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  • 2026.04.05

新たな風が吹く――「FIBA 3×3 アジアカップ 2026」取材記vol.2


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「FIBA 3×3 アジアカップ 2026」の男子ロスターを眺めていると、4年で顔ぶれがほぼ入れ替わった印象だった。2022年にマリーナベイサンズで行われた大会に出場した選手は、マレーシアに一人いたぐらい。同国は予備予選を突破して、4月3日の本戦予選DAY1に駒を進め、中国を21-19で破る大金星も挙げた。8強入りは逃したが、アジアで新しい風が吹いた。


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韓国が8強入り。同国トップレベルの大学生が躍動

そんな、マレーシア以上に強烈な新しい風を吹かせたのが、予備予選を2連勝で勝ち上がり、4月4日の本戦予選DAY2で、プールC1位を2連勝で突破した韓国である。韓国の大学トップレベルの選手たちが集結して、シンガポールで躍動している。平均身長190cmを超えるサイズと、当たり負けしないフィジカル、絶対に勝ってやるぞと言わんばかりの闘争心がギラついている。個々の能力は高く、シュート力があり、ドライブのフィニッシュも強い。


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20-15で勝ち切った日本戦との初戦では、エース・小澤崚(#13 / 178cm / SHINAGAWA CITY.EXE)を立ち上がりから徹底マーク。ファウルギリギリの当たりで、削りにいったようにも見えた。韓国の強豪・延世大学に所属するSeungwoo Kim(#6 / 192cm)はゲームプランについて「小澤選手は素晴らしいシューターなので、我々は彼へのディフェンスに特に力を入れました。体格面でも優位に立っていたため、その点を確実に生かすようにした」と明かす。クーリバリ ソロモン(#33 / 183cm / UTSUNOMIYA BREX.EXE)に対してもディフェンスの圧力は高く、ハンドラー2人だけでターンオーバーは6個もスタッツがついたほどだった。


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この日最終戦となったシンガポールに対しては、相手の鋭いドライブや2ポイントシュートを許して終盤まで競り合ったが、21-19でKO勝ち。ミックスゾーンに入ってきた大学生たちは、決勝トーナメント進出の嬉しさで大絶叫していた姿が印象深い。Seungwoo Kimは2試合を終えて「シンガポールに来る前から、私たちは万全の準備を整えてきました。入念に分析を重ねたおかげで、すべてが計画通りに進んでいます。私たちの目標は、さらに上を目指すことです。チームメイトの献身的な努力に感謝して、これからも自信を持って戦い続けます」と語った。


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同国は4人中3人が3×3の試合経験が10試合だけ。だが、経験値の無さを個の力と一体感でカバーして8強入りした。準々決勝ではフィリピンとの対戦を迎える。4強入りとなれば、アジアカップでは初の出来事になるだろう。高いポテンシャルを秘めたチームであることは、本人たちも感じているようだ。Kimは「僕らはみんな、ハングリードッグのようにプレーしています。3×3はまだ始めたばかりだから、今は学ぶことに集中しているし、僕らは韓国でもトップクラスの選手たちの一人だと信じている」と話す。若手4人が、シンガポールをまだまだ沸かせてくれそうだ。


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初代表のソロモンが躍動。「思いっきりやってこい」

一方で、日本は勢いづく韓国を止められなかったが、初戦のシンガポール戦を20-16で制して、通算成績を1勝1敗。予選プールCを韓国に次ぐ2位で突破した。小澤の2ポイントシュートに当たりが来ない中、攻防両面で奮闘したのが、クーリバリだった。


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彼は、初戦では6得点5リバウンド、2試合目も7得点6リバウンドとチームトップの成績を残し、シンガポール戦ではドライブからダンクにトライ。綺麗には叩き込めなかっただけに、本人も「毎回(ダンクで叩き込む直前で)ボールが浮いちゃうんですけどね」と笑っていたが、「次やるときはしっかり決めれるように頑張りたい」と明るく話す。良い風を日本代表に吹かせまくっていただけに、初代表とは思えないプレーが出来ている理由を問うと、彼は弾ませた声でこう明かした。

「最年少でもあるし、やっぱり他のメンバーが思いっきりやってこいって言ってくれたので。それを信じてというか、最年少らしく、ガッツで頑張りました」


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また、韓国戦に敗れたあとにはミックスゾーンで険しい表情になったが、しっかりと立て直しを誓ったのも、彼らしかった。

「自分たちが韓国にやらせたくないことをまずやられてしまって、自分たちがやりたいオフェンスができなかったので、チームのリズムが崩れてしまった。それをやっぱり立て直せるのがやっぱり優勝したり、メダルを獲得するチームだと思う。次の試合はそういった場面が出ても立て直せるチームを作っていけたらと思う」


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所属先のUTSUNOMIYA BREX.EXEでは中心選手として、この1年戦い抜き、勝負のかかった試合で負けることも多かった。ただ、そこからもう一度立ち上がり、最終的に3×3日本選手権で準優勝、3×3.EXE SUPER PREMIERのFINAL Roundで準優勝するなど良いチームに仕上げていく。仲西佑起(#24 / 191cm / UTSUNOMIYA BREX.EXE)もいるだけに敗戦からカムバックする力はみんな持っていることは間違いない。

そんな新戦力の25歳に、当然期待も大きい。井後は、ソロモンの持っている“リズム”を挙げて、次のように語った。

「今までは出羽(崚一)だったのですが、彼はどちらかというと僕たち(小澤、仲西)と同じリズムなのですが、やっぱりソロモンは違うリズムなんです。小澤とソロモン、ここはまだ上手くリズムがかみ合ってないシーンもあれば、かみ合っているシーンもあると思います。このリズムが、本当にビシっとはまったときの強さはわくわくしていますし、このトーナメント中にはまるようにチームでコミットできたら、日本はすごいチームになるんじゃないかとわくわくしてます」


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金メダルへの挑戦。まずモンゴル超えなるか

そんな男子日本代表は、本日5日の準々決勝でモンゴルと対戦する。相手はメンバーこそ一新したが、予選プールAを1位で突破。ゲームコントロール、得点に長けたハンドラーを軸に高さもフィジカルもある強力な布陣である。FIBA 3×3 ネーションズリーグやFIBA 3×3 U23ワールドカップ、プロサーキットも経験している若手もおり、経験値も十分。金メダル獲得を目指す上で、乗り越えるべき大きな壁である。


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そして、大一番でやはり期待したいのは小澤と仲西の二人だ。昨年からこの二人のコンビネーションは、日本の大きな武器である。シンガポール戦のように小澤の得点が4点でも勝ち切るのは、代表としてこの1年の進歩に感じたが、やはりエースの活躍なくして金メダル獲得は無い。戦前の代表合宿でも「チームが勝つためには自分の得点は絶対に必要」と語っていただけに、そろそろ勝負所で会場を沸かせる放物線を射抜いてくれるはず。シューターだけに打ち続けることも彼の仕事。外が決まれば、仲西が走り出してレイアップを決めるいつもの光景が見えてくる。

いまは、きっと壮大な序章であると思って「FIBA 3×3 アジアカップ 2026」の最終日を迎える。


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■本日の予定(※日本時間)
4月5日(日) 決勝トーナメント
 15:20 準々決勝 男子日本 vs モンゴル
 16:45 準々決勝 女子日本 vs タイ
 18:00 男女の準決勝~
 20:40 男女の3位決定戦~
 21:40 男女の決勝~

■ライブ配信
FIBA 3×3 公式 YouTube(予定)


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新たな風が吹く――「FIBA 3×3 アジアカップ 2026」取材記vol.2

TEXT by Hiroyuki Ohashi
PHOTO by ©FIBA

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