3×3アジアNo.1決定戦が開催中…28日より日本代表の「FIBA 3×3 Asia Cup 2025」がはじまる
優勝候補筆頭は、男女とも豪州か
3×3アジアNo.1を決める「FIBA 3×3 Asia Cup 2025」が、3月26日よりシンガポールで開催中だ。出場国は男子が25チーム、女子が23チームを数えて、27日までの2日間で予備予選を実施。28日より2日間は、シードチームを加えた男女各12チームが3チームずつ4つの組に分かれた本戦予選を戦う。各組2位以上が最終日30日の決勝トーナメントに駒を進める。チャンピオントロフィーを掲げるのはどこになるのか。
優勝候補の筆頭は、男女ともにオーストラリアだろう。昨年はアベック優勝を飾り、これまで男子は大会最多4度の金メダル(2018年、2019年、2022年、2024年)を獲得し、女子も直近2大会での連覇を含む4度の頂点に(2017年、2019年、2023年、2024年)。絶対王者をどこが倒すのかが、大会の大きな見どころだ。
男子はモンゴルが対抗馬、イランも本戦へ
男子は、オーストラリアが通算5度目の頂点を目指す戦力がそろった。2週間前にFIBAが主催した3×3の強豪国が集結する新大会「FIBA 3×3 Champions Cup 2025」(3/14~16)で、強豪アメリカを下して銅メダルを獲得。参加8カ国中、最多の1試合平均19.0得点という高い攻撃力を誇る。
シンガポールにやってくるのも、その立役者たちだ。♯11 Alex Higgins-Titsha(アレックス・ハギナ-ティシャ/200㎝)はChampions Cupの大会ベスト3に選出され、シューターの#8 Jonah Antonio (ジョナ・アントニオ/195㎝)や、フィジカルの強い#7 Dillon Stith (ディロン・スティス/201㎝) の3人は強力。いずれも豪州5人制プロリーグ・NBLに参戦するCairns Taipans(ケアンズ・タイパンズ)の所属とあってか、コンビネーションもまずまずの印象だ。
次に対抗馬として挙げられるのが、モンゴルだ。Asia Cupで過去2回の優勝 (2017年、 2023年)を成し遂げ、3×3のクラブ世界No.1を決めるツアー大会「FIBA 3×3 World Tour」で戦い方を積んできた選手たちがそろう。フィジカルの強さはオーストラリアにも引けを取らず、日本と縁の深いシューター・#5 Anand Ariunbold(アナンド・アリウンボルト/196cm)には注目だ。
また、前回準優勝のイランも予備予選を突破して本選予選へ。昨春、日本を破った原動力である#17 Matin aghajanpour(マティン・アガジャンプール/198㎝)らもエントリーしている。相手を削るようなディフェンスが思い出されるだけに、今年も手強そうだ。中国も昨シーズンの「FIBA 3×3 World Tour」を経験した選手たちを擁しているほか、ベトナムやインドらが予備予選を制して、本戦に挑む。
女子は中国、東南アジア各国も台頭なるか
一方、女子もオーストラリアの顔ぶれが豪華だ。昨春、宇都宮で実施されたパリ予選大会を制して本大会でも活躍した#24 Anneli Maley (アネリ・メイリー/186㎝) 、#4 Alice Wilson (アレックス・ウィルソン/180㎝) 、#21 Marina Whittle (マリーナ・ウィトル/180㎝) が3度目のAsia Cupへ。ここにChampions Cupで銅メダルを獲得し、大会ベスト3に選ばれた新鋭・#7 Miela Sowan (ミエラ・ソワン/177㎝)が合流。4人のケミストリーが高まれば、頂点は近い。
対するライバルと言えば、アジアランキング1位の中国は20代前半の若手選手を中心にChampions Cupを経て、今大会へ。前回大会で初の銅メダルを獲得したモンゴルも同国3人制の顔である#13 Khulan Onolbaatar(クーラン・オノルバートル/180㎝)を中心に、3×3の経験豊かなメンバーでファイナルを狙う。ニュージーランドは前回準優勝メンバーが、大会ベスト3だった#11 Sharne Pupuke-Robati(シャルン・ププケ=ロバティ/184㎝)だけであるが、180㎝台中盤の選手が3人そろう大型チームだ。
また、東南アジア各国が新たな歴史を作れるかも、見どころになる。Champions Cupでフランスを破ったタイをはじめ、フィリピンや開催国のシンガポールは実力的にはこれまで上位チームと差があったが、昨シーズンは3×3の女子国際ツアー大会「FIBA 3×3 Women’s Series」に出場し、今年2月には各国の代表選手たちがアジアのクラブチームが集結したフィリピンやシンガポールでの国際大会にも出場。積み上げた力でAsia Cupのメダル圏内に入ってくると面白い。
日本は、アジアで再び存在感を示せるのか?
そんな中で、日本代表はAsia Cupで再び存在感を示すことができるのか。男子は2018年、女子は2019年の銅メダル獲得を最後に表彰台からは遠く、過去2大会は男女ともに8強止まり。BリーグやWリーグ、大学の有力選手らを招集して挑んだ大会もあったが、わずかな合宿でチームは仕上がらず、2023年の男子代表は3×3をメインに活動する選手たちで臨むもオーストラリアとニュージーランドに惨敗して12位に沈んだ。
今回の男女日本代表は、2月に開催された「第10回 3×3日本選手権」に出場した選手を主な選考対象とし、合宿を経てロスターが決まった。3人制をメインに活動する選手たちから代表を選んだという意味で言えば、2018年の代表選考に戻した印象だ。
男子代表は、昨春のパリ五輪最終予選に出場し、2年前のAsia Cupで代表だった#13 小澤崚(ALPHAS/177㎝)と、同Asia Cupに出場した#24 仲西佑起(UTSUNOMIYA BREX/191㎝)が代表復帰。そこに初代表の#15 井後健矢(SAGAMIHARA PROCESS / HIU ZEROCKETS/198㎝)と、#7 出羽崚一(SHINAGAWACC WILDCATS/190㎝)が入る。小澤や出羽のシュート力と、仲西や井後が相手の裏を狙う機動力を組み合わせた、スピーディーな展開が強みになるだろう。
そして女子代表はフレッシュな顔ぶれになった#5 鶴見彩(MAURICE LACROIX/165㎝)、#3 高橋芙由子(FLOWLISH GUNMA/163㎝)、#12 野口佑季(boldiiies/173㎝)が初選出。昨年「FIBA 3×3 U23 World Cup 2024」や「FIBA 3×3 U21 Nations League 2024」の代表だった#10 西ファトゥマ七南(早稲田大学/175㎝)も、初のA代表に選ばれた。攻撃の中心は高橋や西が担うだろう。野口は球際で良い働きが期待され、鶴見はチームのまとめ役として相応しい。
ただ、小澤と仲西を除いて、多くの選手は初のAsia Cupになるため、様々なアジャストが求められる。気温は30度を超えて湿度も高く、汗でボールが滑ることもざらにある。例年、アップコートは空調のある体育館だが、ゲームになれば屋外。女子は開催国のシンガポールと対戦するだけに、ホームの大歓声で声が通りづらい状況になるかもしれない。
また、男女ともに3×3をやり慣れている選手がそろうだけに、オフェンスは良い展開が期待できる一方で、ディフェンスで苦戦も予想される。
男子の対戦相手はオーストラリアとイランという難敵たち。体格差では劣勢に立たされそうだ。ペイントでシールされないよう高い位置からプレッシャーを掛け続けられるか。女子も本戦予選で得点力の高い選手を擁するベトナムと対戦するほか、決勝トーナメントに駒を進めれば初戦の準々決勝で、中国やニュージーランドとの対戦が待っているだろう。相手に押し込まれたときに余計なファウルをせずに守り切れるか、また1点を与えるのは割り切るのか。Asia Cupは機動力やスピードよりも、体のぶつかり合いを制したチームがメダルを獲得する姿が多い。
2019年を機に、3×3のA代表はBリーグやWリーグなど5人制の有力選手が名を連ねてきた。3×3の現場でやっている選手が日の丸を背負うことは稀だったが、今回は再びやってきた大きなチャンス。積んできた3×3の経験を、結果に結びつける3日間に期待したい。
【日程】
3月28日(金)予選(DAY3)
女子日本代表
16:20 シンガポール(開催国)
21:40 ベトナム
3月29日(土)予選(DAY4)
男子日本代表
15:30 イラン
20:20 オーストラリア(前回優勝国)
3月30日(日)決勝トーナメント(DAY5)
14:30 男女準々決勝
19:00 男女準決勝
20:40 男女3位決定戦
21:40 男女決勝
▼LIVE配信(リンクは外部サイト/テレ東スポーツ)
【Day3 Session1】3月28日(金)15:30~
▼LIVE配信(リンクは外部サイト/テレ東スポーツ)
【Day3 Session2】|3月28日(金)20:00~
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TEXT by Hiroyuki Ohashi
PHOTO by FIBA3x3