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  • 2024.12.26

22BASKETBALLの「HAYATE」と「YUKKE」…ALLDAY FALL 2024で頂点に輝いて

MVPのHAYATE…「初めて優勝して泣きそう」
 季節外れの暑さから一転、10月20日の東京は秋らしくなり、日も暮れた19時ごろは寒さを感じるほどだった。ただ、そんな中でもYOYOGI PARK PLAYGROUNDのセンターサークル付近は熱気を帯びていた。

 それもそのはず、国内最大級の5on5ストリートボールトーナメント「ALLDAY FALL 2024」を、22BASKETBALLが初制覇したからだ。チームを立ち上げたYUKKEをはじめ、ボーラーたちが充実した表情を見せ、MVPの発表を今か今かと待っていた。

 そして、MC MAMUSHIから発せられたボーラーの名は“HAYATE”だった。心なしか彼の表情は虚を突かれた様子だっただけに、表彰式を終えて聞いてみると「俺が一番びっくりしましたよ!」と、本人も認めるところだった。それでも、代々木の主役に選ばれて彼は胸を張った。

「僕は基本的に惜しい、シルバーコレクターって言われることがすごく多かったんです。でも、ちゃんと優勝してMVPを獲ることができて、本当に嬉しいです。チームメートの協力が無かったら、ここまで来れなかったので、マジで本当に応援してくれたみんなにも感謝しかないっす」

 HAYATEの魅力は、ディフェンスやリバウンドなど球際で見せるエナジー溢れるプレーの数々だろう。身長は183㎝。突出したスキルやシュート力、高さがあるわけではないが、本人は「誰にも負けないもう心、心です!魂で戦っているんで、それをみんなに伝播させて、チームが良い方向に向いたら、俺がチームにいる意味があるんじゃないかと思っています」と、熱っぽく語った。

 そして、HAYATEが熱くなった背景には、他にもあった。拓殖大学でバスケットボールをしていた学生時代。彼はバスケを大学生で辞めようと思っていたが、そんなときに出会ったのが代々木公園のバスケットボールだった。
 だから、彼は「どうしてもALLDAYの賞は欲しいし、人生でMVPは必ず獲りたいという気持ちがすごくありました。きょう初めて優勝して泣きそうです(笑)。本当にバスケットボールがこんなにも好きで、今もやっているのは代々木のおかげ」と胸の内を明かす。

 さらに、HAYATEは「彼の力が無かったら、MVPは獲れなかった」とYUKKEにも感謝した。チームのリーダーに対して、Bリーガーのようなプロバスケットボール選手でなくとも「プロのメンタルを持っているところが、勉強になります」と尊敬の念を示し、裏表の無い人柄も好きなようだ。「YUKKEは嫌だったら嫌と言うし、良いものは良いと言います。そういう魅力がYouTubeにも表れてるからこその、人気だと思います」と彼は教えてくれた。

人生最大の目標を叶えたYUKKEが隠さなかったこと
 そのYUKKEにとって、ALLDAY制覇は人生最大の目標だった。初挑戦したのが18歳のころ。「他にはないこの大会独特のリアルでシリアスな雰囲気に惹かれて、ここで頂点へ立ちたい」と、彼は並々ならぬ想いを抱き、挑戦し、跳ね返されてきた。22BASKETBALLを立ち上げた理由も、代々木で一番になるためだった。

 そして、10年の時を経て彼は目標を叶えた。チャンピオンまでの道のりを振り返ると、10月13日の予選ブロック初戦でKDCに33-6で快勝し、続くYOYOGI OLD SCHOOLを16-0で完封。10月19日のTop16ではLIVEを27-24で下し、翌20日の準々決勝ではFAKE streetに23-20、準決勝もMP3に21-18という接戦を乗り越えて決勝へ。大一番では、UNDERDOGを28-16で破った。

 Yoyogi park ballersを離れ、22BASKETBALLとして2度目の挑戦での戴冠。自分のチームを作ったからこそ、結果を出したいという想いが強かったと想像したが、本人からすればそれは違うようだ。こんな想いも明かしてくれた。
「いや、そんなことは無くて、別にYoyogiのときに優勝したかったですし、どこのチームでも優勝したかったです。ただ、ALLDAY優勝を目指して本気のヤツとやりたくて、俺のところに来てくれた仲間と、自分が中心となって作り上げて優勝できたのが感慨深いというか嬉しいっすね」

 そんなYUKKEは悲願を達成したいま、この先のことは考えられなかった。「バスケを辞めてもいいんじゃないかと思うぐらいです。あす就職をしてもいいかなって」と話すほどだ。言うまでもなく来春の「ALLDAY SPRING 2025」は見通せず、彼は「もう仕事でデスクワークしているから、たぶん(代々木には)来れないと思います」とも冗談めかして笑った。

 一方で、チャンピオンチームのリーダーとして、仲間たちをけん引した自負心も垣間見せながら、唯一の心残りも彼は隠さなかった。「勝ち切れた要因」の質問を投げかけた時のことだ。その気持ちがある限り、YUKKEはデスクワークではなく、ストリートボーラーであり続けるはずだ。

「ドンパッチ(=HAYATE)がMVPを獲ったんですけど、今回の優勝は間違いなく、自分がいたから。リーダーとして自分が声を出し続けて、周りにできないことをやって、チームを引っ張ってきたからだと思います。それが間違いなく、この勝利に繋がったと思ってます。だから、MVP(が獲れなくて)悔しいです」

■プロフィール
HAYATE | 鈴木颯


1999年生まれの神奈川県出身。湘南工科大付属高校を経て、拓殖大学へ進学。卒業後は、ALLDAYやSOMECITY、3×3など様々なシーンで活躍している。愛称は“だれゴリ”。日本一有名なバスケ選手を本気で目指しており、3x3日本代表入りも目標のひとつ。身長は183㎝。

YUKKE | 藤村祐輔

1997年生まれの宮城県出身。ストリートボーラーとして日本のみならず、中国やフランスなど海外にも足を運ぶ。人生で一番印象に残ったゲームは中国・武漢での試合。ALLDAY優勝が、それを塗り替えるかはまだ未定とのこと。SOMECITY TOKYOのTEAM ANTもけん引中。身長は170㎝。

22BASKETBALLの「HAYATE」と「YUKKE」…ALLDAY FALL 2024で頂点に輝いて

TEXT by Hiroyuki Ohashi



PHOTO by Kasim Ericson

& ミッシー

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