップは、ずば抜けていると思いますよ。今日は1対1に強いボーラーが多いので、ディフェンスをハードに僕らもやらなければならない中で、人馬一体じゃないですけど、シューズが自分の体の一部になって動けた感覚を得ました」

 そんなアシックスがサポートし、バチバチの戦いが繰り広げられた「GRIP」は、大きな盛り上がりを見せて1日を終えた。ボーラーからは第2回大会を望む声も寄せられ、346が「2連覇」へ意欲を燃やせば、負けたRYO、NAOYA、ICHIROも「出たい」とリベンジを誓った。

 初の「GRIP」が、地域もジャンルを超えたボーラーたちのハートに火をつける可能性を示してくれたことは間違いない。

【製品情報】MIDTOWN KRAKENS(ミッドタウンクラーケンズ/リンクが外部サイト)

アシックスの新たな大会「GRIP」でOSAKA KRAKENSが優勝!ジャンルを超えたボーラーの熱き戦い

TEXT by Hiroyuki Ohashi



PHOTO by Kasim Ericson

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