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  • 2026.03.27

3×3日本代表、選手、競技シーン…2026シーズンの幕開けへ

いよいよ3×3の新シーズンがスタートする。4月1日から5日にかけて男女の3×3日本代表が出場する「FIBA 3×3 アジアカップ2026」が開催され、同25日、26日には男子のクラブ世界一を決めるツアー大会の開幕戦「FIBA 3×3 ワールドツアー 宇都宮オープナー」も開かれる。ほかにも今年は代表チームやクラブチームが出場する国際大会が日本で目白押しだ。昨冬、FIBAより示された2028年のロサンゼルス五輪に向けた出場権獲得の方法を振り返りながら、競技シーンにとって大事な1年を考えたい。



©Hiroyuki Ohashi

ロス五輪より3×3は男女の出場枠が拡大へ

 3×3日本代表が出場権を逃したパリオリンピック。閉幕して少したった2024年9月にFIBA(国際バスケットボール連盟)で世界の3×3シーンを取り仕切るマネージングディレクターのAlex Sanchez(アレックス・サンチェス)氏が来日していた。当時、次のオリンピックに向けて「FIBAの中で出場国が8チームがいいのか、12チームがいいのか、議論にもなっているところですが、まず我々がロスへ向けてやろうと思っていることは成長を続けることです」と話し、日本の3×3シーンに対する期待や足りないところを尋ねると、期待感を示す言葉を残していた。

「このインタビューが終わったら、JBAに行きます。日本のナショナルチームがもっと強くなるように、またロスへ出場するためにはどうしたら良いのか。それをFIBAの立場からサポートしていきたいと思います。日本にはとても良い3×3のトレンドがあります。もっと力を入れて大会をすること、日本代表チームの力をつけていくことが、重要だと思います」

 あれから月日がたち、2025年4月にIOC(国際オリンピック委員会)が、3×3の五輪出場枠をロサンゼルスオリンピックより男女各12か国に拡大すると発表。過去2大会に比べて同4か国も増えた。昨年12月にはFIBAより出場権獲得の方法が示されている。開催国枠としてアメリカが決まっているため、残る11枠を世界各国が争うことになるという。



©Hiroyuki Ohashi

オリンピック出場へ、日本は4つのルートあり

 では、いつ、どうやったらオリンピックの切符が手に入るのか。出場権獲得のルートは5つある。順を追って整理していきたい。

 まず、最短では2027年12月にFIBA 3×3の国別ランキングに基づき、上位5カ国が決まる。業界的には「ストレートイン」と呼ばれ、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパから1カ国ずつ、アジアパシフィックにいたっては2カ国(アジアから最低1)も枠がある。国別ランキングの集計方法は昨年12月に改定され、各国上位20人の合計ポイントが対象となり、集計期間も12ヶ月から24ヶ月に延長。もうロスに向けた戦いはスタートとしているのだ。

 続いて、残る4つのルートは五輪予選である。結論から言えば、日本はOQT1を除く、最大で3度の参加機会があるかもしれない。また3月19日には、公益財団法人日本オリンピック委員会が、2028年のオリンピック予選シリーズ(OQS)の招致を決議したとも発表。後述するOQT3あるいは、OQT4が東京で実施される可能性が出てきた。


●開催時期:2028年3月~4月|OQT1(3×3 Olympic Qualifying Tournament – Universality)
・男女各12チームが参加して、上位各2チームに出場権を付与(予定)。
・参加チームの内訳は、開催国が1チームと、東京2020、パリ2024のバスケットボール競技に出場していない国を対象に、FIBA 3×3 ランキング(国別)に基づいて、11チームが選出される。


●開催時期:2028年4月~5月|OQT2(3×3 Olympic Qualifying Tournament – Ranking)
・男女各12チームが参加して、上位各2チームに出場権を付与(予定)。
・参加チームの内訳は、開催国が1チームと、FIBA 3×3 ランキング(国別)に基づいて、11チームが選出される。


●開催時期:2028年4月~5月|OQT3 – OQS(Olympic Qualifier Series)
・男女各8チームが参加して、上位各1チームに出場権を付与(予定)。
・参加チームの内訳は、開催国が1チームと、FIBA 3×3 チャンピオンズカップ2026および2027の優勝国が1チームずつ、各ゾーンカップ(アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、アジア)の2027優勝チーム、FIBA 3×3 ワールドカップ2027の優勝チーム。


●開催時期:2028年5月~6月|OQT4 – OQS(Olympic Qualifier Series)
・男女各8チームが参加して、上位各1チームに出場権を付与(予定)。
・参加チームの内訳は、開催国が1チームと、FIBA 3×3 コンバインドランキング(男女合計の国別順位)の上位7チーム。
 



©Hiroyuki Ohashi

変化をうかがえる代表強化。昨年は良い滑り出し

 そしてルートが見えれば、どう進んでいくのか。3×3日本代表の過去を振り返ると、東京オリンピックでは男女ともに出場を果たしたが、パリオリンピックでは出場権を逃した。宇都宮市がオリンピック予選を誘致するアシストもあったが、最終予選(ハンガリー開催)を含めて2度のチャンスをふいにしている。

 戦前、日本は男女ともに2023年のFIBA 3×3 ワールドカップでBリーガーやWリーガーを招集してベスト12入リを果たしたが、五輪予選を突破したのは男子のオランダやラトビア、フランス、リトアニア、ポーランド。女子で言えばアゼルバイジャン、オーストラリア、ドイツ、スペイン、カナダ。継続的に同じメンバーで国際大会に出場し、3人制をやり込んだ選手たちがそろう国々ばかりだった。アンダーカテゴリーの大会で結果を残した選手たちが、台頭した国もあった。大会単位に5人制の有力選手を招集して合宿を行って勝ち抜けるレベルではなかったのだ。

 しかし、2025年から日本バスケットボール協会(JBA)の3×3に対する取り組みも変化してきた印象だ。昨春の「FIBA 3×3 アジアカップ 2025」では3×3を主戦場にする選手たちで女子は史上初の銀メダルを獲得。男子も7年ぶりに4強入りした。同年のワールドカップでも女子はアジアカップ経験者と、Wリーグで3×3を経験した選手たちを融合させて強豪オランダを破るなどベスト12入り。男子はアジアカップと同じ布陣で開催国のモンゴルを下すなど、ベスト12へ駒を進めた。

 JBAのプレスリリース(2026 年2 月20 日)によると、2024年11月にJBA技術委員会はロサンゼルス五輪に向けて3×3日本代表の強化方法を策定していた。その内容を簡潔に言えば、同じメンバーで長期的・継続的に世界転戦をするというもの。その方針を踏まえた初年度だったことを思えば、2025年は男女ともに良い滑り出しだったと言える。特に、女子は3×3の代表経験と、各国代表がしのぎを削る「FIBA 3×3 ウィメンズシリーズ」の転戦経験がある前田有香氏をヘッドコーチにも起用。ワールドカップを戦ったメンバーを引き連れて、昨年7月にインドネシアで開催されたウィメンズシリーズではA代表初の優勝を飾った結果も、継続的な海外転戦が実った証である。



©Hiroyuki Ohashi

男子代表は「三本の矢」で、スタイルは変えずに

 そして、ことし2月よりJBAは2大会ぶり2度目のオリンピック出場を目指して本格始動した。まずは、ストレートインでの五輪切符を狙うことになるだろう。

 女子は前田ヘッドコーチの下、「3×3 ディベロップメントキャンプ2026」を開いて、23歳以下の大学生やWリーグ所属選手を招集。この世代は男子も含めて、今秋のアジア競技大会に出場する世代であり、女子は過去2大会でメダルを獲得。今大会も期待がかかっていることは間違いない。

 さらに、ディベロップメントキャンプで優れたパフォーマンスを発揮した佐藤多伽子(177cm / プレステージ・インターナショナル アランマーレ)らは3月のA代表合宿に追加招集。高橋芙由子(163cm / 三菱電機コアラーズ / FLOWLISH GUNMA)、鶴見彩(165cm / MAURICE LACROIX)、桂葵(182cm / トヨタ紡織サンシャインラビッツ / ZOOS)ら昨年度のメンバーと合同合宿を行っている。世代の垣根を超えて競技の理解を深め、アジアカップやワールドカップ、ウィメンズシリーズ、ネーションズリーグ(23歳以下)といった大会での躍進を狙う。

 男子は、東京オリンピックの本大会、パリオリンピック予選を経験している中祖嘉人氏がヘッドコーチとして強化に着手している。5人制も含めたJBAの強化体制が一新されて以降、3×3男子代表のヘッドコーチ職は名前が無かったが、中祖氏はクラブチーム・TSUKUBA ALBORADAのコーチを退任。彼に託したのだろうし、彼以上に経験・知識・熱量を持った成り手は日本にはいない。
 
 中祖氏曰く、男子の強化方針は武将・毛利元就の言葉をなぞらえて「三本の矢」。具体的には「3×3専任選手」「アンダーカテゴリー(U21/U23)の選手」「Bリーガー」を対象に強化を図って、獲得ポイントの高い国際大会へ出場。国別ランキングをあげて、ストレートインによる五輪出場を目指す。

 とりわけ、Bリーガーを3×3専任選手と混ぜないで強化する取り組みは過去と一線を画す。JBA 3×3スペシャライズドチーム「Team TOKYO 2026」と題して、Bリーグのオフシーズンに国際大会に出場するという。前回オリンピック予選に出場したケネディ トーマス(シーホース三河)や3×3 U23代表歴のある江原信太朗(滋賀レイクス)、高校時代に3×3の大会で活躍した長谷川比源(同)らがメンバー入りした。Bリーガーが3×3で五輪を目指せる機会が確保されれば、学生時代に3×3をやった若手・中堅が帰ってくるかもしれない。

 また、アンダーカテゴリーの代表候補には3×3の実践で結果を残した選手たちも招集。「3×3 全日本大学選手権大会」(プレ大会 / 2026年2月開催)で活躍した野田悠峨(183cm / 日本体育大学)や小野恵富(194cm / 江戸川大学)、さらにJBAが主催する「3×3 JAPAN TOUR 2025」で新設されたU23カテゴリーで活躍した若木悟琉(192cm / MEGURO SIXERS)、越田大翔(190cm / FUz HOKKAIDO.EXE)などである。3月10日から12日に3×3専任選手とアンダーカテゴリー(U21/U23)の選手を招集して実施した「2026年3×3バスケットボール男子日本代表チーム 第2次強化合宿」のメディアデーで中祖氏は若手の招集について「そういうところ(=プレインカレやJAPAN TOUR)を私がしっかりと見て、面白そうだと思った選手を今後もピックしていこうと思ってます」とコメントしている。

 一方で、男子代表の戦うスタイルは、どうなるのか。2025年は日本ランキングNo.1の小澤崚(178cm / SHINAGAWA CITY)という、3×3の1試合個人最多得点「20点」のFIBA記録を持つハンドラーを軸に、2ポイントシュートと1点を素早いトランジションから取り切る攻防を展開。仲西佑起(191cm / UTSUNOMIYA BREX)、井後健矢(198cm / SAGAMIHARA PROCESS)が献身的にスクリーンをかけ、合わせ、出羽崚一(190cm / ZETHREE ISHIKAWA)もセカンドスコアラーとして機能した。フィジカルで劣るぶんはディフェンスで相手を研究するなど、チームの遂行力で弱みをカバーした姿が思い出される。

 ことし3月の第2次強化合宿には、ロイ優太郎(白鷗大学 / 192cm)や内藤耀悠(レバンガ北海道 / 191cm)、バラダランタホリ玲依(大東文化大学 / 195cm)ら能力やサイズのある若手もいるが、中祖氏は代表像の展望を次のように語った。

「今まで作り上げてきたスタイルは基本的には変えません。それをできる今いる選手がフィジカルをアップするのか。フィジカルがより高い選手が入ってくるのかを模索しながら進んでいけば、近づいていけるのかなと思います。基本的に三本の矢も全てスタイルはあまり変えない方向で、フィジカルがよりある選手が最終的に、今の選手がそうなるかもしれないし、新しくディベロップメント(U21/U23選手)やBリーガーが入ってきて、今のスタイルに合ってくるのかもしれないという状態をイメージしています」



©Hiroyuki Ohashi

国際大会が目白押し。盛り上がりの機運を作りたい

 ただ唯一、強化方針として気になるところは小澤や井後ら「3×3専任選手」に対する処遇だろう。彼らは所属先でもワールドツアーやチャレンジャーといったプロサーキットと呼ばれる国際大会に出場し、日本のランキングをけん引するメンバーだ。当然、世界に出ればお金もかかる。昨今の中東情勢も鑑みれば、遠征の負担は重くなるかもしれない。東京オリンピックを筆頭に、3×3日本代表を長年引っ張った落合知也は、SHINAGAWA CITYで代表兼選手を務め、小澤らがプロとして活動できる場を整えてきた経験もあって、三本の矢に対して思うところもあった。ちゃんと耳を傾けておきたい。

「(3×3の代表強化に)Bリーガーは必要です。これは昔からそう思っています。モンゴルではトップ10の選手にインセンティブを払って、どんどん選手を3×3のプロフェッショナルにしています。プロになるって、そういうとこからはじまると思います。もちろん(日本の3×3のプロ)選手は覚悟も全然足りないと思いますけど、このままで3×3のプロ選手は育つのか。僕らは何も援助がなくてもプロサーキットへ行きますけど、ここに目を向けてもらえなかったら一生(3×3のプロ選手は)育たない。ただ(3×3を)やっていると見られてしまう。うちのチームの選手には口酸っぱく覚悟、意識を言ってきました。3×3でプロを選択するためにはお金のサポートは必要で、JBAのバックアップも必要だと思います。例えばランキングトップ10の選手や所属チームにインセンティブが出れば、ランキング上位を目指してプロサーキットに行くでしょうし、日本代表に入れなくても頑張りが報われるんですよ。俺たちは日本に貢献したいと思っています。アンダーもBリーガーも育てるのは大事ですが、それと同じぐらい3×3専属選手たちもしっかりと見てほしいです」


©Hiroyuki Ohashi

 あくまでも一般論だが、JBAのような団体組織は得てして予算があり、きっと強化にも優先順位があるはずだ。5人制と3人制の実績・注目度で見れば、5人制男子、5人制女子、3人制女子、3人制男子で配分が変わるはず。まずは目に見える結果を期待したいが、持続的な成長を目指すならば、それを支えるサポートもあって然るべきだ。アジアで2枠となれば、当然日本以外の国も強化が進むことは予想される。日本代表を筆頭に3×3の競技シーン全体としてお金を生みだし、選手やチームに還元して、成長を続けるエコシステムの構築は今なお大きな課題であるが、声を上げ続けることはやらなければならない。

 一方で、2026年は3×3シーンの盛り上がりにつながる国際大会が日本で目白押しだ。男子のクラブ世界No.1を決めるツアー大会の開幕戦「FIBA 3×3 ワールドツアー 宇都宮オープナー 2026」(4月25日・26日)のほか、ワールドツアーの下部大会「FIBA 3×3 チャレンジャー」も渋谷(4月18・19日@恵比寿ガーデンプレイス)や、上野原(山梨県 / 8月8日・9日)、愛知(10月10日・11日)で予定されている。

 また、女子のクラブ世界No.1を決める「FIBA 3×3 ウィメンズシリーズ」も8月に2度予定されている。東京と、FLOWLISH GUNMAの誘致による高崎(8月29日・30日@高崎アリーナ)だ。9月には男女の3×3 U23代表チームが「第20回アジア競技大会」(愛知県)に派遣される。

 1年間でこれだけの多くの国際大会が開催されることは、日本の3×3シーンで初めてのことだ。団体・組織やリーグ、チームの垣根を越えて、出場チームや選手を応援し、大会を盛り上げる機運を作れるのか。国内には少なく見積もって50以上のチームがあり、なかなか一枚岩になりづらい印象もあるが、連携すれば大きな力だ。競技シーンを育てる意味で言えば、JBAの発信でよく見かける #バスケで日本を元気に #日本一丸 を体現するのは、いまなんじゃないだろうか。

 あとあと振り返ったときに、競技シーンの発展は2026年が転換点だった。そう思える1年にしたい。


©Hiroyuki Ohashi

3x3日本代表、選手、競技シーン…2026シーズンの幕開けへ

TEXT & PHOTO by Hiroyuki Ohashi

JBA 3x3 OFFICIAL

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